第1000話 『劇音楽 「イエーダーマン(だれもかれも)」』 シベリウス

 シベリウス先生(1865~1957)は、なにしろ交響曲の作曲家としては、20世紀最大の作曲家のひとりという認識は、大方固まってきたようです。


 一方で、劇場用の実用的な作品もかなりたくさんあり、その中には、晩年1925年のかなり大きな規模がある『テンペスト作品109』や、わりと人気がある、1905年の『ペレアスとメリザンド』がありますし、そもそも、大人気となり、シベリウス先生の大事な収入源になった『悲しきワルツ』も、劇音楽『クオレマ』の中の作品ですし、『交響詩フィンランディア』も、元をたどれば、劇場音楽です。


 また、やましんが大好きな『ミュゼット』がある、『クリスチャン2世王』なんて素敵な作品がありますし。


 しかし、こちら、『イェーダーマン』は、あまり知られない作品です。


 作者は、超大物で、ホフマンスタール先生(1874~1929)でありまして、1916年の、フィンランドでの初演にあたり、作曲依頼されたようです。


 シベリウス先生、劇場音楽を書いたあと、演奏会用の組曲を作る場合が多かったのですが(劇音楽は、断片的なものが多くなりますから、そのままでは、コンサートには向かないため、断片的なものを外して、コンサート向きに手をいれたりもするわけです。


 しかし、この作品は、ピアノ編曲バージョンが3曲あるものの、組曲にはしにくかったのか、結果的には、演奏会用組曲は、ありません。


 しかし、これ、シベリウス先生ファンからしますと、なかなか、素晴らしい❗ のです。


 編成はわりに多彩で、管弦楽、独唱(テノール、バリトン、メゾソプラノ)、合唱、ピアノ、オルガンまで導入しています。


 内容的には、『クリスマス・キャロル』みたいなところがあり、宗教的で、道徳的な内容で、ショッキングなものではないのですが、死とか、悪魔とか天使とかのような、人間には、普通見えていないはずの、象徴的な登場キャラクターがあり、そういうのは、古くからあるような道徳心とか、信仰とか、よい行い、みたいな、ドイツの古い『民衆本』的な雰囲気がありそうなもので、普段、あまり、周囲の人たちに構わないお金持ちが、死神に連れて行かれそうになり、最終的には、信仰を確かめられ、天使に守られ、昇天するらしい。(もとを、読んでない。やましんは、いんちきだね。) 実は、ハンズ・ザックス様(1494~1576)の作品が下地にあるんだとか。です。ザックスさまは、ワーグナーさまの『ニュルンベルクのマイスタージンガー』の登場人物としても有名。


 シベ先生は、あまり宗教的な大作は書かない方ですが、そういうところからは、珍しい作品でもあります。


 とまれ、最初、ファンファーレが響いたり、合唱がなにやら、楽しそうに、なにか、暗喩に満ちたお歌をうたったりします。


 断片的なのもある。


 全体は、16曲から成ります。しかし、とくに、第11曲からあとが、非常に素晴らしく、大変に、じゅわじゅわ、うつうつで、奥の深い音楽になり、最後、オルガンの響きにも包まれながら、感動的に終わります。


 なんと、もったいない。


 まあ、シベリウス先生ファンの、ちょっと過剰な推しがあるんじゃない?


 というのは、あえて、否定はいたしませんが、でも、かなり、しべ先生、力が入った、つまり、力作であります。


 聴いておりますのは、スウェーデンBISの、『シベリウス全集』第5巻の『劇場音楽編』の2枚目のCDです。


 箱入りの大全集も、出ておりました。


 

 さて、なんだかんだで、1000回となりました。


 やましんみたいな、しろと、に、お付き合いいただきまして、ありがとうございます。


 とはいえ、べつに、終わりにする気はありませんので、生きている範囲で、まだ、続きます。はい。たぶん。




・・・・・・・・・・ うつ 😇 😈 うつ ・・・・・・・・・・


 

 


 


 


 

 

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