第863話 『ピアノ・ソナタハ長調』 リトゥハンデール
カール・ルードヴィヒ・リトゥハンデール先生(1773~1843)は、お父様がトゥルクのアカデミーで学んだと言うことから、フィンランドとの関係があります。
もともと、フィンランドのクラシック音楽は、1790年創立の『トゥルク演奏協会』がその原点にあるようです。(『フィンランドの音楽』1997年オタヴァ出版印刷所。『フィンランドの民族文化と音楽伝統の誕生』エルッキ・サルメンハーラさま著。参照。)
トゥルクは、もともとフィンランドの首都だった、伝統のある都市です。
リトゥハンデールというお名前の音楽家さんは、実はたくさんいらっしゃるのですが、このお父様のお子様たちのようです。
一番有名なかたが、こちら、カール・ルードヴィヒさま。
この方は、もともと軍人さんだったらしいですが、休職期間中にロンドンで音楽を学んだのそうであります。
その後、スウェーデンのストックホルムから、やがてドイツに移住なさったとのこと。
このハ長調のソナタは、ムッチオ・クレメンティ先生に献呈されたようです。
一見、モーツアルト先生の音楽に近い雰囲気です。
しかし、4つの楽章からなる、なかなかの大作です。
特に、最後の楽章は、なかなか、じゅわじゅわで、ちょっと泣かせる、よい音楽です。
聞き方にもよるかもしれないですが、第4楽章には、ちらっと、フィンランド的な音階が聞こえるような気もいたします。
CDの解説書をちらっと見ると、11人兄弟姉妹だったようです。
CDは、フィンランディア・レーベルから出ていましたが(FACD 012)、現在も入手可能かどうかは、調べておりません。はい。
なお、このCDには、フレデリック・エマヌエル・リトゥハンデール先生(1777~1823)の『ハイドンの主題による変奏曲』も収録されております。
なんだか、非常に、お兄様と同じ雰囲気だあ。音楽的には、ウイーン古典派の音楽上にあるようです。
このかたは、主に、トゥルクで活躍なさったようで、『帳簿係』(会計担当者か、番頭さんか、わからなかったけど。)と、ピアノの教師をなさっていて、1801年の演奏会では、『うつうつ』にもすでに登場した・・・したかな・・・名高いクラリネット奏者で作曲家だった、ベルンハルト・ヘンリク・クルーセル先生(1775~1835)の伴奏を勤めたそうですから、それなりの腕前だったものと思われます。クルーセルさまは、当時フィンランド出身の音楽家としては、一番の出世頭だった方です。ただし、人生の多くは、ストックホルム中心に活躍したようです。
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