第862話 『ピアノ協奏曲第1番ニ短調作品61』 カルクブレンナー

 フレデリック・カルクブレンナー(Kalkbrenner)先生(1785~1849)は、ショパンさんやリストさんが登場するまでは、当時最高の人気がある大ピアニストさまだったようです。


 音楽院のあと、ハイドン先生にも師事したことがあったようでも、あったりすることからみても、時代的には古典派からロマン派へ世の中が動いたまっただなかにいた方ですので、その音楽は大変興味深いです。


 実際第1楽章にも、後輩のショパンさんの音楽を予感させるとともに、なんとなく、ベートーヴェンさん風な部分もあったり、開始部などは、ちょっと、モーツアルト先生風だったり。終結部はべー先生みたいだったり。


 聞く人の感性にもよるとは思いますが、ショパンさんのピアノ協奏曲には、フンメルさんの影響もなんとなくありそうだし、この曲もまた、そうなんです。


 すくなくとも、ショパンさまのピアノ協奏曲2曲が、突然、孤立無援で現れたわけではなさそうだ。という、感じです。


 第2楽章が、たいへん『じゅわじゅわ』な『うつうつ対象音楽』です。


 どことなく、ベートーヴェン先生のタッチも感じられる中に、たいへん、ろまんちっくな音楽が聞かれます。


 けっこう、うっとりできる良い音楽で、確かに人気にはなりそう・・・


 また、かなり技巧的なスケールの動きも入り、カッコよくもあり。


 終楽章は、いかにも協奏曲という、はつらつとした音楽ですが、こうした雰囲気は、フンメル先生にもあり、むしろ時代の在り方が反映されているのかもしれないです。


 どしろとのやましんが思うに、もちろんピアノは非常に技巧的なもので、かなりむつかしそうですが、管弦楽部分もけっこう重厚な音を出しますし、美味しい部分も頂いています。


 このあたりは、面白いところです。


 ショパン先生の協奏曲の管弦楽の在り方を考えてみるに、ですね。似ていたりもするけど、ショパン先生の管弦楽の扱いは、やはり独自のアプローチなんだ、とも思います。(えらそに言っておりますが、聞くだけですから! はい。)


 肖像画をみると、いかにも、にこにこした好人物みたいで、実際そうだったらしいのですが、世の中むつかしいもので、いつでも、優しいほほ笑みを絶やさない人は、妙に疑われたり、軽く見られたりもするようで、カルクブレンナー先生も、あまり良くない雰囲気のお話が伝わっていたりもするようです。まあ、真実のほどは、わかりませんが、ご本人はさほどこういうのは、気にしていなかったのかもしれないです。お金は、しっかり儲けたので、奥様と共に、良い生活をなさったようです。


 ピアニストだけでなく、ピアノの製造にも携わったようです。(プレイエル社の役員さんだったとか。)


 やましんの手元には、CDが2種類あります。


 ハンス・カン先生の独奏のものと(ブリリアント。出どころはVOXみたい。)ハワード・シェリー先生独奏の、わりに新しい録音のものと。(ハイペリオン)


 後者には、ピアノ協奏曲第4番がいっしょに入っております。


 さらに、この曲も、ピアノのソロが入るまで、管弦楽がかなり長い提示部を演奏します。これは、古典的な協奏曲では一応、定番ですが、ショパン先生もそれにならっています。


 ハンス・カン先生の録音は、この冒頭部分を大分カットしたバージョンのようです。


 ピアノさんが現れるのが、早い!


 1823年の作品。


 


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