第847話 『ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調作品6』 パガニーニ
パガニーニ先生(1782~1840)は、ご自身の企業秘密の管理が非常に厳格だったらしく、オケのパート譜も、公演の直前から二日前あたり、に楽員に配られ、終わったらささと、回収していたとか。
だから、あまり難しいとオケが演奏できないので、管弦楽部はわりに弾きやすいらしい? ほんとですか?
でも、鳴るべき時は、しっかり鳴る。
リハーサルでは、オケと一緒に演奏する場所しかやらず、ソロの部分は本番までオケの楽員さんでも聞いたことない、という状態だったとか。
まあ、しかし、それは、そういうことは今も、ありますよね。
ただ、当時は録音などなかったから、ほんとに、予習なんかできないですね。
まあ、逸話にはことかかない方でありますが、なかには、オカルト的なものもあります。
悪魔と契約していたとも言われ、聞きに行く人は、そこんところを気に掛けながら聞いたとか・・・。(十字を切るとか・・・)
実際は、病気持ちで、あまり顔色がよろしくなかったことも、影響したらしいとか。
しかし、弟子を一人しかとらなかったし、あまり、積極的には教えなかったらしく、その超絶技巧は、うまく継承されなかったんだとか。(かつて、直系のお弟子様が録音なさったCDがあった! 実際はどうなんだろう?)
ヴァイオリン協奏曲は、一応6曲残っていますが、管弦楽部はなかったり(第5番)、あまり正体がはっきりしない面があります。
で、パガニ先生の、ヴァイオリン協奏曲では、この第1番がやはり一番名高いようです。
ソロの部分は、非常に難しいそうです。
超絶技巧の連続みたいな感じです。
しかし、最近の若い世代は、ものすごいですからね。
第2番は、『うつうつ』にも、登場済みです。
もっとも、この第1番には、他人様による編曲バージョンがあり、『ほんと、同じ曲?』と思う位いだったり。
ウイルヘルミさまが編曲したバージョンがそうで、冒頭あたりは、『ん、あな、な・・・』なんです。かなり短くもなってますが、むかしの録音には、中にはこれが、ありますので注意が必要かも、です。
オリジナルバージョンは、逆に、かなり長いです。
これでもかああああ~~~~~~~~~!
くらいに、ヴァイオリンの超越の技法を聞かされます。
第2楽章は、大変に旋律が美しく、なかなか、じゅわじゅわ。
また、第1楽章の第2主題が良い!
このメロディは、わたくし、好きです。
作曲されたのは、1817年~18年あたりとか。
ベートーヴェン先生や、シューベルト先生がご健在である時期です。
シューベルト先生は、かなり無理してお金を集めて、聞きに行き(高かったらしい。)、感動したらしいですから、やはり、ものすごかったことは、間違いないと思います。
しゅーべ先生が、パガニ先生を聞いたのは、1828年の5月であったそうです。
『私は、パガニーニのアダージョで、天使の歌を聞いた。』とか、書いていらっしゃったっらしいので、技巧よりは、歌う部分に感動したような感じがあります。
まあ、しかし、当時の大物音楽家たちが、口をそろえて、『すごい』と言い残しているようなので、すごかった、としか思えません。
俗世的な興味では、エルネスト・W・ハイネ様が書いたご本『大作曲家の死因を探る』(音楽之友社 昭和61年 市原和子さま訳。)では、パガニーニ先生の経歴の中に、6年間、空白の時期がある、とおっしゃっています。どこで、何をしていたのか、まったく分からないのだと。
パガニ先生ご自身は、どうも、経歴詐称をしてまで、この6年を隠そうとした形跡があるとも。
大きな罪を犯して収監されていたのではないか?
という噂があり、『ここは、はっきり、事実を述べて、否定するように』と、支持者の方から促されたのにも、答えなかったんだとか。
無言は、肯定と捉えられる場合があります。
公的な経歴詐称はよくないですが、個人情報の無理な公開要求はダメですよね。
亡くなった後も、きちんと埋葬する許可が教会からなかなか出なくて、長く遺体は放置(持ち回り)された(防腐処置はされて・・・)らしく、やっと安眠できたのは1876年になってからだったそうであります。
『魔女狩り』(ニュートンプレス1983年)で見ると、公的な魔女狩りがなくなったあとも、民間での魔女狩り行為は、19世紀の末まで実際にあったようです。
今はない。と言えるでしょうか?
お気の毒ですね。
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