第609話 『《白鳥の湖》から、第1幕のワルツ』 チャイコフスキー
もちろん、たぶん、世界で一番有名な『バレエ』音楽です!
ですから、全曲鑑賞すべきものでありますが、あまりに壮大過ぎて、早くも梅雨ばての私には、そうした元気がありません。
長いし、不気味な怨念が籠っていて、なんだか、呪われてしまいそうな。(あ、そうしたことは、ゴザイマセンから。)
思いますに、『眠りの森の美女』の場合には、お誕生日パーティーに呼ばれなかった魔女さんは、日頃の行いが、よくなかったのかもしれませんが、もし、ちゃんと招待していたら、自分から遠慮して、なにごともなく、収まったかもしれません。
あいつは、外しておこうぜ。
と、いうのが、はずされた本人の意思であるならば、正しい場合もあるでしょうけれど、一応、礼は尽くすのが、本来かも。
もっとも、呼んだばかりに、大事になるのが、『白鳥の湖』。
『白鳥の湖』の場合には、まず、ヒロイン、オデットさんは、事前に、悪魔の魔法で、白鳥に、されていて、夜だけ人間に戻ることができます。
たまたま、夜遊び(?)に来あわせた王子様に気に入られて、婚約者選びの、パーティーに呼ばれるわけですが、悪魔が差し向けた、そっくりに仕立てられたオディールさん、に、王子様が騙されてしまい、そっちを指名してしまいます。
なんで、ちゃんと、確認できるように、なにか、証拠の品とか、渡さなかったの?
と、まあ、そこは、お話ですから。
それでも、そこで、大切なのが、裏方の段取りでありますな。
王子様は、部下とかに、きちんと段取り、させるべきでした。
まあ、大概の場合、悪い魔女や悪魔は、あくまでも(すいません)、悪い魔女や悪魔にされてしまいますが、たとえば、ヘンゼルとグレーテルの悪い魔女さんは、実は善良なおばあさんで、それを、当時、困窮していた家庭の子どもふたりが、殺して、食べ物を略奪し、家に持ち帰ったのではないか、で、悪い魔女を、でっち上げた。それが、伝説の出どころだろう、という、説もあるんだとか。
なるほど、筋は、ばっちり、通りますね。
これなら、魔女なんか、実はいなくて良いわけですし。
白鳥の湖も、黒鳥を、ただ、悪者にするのは、間違いかもしれません。
オディールさまは、悪魔の娘さんということらしいです。
親の言うことに、従ったわけなのです。
しかし、本物の親子だったのか?
この、バレエ、悲劇的な最後になり、王子様と、ヒロイン様は、現世では悪魔の呪いが解けずに結ばれず、あの世で、ようやく結ばれることになっています。
普通、悪魔が倒されたら、呪いは解けるのが、日本のアニメでも、常識でしょう。
でも、このお話は、そうではないわけです。
王子様は、敵わぬと思いつつも、悪魔と闘い、勝利はするのですが、なぜか、呪いは解けないのです。
舞台は、ドイツで、かなり深い森のイメージが蔓延しております。
ワーグナー先生の影響も、指摘されます。
考えてみるに、敵を倒しても、亡くなった兵士たちは、還らないわけで、むしろ、それが、正しいわけなのです。
『くるみ割り人形』や、『眠りの森の美女』とは、ちょっと一味違う、ブラックファンタジーです。
(『眠りの森の美女』も、けっこう、こわいかも。こいつは、タイム・スリップものですし。)
そのなかで、一際、宝石のように、光を放つのが、この、ワルツであります。
華やかな美しさと、えもいわれぬ、深い憂いに溢れる中間部を持ちます。
ここが、ただの、繰り返しになると、ちょっと、物足りなくなります。
そこは、指揮者様の読み方ですが。
形からしたら、『くるみ割り人形』の、『花のワルツ』と似た作り方になっていますが、陰影の深さでは、こちらが、より、神秘的であります。
ただ、音楽として聞く場合、オケの実力を見せてしまうという、恐ろしい側面がありそうです。
このような作品は、音楽を、聞く場合には、やはり、カラヤンさまが上手です。
ロストロポーヴィチさまの指揮による、ベルリンフィルの録音も、なんか、良いです。
バレエの作曲と言いますものは、作曲家さまには、詳細な仕様書が、わたされ、バレリーナの動きに寸分違わぬように、びったしに作らなければならないんだそうで、そのなかで、こうした音楽が書けたのは、さすが、チャイコフスキー先生ですが、なんとなく、音楽だけ聞いていると、ちょっと、寸足らずみたいな雰囲気があるところも、ないとは言えないのは、仕方がないわけです。
あ、『白鳥の湖』といえば、有名な音楽があります。『情景』と呼ばれます。
全曲を貫くテーマみたいな、音楽ですが、まとまった形で現れるのは、第2幕の最初です。
そこのところ、宜しくお願いいたします。(なにを?………いやだから、最初からは、小出しにしか、出てこない、と、いうことで……、余計なお世話だ。………すみません。😢⤵️⤵️)
1876年の、作品。
最初は、なかなか、理解がえられず、人気が出たのは、チャイコフスキー先生が、亡くなってからと、なりましたそうな。
チャイコフスキー先生の場合、そうしたケースが多いようです。
お気の毒です。
・・・・・・・・うつ 🦃 うつ・・・・・・・・
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