第608話 『ピアノ・ソナタイ長調 D959』 シューベルト

 今回は、精神衛生状態がよくないので、じっくりとゆきます。(?)


 シューベ先生のピアノソナタの中でも、次のD960と並ぶ、『超うつうつ』音楽で、しかも、じゅわじゅわな、癒し効果が最高に高い作品です。(個人差あります。久しぶりだな、このセリフ。なお、『第1話』、ご参照くださいませ。)

 

 どちらが好きか?


 というのは、個人の好みの問題でしょう。


 楽譜がありますから、せっかくなので、覗いてみましょう。


 シャープがみっつ。


 第1楽章は、アレグロ。


 『これで納得!よくわかる音楽用語のはなし』(関孝弘、ラーゴ・マリアンジェラ

―さま著)によれば、『アッレーグロ』とうイタリア語には、『早い』という意味はなく、陽気に、楽しい、明るい、というような意味合いだそうであります。


 そこで、軽快で快活な様子を生み出すのに、『早い』という意味を生んでしまったようです。


 まあ、そうは言われても、アレグロと書いてあれば、やましんや、『なまけもの』さん(生き物の・・・)のように、じわ~~~~~と、ゆったりというわけにも行きますまい。


 ところが、この楽譜、頭から、なんか、変だ。


 まずは、1小節めは、上段は全音符の和音で、下段は、四分音符ふたつ、と、四分休符いっこ、+八分休符いっこ、とあと、八分音符。


 2小節目も、上段は和音は変わるけど、全音符のまま。


 下が、同じリズムを刻みます。


 3小節目から、上段がちょっと、動きますが、和声の一番上の音は、ずう~~~~っと、Aの音、つまり、ラ、の音のまんま。


 で、二分音符と四分音符ふたつになり、4小節目は、その半分で、四分音符二つと、八分音符よっつ。



 5小節めは、また、二分音符ふたつになり、6小節目で、やっと、A-GisーFis-Gisと動いて、ちょと古風で、不完全な終止。


 下側が、リズム半分、主題旋律半分みたいな感じで動きます。


 これは、あたまから、ベートーヴェン先生の、『交響曲第7番』の、第2楽章みたいな動き方ですか。


 そのあとは、分散和音の連発だあ!


 ところどころで、ちょっと、溜まる場所はあるけど、基本的には止まらない、止まらない。どこまでも、流れて行ってしまうぞお~~。


 おーい、シューベ先生、どこに行くの?


 第2主題を探しに、遥かな場所に、まいります。


 おっと、この曲は、『ソナタ』であります。


 まあ、時代が下るにつれ、だんだん、お約束事は破られて行くものですし、そもそも、ベー先生の、あの『月光』ソナタだって、第1楽章は、お決まりのソナタ形式ではないですからね。


 もっとも、『ソナタ』というジャンルと、ソナタ形式という楽式は、無関係な訳ではないようで、ちょっと昔のご本ですが、諸井三郎先生の『楽式の研究Ⅲ『ソナタ形式上』には、『・・・ソナタの第一楽章として発達してきたソナタ形式は、ソナタそのものの発展と不可分の関係において・・・・』(音楽之友社 昭和32年初版)と、ございますゆえ、大方、ソナタの第1楽章は、ソナタ形式なのが伝統ではあります。


 で、この曲でも、やがて、スタッカートで音が区切られますと、いかにも、シューベ先生らしい、愛すべき旋律が現れますが、どこか、第1主題との親近性が高いような。


 結局、またまた、三連符の連続になり、どんどん、流れに乗って、進んで行ってしまいます。


 涙なんか、見せないもん。


 という感じでしょうか。


 死の年、1828年の作曲。


 体調は、良くなかったのではないかと思われます。


 1827年、ベートーヴェン先生が亡くなり、なんとなく、つぎは自分だ、みたいな感じがあったとかも・・・


 しかし、この翌年、シューベ先生は、怒涛のように作品を書いて行きます。


 この、ソナタのあと、もうひとつ、巨大なソナタが書かれます。


 その終末は、11月19日に、やってきます。


 で、楽譜上は、お決まりの繰り返し記号があり、主題の提示部はおしまいであります。


 ここからは、展開部です。



 ・・・や、やましん、ここで、ダウン。


                              つづく



  ********** うつ  😿  うつ **********

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る