第610話 『ピアノソナタイ長調 D959』 その2 シューベルト
ここ一週間ほど、体の方が悲鳴を上げておりまして、おかしなお話しですが、おしっこがとまりません。
こいつは、けっこう、体力を消耗させるようで、脱水になりそうななか、町内会の行事に出たりしておりましたが、紙パンツさまさまです。
さて、そこで、D959のソナタの続きです。
ただし、短めにやりましょう。
第1楽章。
主題の提示が終わると、展開部です。
ベートーヴェン先生は、ここが得意で、音楽をどんどん掘り下げ、ほり抜き、可能な限りのところまで、進みます。
その推進力は、すさまじく、それが、他の作曲家さまと、差別化されるところな気がいたします。
シューベ先生は、そのベー先生を目指していました。
しかし、シューベ先生は、ベー先生とは異なるキャラの持ち主ですから、これまた、独自の道を行きます。
展開部は、楽譜を見れば、すぐわかるくらいに、八分音符さまの、和声のパレードです。
八分音符の海です。
そこを、より、美しくなったような気がする主題さまが、十六分音符に身をやつしながら、自由自在に泳いで渡って行くのです。
やましんは、おおぼけのしろとですが、さすがここは、シューベ先生でありまして、旋律自体が浮き沈みをしながら、様々な姿を見せてくれます。
いささか、語弊はありましょうが、かなり、視覚的な変化です。
また、微妙な和声の移り行きが、シューベ先生の特質です。
きらきらと、輝く虹のハーモニーの中で、その旋律の波は、やがて、三度の響きを上手く効かせながら、やや、うっとおしい夏の朝みたいに、再度の日の出をもちかけます。
跳躍音型が続くようになり、やがて、再現部が、やって来るのです。
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