第580話 『交響曲変ホ長調 作品4』 ヤコブ・アクセル・ヨセフソン

 ヨセフソン先生は、スウェーデンの作曲家さん。(1818~1880)


 アドルフ・フレドリック・リンドブラッドさまによれば、ヨセフソンさまは、スウェーデンのベートーベンになりたかったようであります。


 結果的には、歌曲中心に、現代も知られるところで、むしろ、スウェーデンのシューベルトといったところでありますそうな。


 交響曲は、この作品だけ、残されたようですが、これが、やましんに言わせますと、なかなか、良い作品でありまして、たしかに、第2楽章など、ちょと、シューベルト先生寄りな感じもありますものの、第1楽章は、明るい表情のなかに、たいへん じゅわじゅわな調べが現れるのです❗


 さらに、第3楽章は、うっそうとした、深い森のなかをさ迷い歩くさまを思わせるような、なかなか、深淵な音楽。


 多少、ベートーベン先生の、第3交響曲を暗示するような雰囲気もあるような。(やましんの感覚です。)


 また、メンデルスゾーン先生風な感じもあります。


 ドイツ、イタリアへの留学経験があり、ドイツでは、デンマーク出身のガーデ先生に師事したようで、ガーデ先生は、メンデルスゾーン先生の側近でしたから、そうした雰囲気があっても、おかしくはないかも。


 1846年から、47年にかけて、ライプツィヒで、書かれたようであります。


 学生時代の作品というわけです。


 しかし、習作というには、しっかり出来た作品です。


 ときに、スウェーデンには、フランツ・ベルワルド先生がいました。


 こちらも、ドイツで、実業家として活躍し、1842年に、一旦帰国しておりますが、祖国のあたり、は悪く、再度、ウィーンからフランスあたりを回り、1849年に再帰国。


 しかし、スウェーデンの楽壇には、やはり、受け入れられず、厳しい状態にありましたようで、一方、ヨセフソン先生は、その隙間の、1847年に、帰国。


 お二人の個人的関係がどうだったのかは、わかりません。


 現在は、本国でどうかは、やましんには、これまた、わかりませんが、日本では、ベルワルド先生が優勢にあるようには、思います。


 なんせ、録音がたくさんないことには、どにもならないですから。


 ベルワルド先生の、個性的で、革新的な交響曲に比べますと、オーソドックスな、王道的な交響曲ですし、たいへんメロディーのセンスに長けてもいます。 


 なので、ヨセフソン先生のほうが、安心して聞ける利点はありますが、まだ、初期の作品でもあり、百戦錬磨の魔神的作曲家、ベルワルド先生が円熟期に書いた交響曲には、ちょと、部が悪いかもしれませんが、この、じゅわじゅわ感は、ベルワルド先生には、逆に、いささか求めがたいものでもあり、ヨセフソン先生のこの、交響曲にだって、十分存在価値あり、と、やましんは、思います。


 なお、ベルワルド先生とヨセフソン先生は、ウプサラ大学の地位をめぐって、争ったらしいような。


 ベルワルド先生は、その地位を得られなかった、ということですから、ヨセフソン先生が押さえたのでしょうか。


 いずれ、ヨセフソン先生は、ウプサラを中心に、生涯活躍をなさったようでありまして、合唱作品も大小書いたようであります。


 1877年には、大学のために、ふたつ、カンタータを書いたとか。


 聞いてみたいなあ。


 しかし、世の中で、地位を得るというのは、おおごとなのは、どこでも、なんでも、たいへんなことです。





・・・・・・・・うつ  ⛪ うつ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 


 


 


 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る