第369話 『歳末特集』その4 『ニーベルングの指輪 序夜 』 ワーグナー
な、なあんと、無謀な!
やましんごときが、『指輪』とな?
一億年早いわ! け!
と、言われること必定。
なにしろ、この音楽、化け物の大王様みたいな音楽で、並の人間が近寄れるようなものではない!
という、まずは、恐るべき『印象』がありまして、実際、さまざまな伝説やら恐ろしい物語、史実、に彩られた、怪物作品なのだ!
この作品は、成立に一国の国王を巻き込み、なんと、その国の財政を傾けてしまうという、恐るべき事態を引き起こし、やがて、その国王は、史実に名高い、謎の死を遂げます。いまだに、詳細は分からないらしい。
そこには、あの、絶世の美女と言われた、皇女エリーザベト、さまなども登場する時代です。(あの、絵! もう、動けなかったです。なんという・・・・ただ、なかなかの、おてんばさまでもあったらしいですが・・・)
映画『ルートヴィヒ』がございました。
ワーグナー先生が出て来ます。
ただ、イタリア語で話すので、ちょと、ずっこけますが。
ときに、夏のバイロイト音楽祭詣では、ワーグナー教の教徒様には、生涯の望みでありましょうが、やましんごときには、とうてい行けない場所なのです。
聞くところによれば、そこは、外国にあるので、交通費が莫大にかかる。
チケット代だって、大変だ。
ツアーがあたりもいたしますが。
貧乏人がおいそれと近寄れる場所ではないのです。
しかし、落語の世界でも、働いて働いて、働きぬいて、めざす女性を手に入れようとがんばる町人のお話もあり、まあ、不可能ではない。
ところが、聞くところによれば、この劇場、一度席につくと、容易に動きが取れないらしいです。
お手洗いがいつもお隣に必要なやましんには、とうてい、無理なお話しです。
まあ、しかし、それも、日本の誇る技術で作られた『紙パンツ』という新兵器を用いて、まあ、なんとかするとしても、なんせ、おそるべく、長いのです。
全曲、通してやれば(やらないけど、レコードとかCDならば、まあ、可能。)なんと、14~5時間かかるという、とんでもない作品だ!
体力がなければ、聴くことも、ままならないのです。
たとえ、CDで聴くとしても、だいたい、最低14枚は必要。
『指輪』の、全曲LPレコードを、持ち上げてみたことのあるかたは、その、恐るべき重量に、中身の重さも感じたことでございましょう。
フルトヴェングラーさまや、ショルティさまのLPなど。
だれが、そうのようなものを、聞くのか?
いやいや、それが、世界には、この作品に惚れ込んだ、多くの方がいらっしゃるのであります。
(CDができて、軽くなった。)
しかも、この場合、身も心も捧げ切った、恐るべき、超人のような方たちが、頂点にいらっしゃる。
それは、まあ、『指輪』の、『プロ』『専門家』と呼ばれる方々であります。
これは、無尽蔵な知識や技術をもった、多くの分野の、超人さんたちです。
だいたい、あの、ワーグナー様のおそるべき長大、巨大な作品を、歌い切れる、しかも、主役級をはれる歌手というようなかたは、世界中にも、そう、多数いるわけではないです。
ごく、少数の方だけです。
オーケストラで、これを弾き切る方もそうですし、指揮者様だって、そう。
合唱団も、そこで歌うのは、ものすごいエネルギーが必要でしょうなあ。
ワーグナーさまの、『歌劇』、あるいは『楽劇』というものには、『合唱』が大変重要なのであります。
ライブ音源を聞きますと、いささか、あらっぽい感じもしますが、そこが、また、ライブの魅力なんでしょうなあ。
あまり、合唱が神業的に上品に出来過ぎだと、かえって、雰囲気損なうかも。
『指輪』の、ハーゲンさんと合唱のやり取りとかも、『オランダ人』の、幽霊船の船員さんとかも、あまりに神々みたいな合唱だと、ずっこけるかも。
むかしの、カール・ベームさま指揮の『オランダ人』・・・あ、『さまよえるオランダ人』ですが、・・・この船員の合唱の録音なんかも、凄まじい。
舞台の発する音楽じゃない音自体が、かなり、うるさいけど、これがないと、ライブじゃない。
凄味がない。
そこが、オケの演奏会とは違う、演劇ならではの、面白いところです。
さて、バイロイト音楽祭の指揮者になることは、たぶん、ものすごい事であります。
しかし、この指揮者様に劣らずすごいのが、演出家さまです。
バイロイトで、演出を披露するなんて、これも大事です。
しかも、批評は厳しい。
容赦ない批判も来ますが、もし成功したら、その将来は、さらに大きく広がるのであります。
まあ、批判と賞賛が両方来るのは常としても、どちらが優勢か?
歌手はどうだったのか?
舞台設備はどうだったか?
運営の手際は、良かったか?
ハプニングは?(オペラには、ハプニングがつきものです。小さいのは、よくあるらしい。やましんが見たビデオでも、あの、サムソンが崩すまえに、大寺院の巨大な柱が、ちょっともう、揺れたりとか。刀を振り下ろす前に目的物が先に割れてしまったりとか・・・・そのあたりは、まあ、しょっちゅうとかですな・・・)
つまり、全体的に、今年のバイロイトはどうだったのか?
お好きな方には、絶対に逃がせない情報です。
もとも、やましんは、そこには、あまり、興味がないのですが。
むかしは、雑誌の海外報告を読んでおりましたが・・・最近は、雑誌も読まないです。
目がよく見えなくなって、本は苦痛だし。お高いし。(めがね交換しなさいな!)
いずれにせよ、この隔絶した人たちは、こここでは別として扱います。(つまり、扱いません)
で、そのあと、多くの、一般のプロなどの偉い方々がいらっしゃいます。
『指輪』や、必ずしも『音楽』の専門家じゃないけど、その道の名高いプロの方々。
各種演奏家さま、音楽学者様、評論家さま。文学や演劇や美術の専門家さま、作家さま、歴史学者さま、哲学者さま、服飾の専門家さま、政治家さま、財界のおおものさま、スポーツ界のおおものさま、王侯貴族さま。正体はわからないが、どこぞの大金持ちさま・・・・・
その他もろもろの専門家のみなさまがた・・・・・・
これも、まあ、別格ですな。
様々な意味合いで、またく、対抗できませんから。
それから、プロじゃないけど、知らぬことはないと自認する、おそるべき、アマチュアの方々。
やましんが、いちばん苦手なのは、この方々です。
もう、その圧倒的な情熱と知識と熱意には、まったく歯が立たず、やましんごときは、ひたすら、だまっているしかございません。下手すると、やましんなんか、溶けてしまいます。
しかも、ワーグナーさんとブルックナーさんのファンは、特に、熱い!(個人的感触です。)
そこにいくと、シベ先生(すいません、シベリウス先生です。)のファンは、わりと、寡黙で大人しい場合が多いようなのです。
あまり、自己主張をしない。
だいたい、静かな方が多い。
これは、面白いと言えば、面白い現象です。
やましんだけが言うのではないのですぞ。
北欧音楽の専門家の方が、そうおっしゃっていたのですから、うそ、ではないですよ。
まあ、そういう方々が、びっしりとつまってしまう、バイロイトの祝祭劇場には、なかなか行けたものではないわけですな。
歳末なので、多少の、言い過ぎはお許しください💧
さて、そうした、よくご存じの方は、おそらく、この『うつうつ』には、あまり多く、ご来場はされないとだろうとも、思いますが、まずは、やましん、『指輪』や、そもそも、ワーグナー先生は、不得意ですので、そのような、知識の豊かな方は、ひらに、ひらに、笑って、ご容赦くださいますように、お願い申し上げます。はい。
しかし、ここにもってきたくらいですから、興味は、ある。のですな。
さて、この『ニーベルングの指輪』は、台本自体、ワーグナーさんがご自分で書いたものであります。
その『物語』自体の、日本語による、立派なイラスト入りの豪華なご本もございました。ちょっと、見た目、絵本みたいな感じです。
本棚に並べるにも、格好いい!
もちろん、やましんなどんは欠かせない、対訳本も、ちゃんとございます。
むかし、ちょっとだけ売られて、なぜかすぐにお店から消えた、マゼール様指揮の『指輪』全曲盤(CDといよりは、本の分類。)には、ものすごい豪華な、ご本が付いておりましたが、お値段も、なかなか豪華でしたね。
対訳本にも、大きな、欲しい本があったけど、高いので、買えないうちに、消えてしまいました。
元が大きいので、どうしても、LPにしても、CDにしても、解説本にしても、お高くなりやすいのが、『指輪』の『指輪』らしい、また、大きな欠点です。
ただ、最近は、お安い輸入盤とか、古本をネットであさると言う、良い方法がございますが。
その根元には、ドイツの伝説や、北欧神話が植わっておりますが、そこは、どうぞ、まだ聞いたことないと言う方は、自主的にお調べくださいませ。
ただ、やましんも、そういうことがあるよ、程度しか知ってると言う事もないので、別に知らなくても、楽しむのには、さして問題はないかと思いますが。
で、この『楽劇』なんと言われる作品ですが、上演するのに、四晩かかります。
まず、初日は『序夜』で、『ラインの黄金』であります。
全体の中では、ここが、いちばん、一番、短いです。
ときに、この作品で大切なのは、ライトモティーフとか呼ばれる『動機』であります。
この、巨大な作品さんを統一する手段として、ワーグナー先生が採用した切り札作戦でありますな。
こいつを全部覚えている方は、ただものではございますまい。
『ラインの黄金』は、まず、水ちゅうドロンが、ライン川の中に静かに潜って行くような(ような! ですから!)序奏部から始まります。
ドロンは、どんどん、深く深く水中に沈み、最初は、ぷくぷく・・・だたのが、やがて、ぶくぶく・・・ぶ~くぶ~く! ぶうわ~っく!ぶうわ~っく! ぶひゃぶひゃぶひゃ~~~~~!!!! と、進んで行きます。
原始状態の動機、 自然の生成の動機、 波の動機、 ラインの乙女たちの動機(1)と続きます。
ラインの乙女たちは、ライン川に眠る黄金を守っています。
これを使って、指輪を作ると、世界を支配できると言われます。
そこに、ニーベルングの小人族、アルベリヒが現れ、仲良くしてほしいと言います。
さて、ここが問題です。
あんなに、つっけんどんなだけでなく、いじわるしていじめられたら、アルベリヒさんじゃなくて、やましんだって、怒るぞ!
もっと、上手な扱いかたというものが、あってしかるべきである。
つまり、一定の礼儀を持って、断わるものは断る。
この、無礼こそが、罪ではないか!
これは、あきらかに、いじめ、ヘイトスピーチ、いやがらせ、差別、にあたるものです。
もし、もっと、丁寧に扱っていたら、アルベリヒさんは、強盗の罪を犯さず、不必要な争いも起こらず、このもの語りは、そこで、終わっていたでありましょう。
あるいは、平和が続き、指輪の奪い合いによる醜い争いは起こらず、可哀そうなミーメさんは、ジークフリートに殺されず、ブリュンヒルデは自己犠牲になることもなく、神々も滅びず、人の世は来なかった。
まてまて、それじゃあ、お話しにならないよ。
アルベリヒさんは、黄金を奪っていってしまうのであります。
『ラインの黄金のファンファーレ』の動機と、そのあとのライン乙女たちのお歌が素晴らしい! 聞きどころです。
つぎの場面は、神々の世界。
神々の長、ヴォータンと奥様が夫婦喧嘩。
ヴォータンは、巨人族に王宮『ワルハラ』の建設をさせたが、その報酬は、なんと美しい女神フライア。
彼女が作るりんごを食べないと、神々はほろんでしまう。
しかし、ヴォータンは、実は、フライアを渡す気は毛頭なし。
やがて、このお話の陰の主役、ローゲさんが現れます。
『ローゲの動機』
半神の火の神様。
ずるがしこいけれど、切れもの。
人の姿で、舞台に現れるのは、この『ラインの黄金』だけ。
しかし、その後は、火の姿で重要な役割を果たします。
ローゲさんは、ラインの黄金が盗まれた情報を伝え、悪だくみをします。
ヴォータンとローゲさんは、ニーベルングの深い地下にもぐり、拉致し、アルベリヒから、指輪を奪い取るのでありますが・・・・・
『ワルハラの動機』
『契約またはヴォータンの槍の動機』
非常にカッコいいです。
アルベリヒは、指輪を奪い去られ、おそろしい呪いを掛けます。
指輪に関わる者は、みな争い、滅ぶのだあ。こあ~~~~!!
🏰
さて、天上では、『ワルハラ』が完成し、巨人族は約束の報酬を要求します。
雷神ドンナーさん、幸福の神様フローさん、智の神様エルダさんなどが現れます。
で、このあたりの存在を見ていると、戦後、日本のアニメの登場人物あたりにも、陰に陽に大きな影響がある様に思いますが。
ヴォータンは、報酬として、フライアではなく、指輪を提案し、巨人族は了承しますが、たちまち兄弟げんかし、ファフナーに、ファゾルトが殺されます。
『おそろしや、アルベリヒの呪いか』
なんて、ヴォータンさまは、まだ他人事のようですが、やがて、自身に降りかかってくることになるのですが・・・
神々は、カッコよく、『ワルハラ』に入場して、『ラインの黄金』は終わります。
その寸前に、ローゲさんが、大変重要なセリフを言います。
『彼ら(神々)は、自分たちの存続を疑わないが、終焉にと急いでいるのさ。』
あんたが、おかしなたくらみ、するからだろ。
『神々の黄昏の動機』
『ドンナーの動機』
『虹の動機』
『剣のファンファーレ』などが、あらわれます。
あ、ここでの『動機』のご紹介は、一部だけで、実際は、もっとありますので。
いや~~~~~、やっぱ、疲れます。年末までに、続きは書けないかな。
NHKのFMで、音楽祭の様子が、毎年年末には放送されております。
まさに、いま、その時期であります。
**********歳 うつ ⚔ ⛈ 🐍 うつ 末 **********
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