第368話 『ヴァイオリンと管弦楽のためのアダージョ ホ長調 K.261』 モーツアルト

 な、なんという、けなげな、いじらしい、少し可哀そうな、いつも、ちょっとほほ笑みながら、涙がふっとこぼれかけてるような、もう、おもわず、だっこしてあげたい、ぎゅっとしたい、もふもふさんのような音楽です。


 もー先生は、ちいさいころから『ぼくのこと、すき?』と、いつも問いかけてくるような少年だったらしいですし、それは、おそらく、亡くなるまで変わらなかったような気もします。


 一方で、プライドが高く、かならずしも謙虚じゃなく、音楽家仲間については、悪口を言うのが普通だったらしいです。


 あったことないから、まあ、わからないですけど。


 でも、この曲を聴くと、なんという、孤独な魂だったのかしら、とも思います。


 いつ書かれたのか、はっきりしないようです。


 たぶん、1776年に、ザルツブルクで?


 それは、お父様の書いた文書などから推して、『ヴァイオリン協奏曲第5番』の後くらいに書かれたのだろう、ということから。


 もうひとつ、『ロンド変ロ長調 K.269(K.261a)』というのもありますが、同じことがらから、これもそのころのものだろうとされるようです。


 そちらは、基本的には『うきうき』。


 協奏曲のアンコールでやると、アダージョの方は、ちょと、お客さまが、しんみりしそうですが、『ロンド変ロ長調』は、すっきり笑顔で、舞台袖に帰れそう。


 ときに、この『アダージョ』、のちの、ベートーヴェン先生の『ロマンスへ長調』と『ロマンスト長調』の2曲を、先取りしてるような気がしますが。いかが?



 ********* うつ 🎻 うつ **********

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