第355話 《うつうつ歳末特集》 その2 『オラトリオ メサイア』 ヘンデル

 ご近所のスーパーさんの入り口に、恒例の大サンタ・ロボが登場!


 いやー、良くできてますな。


 やましんなんかより、はるかによくお仕事します。


 さて、なぜ、クリスチャンが人口の1割にも満たないのではないか、というこの国で、かくも盛大にクリスマスが賑わうのかは、世界七不思議に数えられても良いくらいですが、それはともかく、《第9》と違って、現在は、欧米でもこの時期定番の名曲の代表格が、この、『メサイア』であります。


 この作品の成立事情などは、例によって『うつうつ』のあつかう主要事項ではございませんが、国内盤のCDの解説とか(もちろん外国語のお出来になるかたは、外国盤でも)、またやましんが常に参考としております『宗教音楽対訳集成』(国書刊行会 2007年)の該当箇所などにも、くわしく解説がございます。


 で、まず、基本的なお話で恐縮ですが、この作品は、ヘンデル先生が、イギリスで1741年、56歳の時期に、なんと、たった、26日間で書いたとされるもので、台本は、チャールズ・ジュネンズさま(1700~1773)によるものであります。


 つまり、英語による演奏会用宗教音楽です。(もちろん、ドイツ語バージョンもあり。モー先生による改訂版もあり。いつも英語で聴いてると、ちょと、違和感がある。どっちも、意味わかんないけど。)


 ヘンデル先生、この時期は、聴衆の好みの変化もあり、従来のオペラが行き詰まって、じり貧状態であったらしく、その一発逆転にかけた(そんなテレビ番組がはやっていますが・・・)作品でありましたそうな。


 なにしろ、かなりスペシャルな台本で、新旧聖書から選り抜かれたテキストですが、とくに決まった筋書きがありません。


 なので、同い年の大バッハ先生の『マタイ受難曲』のような、『エヴァンゲリスト』(福音史家・・・解説者)もなく、セリフにあたるものもほとんどなく、たいへん抽象的な作品である、と言われます。


 新機軸、と、いいますか、新しいやりかただったようなのです。


 しかも、ここには、ヘンデル先生らしい、わくわくするような、面白い音楽が満載なのです。


 メサイアのテキストの冒頭には『マヨーラ・カナームス』(もっとおおいなることをうたおう)というローマの詩人ヴェルゲリウスさま、の詩が掲げられているとのことで、これは、当時のテキストブックの冒頭には必ず書かれていたらしいです。(音楽は付いていない。)もしかして、第9交響曲のバスバリトンのソロの冒頭は、ここを意識してたのかしら? ふと、思っただけです。わかりません。)


 全体は『3部構成』に、なております。


 『第1部』最初は、オペラのように『序曲』があり、そのあと独唱がふたつ続いいた後、第4番の合唱が入りますが、『こうして主の栄光があきらかとなり・・・・』)は、まず『おわ~~~!』とくる傑作です。


 それから、第12番の『ひとりのおさなごがうまれた』が、さらに、素晴らしい合唱曲であります。


 これは、もう、じっつに、素晴らしいです。


 この最後まで『うきうき感』が、とうとうと溢れだす音楽は、ヘンデル先生ならではのものです。


 そのあとの、『パストラールシンフォニー』と呼ばれる部分は、ニンフたちの合奏の場面。


 で、聞きどころばかりの、ソロや合唱が続きます。


 第2部では、なんといっても、一番最後に『ハレルヤ・コーラス』が置かれていることが、あまりにも有名です。


 ここにいたる緊張感と高揚感、そうして『ハレルヤ・コーラス』自体が、あまりにも、さらにさらに、素晴らしすぎるのであります。


 最後に向かって、ぐんぐんと、くり返しながら盛り上がってゆく手法は、みごととしか、言いようがございません。


 1750年のロンドンでの初演で、国王ジョージ2世が『これは、神だ』とか言って、起立して聴いたとか言う伝説があるので、いまでも、たとえば、やましんが、舞台で歌っていたような、ローカルな演奏会でも、ここになると、会場で起立する方が必ずいらっしゃいましたものです。(最近は、やましんがリタイア中。)


 ただし、これは、『伝説』と言う事のようです。


 で、これが終わったら、もうおしまい?


 と、思いそうですが、まだ『第3部』が続くのです。


 『第3部』の最後におかれた、第53番『かの子羊こそふさわしい・・・』から、終結の『アーメン・コーラス』まで、いっきに進んで、おしまいとなります。


 この『メサイア』は、コンサート・ホールでの演奏が主体の宗教的音楽でありますが、まあ、あえて言いますと、近年いくつか作られた、宗教的超大河映画(たとえば『十戒』のような。)みたいな感じで、あまりむつかしくは考えずに、聞いていただけたらよいのだと思うのです。


 とにかく、聞き手を喜ばせることに、大きな主眼があるヘンデル先生ですから。


 そこらあたりが、大バッハ先生よりも、近代的な雰囲気を形成するようです。


 ただし、テキストの内容自体は、クリスチャン以外の方には、いくらか抵抗を感じるかも、しれませんが、時代はもはや、同じ『地球人』の書いた、すばらしい作品なのである! と認識すべき時期に来ておりますよ。


 コンサート・ホールで、あなたの、おとなりには、もしかしたら、ノミスギー星人さんあたりが、座っているかもしれません。


『いやあ、地球の音楽は、じつにすばらしいですなあ!』


 と、賞賛されたら、『いやあ、異教の音楽で・・・』と、言いますか?


 それにしては、欧米の文化以外は(それだって、一部だけだし。)まだ、わりと謎に満ちてる状況ではありますが。(自国の文化でも、けっこう、謎が多い。公開しない、秘密のものもありますし。宗教的な意味もあり、むつかしいことはありますでしょうが・・・。たとえば、古墳の調査なんかも、もうちょっと、頑張ってほしいな。古墳好きのやましんです。)


 ただし、個人の趣味の範囲の好き嫌いに、よけいな干渉すべきでも、これまた、ありますまい。


 いっぽう、何かの機会に、『おわ~~~~。こりゃあすごい!』と感心することもあります。


 文化に関しては、可能な限り、基本は、開放的な状況であってほしいです。


 なお、『メサイア』には、いくらかバージョン的な課題がありますが、難しいので、やましんには手に負えず、割愛します。


 ヘンデル先生ご存命中にも、56回演奏され、15種類の、異なる、バージョンが作られたんだそうですから。


 ブルックナー先生も、びっくりだ!



******** うつ とく🎄🎄🎅🎄しゅう うつ ********** 






 







 



 


 







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