第258話 『弦楽四重奏曲 ト短調』 グリーグ

 グリーグ先生(1843~1907)には、ほかにヘ長調の、未完成になった弦楽四重奏曲があります。他人様によって、完成させられております。


 そこで、これは確認される唯一の、完成された弦楽四重奏曲。


 ぐり先生の意図としては、お経の様な堅苦しいものじゃなくて、アット・ホームな、楽しい作品を目指したようなところであります。


 たしかに、『弦楽四重奏曲』は、たとえ大作曲家様にあってさえも、一種、鬼門の様な面持がある分野かも。


 実力がもろに露わになり、ごまかしがきかない。


 音質が似た者同士による合奏なので、単調に陥る危険性がある。


 ハイドン先生、モーツアルト先生、ベートーヴェン先生などによる、恐るべき先達があるので、なかなか同じ方向性では目立てない。


 ドヴォ先生のように、(あ、ドヴォルザークさまですな・・)民族性を織り込むことと、豊かな旋律で、新世界を切り開いた方がいます。


 バルト-ク先生は、20世紀の風を追い風に、真っ向から勝負を挑んで成功しました。


 ニルセン先生や、ステンハンマル先生という、北欧の大家は、民族性に頼ることなく、これまた独自の視点から傑作を書くことに成功しました。


 シベリウス先生は、若い頃はけっこうたくさん室内楽を書いたのですが、プロになってからは、ニ短調の『弦楽四重奏曲』1曲だけにすべてをかけ、傑作を残しました。


 チャイコフスキー先生は、『アンダンテ・カンタービレ』を含む『第1番』が一般にもよく知られますが、全曲聞かれることは、少ないかも。


 ボロディン先生も『ノクターン』を含む『第2番』が有名ですが、これもそこだけ聞かれることが多いかも。


 ショスタコーヴィチ先生は、聞くだけで、もう人生終わりそうな、悲壮感満載のくら~~い弦楽四重奏曲をたくさん書いて、成功しました。(ちょと、言い過ぎ・・・)


 そうしたなかで、ぐり先生の音楽は、たしかに聴いて楽しい音楽を目指したのだという事は、よくわかります。


 もとも、さすがは、ドイツ仕込みなだけに、形式的に破綻するようなことはやりません。


 『4楽章形式』の、なかなかしっかりとした作品であります。


 よい、お歌に溢れた、いかにもぐり先生らしい音楽です。


 作曲の意図からしても、難しく考えないで、ゆったりと慰めてもらいたいところです。


 完成は、1878年。


 ぐり先生は、わりとドイツなどでも好意的に受け入れられた方のようで、この曲もそうだったようです。


 同じドイツ方面仕込みではあっても、ドイツの牙城『交響曲』に力を入れたシベリウス先生は、あまりに出来が良すぎたせいなのか、『本場』からの反発をかなり受けたようです。(うわさでは、フルトヴェングラー先生から『あれは、交響曲じゃあない』と言われたとかで、シベ先生が怒ったとか・・・ただし、真偽の確認はとれておりません。逆に賞賛された報告があります。しかし、フルヴェン先生にしべ先生の交響曲の録音が見られないのは事実。なお、クーレンカンプ様と組んだ有名な『ヴァイオリン協奏曲』と、『エン・サガ』(2種あり)の録音は有名。)ただし、ドイツのマスコミで、『第2交響曲』が、むちゃくちゃ褒められたことがあります。・・・どうも、民族主義的主張の背景があったらしいとも言われますが・・・)

 

 まあ、イギリスとアメリカを(日本人もけっこう、しべ先生好き・・・)除いて、なかなか、順風満帆とはゆかなかった感じですが、一方、ぐり先生は、美しいピアノの小曲が多いこともあり、大方、欧州では、広く好意的に受け入れられたようです。




  ******** うつ 🏔🏔🏔 うつ ******** 


 

 


 



 

 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る