第133話 『ヴァイオリン協奏曲第2番』 パガニーニ
ニコロ・パガニーニ先生(1782~1840)は、ヴァイオリン技巧の究極の求道者というイメージと、非常に怪しい人、というイメージが同居していて、どうも人としての在り方がよくわからない方です。
ジャン=ミシェル・モルクさま著の『偉大なヴァイオリニスト』(2012年 ヤマハミュージックメディア 藤本優子さま訳)を見れば、ヴァイリンの歴史は、『パガニーニ以前と以降の二つに分かれる』、とまで言われるくらいですから、並のお話しではありません。
壮絶な努力で得たテクニックは、他の誰も寄せ付けず、おかげで大金を手にしたし、女性やギャンブルにもつぎ込み、あげく、楽器を借金の取り立てで没収されたりもしたとか。
聴くところでは、人生の一時期に、またく謎の時期があり、どこでなにしていたのか、わからない・・・とか。
1828年(シューベルトさんが亡くなった年です)ウィーンに出たパガニ先生は、この『ヴァイオリン協奏曲第2番』を引っ提げて登場。14回もコンサートを行い(これ、すごいことでしょう。)皇帝陛下から叙勲されたと。
そのシューベ先生は、自分の家財を売り払って高額のチケット代をねん出し、聞きに行ったとか・・・。
その後、ベルリンからポーランド、ドイツ全土、パリ、ロンドンと演奏旅行をし、パリに帰着。
ギャンブルや遊興に励んだとか。
しかし、どうやら1828年ころから体調がおかしくなりはじめ、パルマとパリとを往復しながら過ごしたものの、1838年10月には喉の疾患で声も出せなくなり、1840年5月27日に、ニースで亡くなったとのこと。
なにしろ、悪魔に魂を売った男だとか、当時から噂の絶えない方ではあったのでしょうけれど、こうしたものは、パガ二先生の売り上げを増やすことに、きっと多いに繋がったのでありましょう。
亡くなった時には、ヴァイオリンの名器を22挺持っていたんだそうで、うち11挺は、ストラディヴァリだったとか。
ご自分の技巧や音楽を守るために(著作権など、まだ完備されていなかった時代)、極端な秘密主義を貫き、オケの楽譜も、演奏直前にならないと楽員には渡さず、終わったら、さっさと回収していたとのことが、昔からすごっく宣伝されていて、なんだか異常にけちなイメージが世間に広められていましたが、このくらいは、今考えたら、むしろ当たり前のような気もします。
ただ、オケの楽員さんは練習時間が取れないので、超絶技巧満載のソロと違って、わりと初見でもできるくらいに、簡単に書かれていたとのこと。
まあ、聞いてみても、そんな感じはします。
弟子もほとんどとらず、ひとりだけいらっしゃったことは確かなのですが、あまり自分の技は伝えようとしなかったとも・・・。
作品は『24のカプリース』と『ヴァイオリン協奏曲第1番』と『2番』あたりが有名。
『ヴァイオリン協奏曲』は、現在6曲知られていますが、実際はもっとあったらしくも言われますが、そういう秘密主義の方なので、きちっと残らなかったようであります。
パガ二先生以降の優秀なヴァイオリニストの方は、必死に技巧の研鑽を行い、相当の時間を費やして、19世紀の後半くらいになって、やっとパガニ先生の技術に追いついたような事だったようです。
音楽の中身そのものについては、あまり高く評価されないのがむしろ普通な感じで、奥の深い音楽ではない、との意見が大勢のようではあります。
しかし、イタリアの方らしい、流れる様な美しい旋律には、確かに魅力があり、その魔術的な演奏は、多くの方に影響を与えたことも事実で、ピアノの大巨匠、フランツ・リスト先生(1811~1886)は、パガニ先生を聞いて、失意の状態から大奮起したと言われ、皆様よくご存じのピアノ曲『ラ・カンパネラ』は、この『ヴァイオリン協奏曲第2番』の『第3楽章』をテーマとして使って成功したものであります。(現状は、リスト先生の曲の方が、たぶん有名かと。)
やましんは、この『第3楽章』が、パガニ先生の曲の中では一番好きです。(ちょっと、よくわからない部分もありますが・・・)
なんとなく、『うつうつ』気分を、多少、和らげてくれる感じがしますから。
もちろん、ラフマニノフ先生の『パガニーニの主題による狂詩曲』も、そうであります。
音楽評論家の方からは(音楽おたくの方からも・・・)、かならずしも、あまり受けがよくない場合も、まあ、ありながら、また、その正体がよっくわからない、謎の多い人物でありながら、現在に至るまで、ことヴァイオリンの演奏には、大きな影響を及ぼし続けている、すっごい方なのであります。
**********🎻うつ 👿? 👼? うつ🎻**********
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