第110話 『作品8』 ブラームス
『ピアノ三重奏曲第1番』のことであります。
やましんには、ちょっとつらい思い出がある曲です。
むかしむかし、まだ、やましんが、すっごく若かりし日に、当時、須磨にあった輸入盤専門のレコード店様に、遠路はるばると出かけ(雑誌で情報を見て・・・)その際、試聴させていただいたLPレコードの中に、この曲が入っておりました。
不覚にも、その時、始めてこの曲に接したのですが、冒頭部分だけですっかり魅了されてしまったのです。
それからしばらくして、神戸の大震災が起こったのです。その後、何のお伺いもせずに過ごしてしまったのが、やましんの罪の意識として、いまも残っております。
この曲は、ブラムス先生20歳の時期の作品であります。
しかし、その35年後になって、ブラムス先生は、この曲の大改訂を行いました。
現在聞く多くの演奏は、この改訂版によるものだと思います。
ところが、最初に書かれた当時のバージョンも残っているようで、そちらによって録音されたCDもあります。やましんが聴いているのは、ちょっと、もう大分前のモノになりましたが、『アルテノヴァ BVCC-6069』であります。演奏はそれこそ、『トリオ・オーパス8』さま。この曲から取ったお名前なんだそうです。
演奏時間だけから見ても、随分違いがありまして、第1楽章などは、ちょとオーバーに言えば、倍半分くらいの違いがあります。
当然、改訂版を聞いて、それからこちらを聞くと、『なが~~~!』とも思うのですが、何と申しますか、改訂版は、やはり、功成り名遂げた後に書かれたもので、隙がないと言いますか、完璧と言いますか・・・、なんですが、ちょっと長くってうねってるような原典版には、完璧じゃない・・というと、言い方よくないですが・・・やり過ぎとか、そこまでやるか! とか、そういう感じもしなくはないとしても、一方で、怖いもの知らずというか、新鮮というか、活きが良いと言いますか、すごくピュアに迫ってくる凄さと言うものがあります。
最初のインスピレーションというものは、何事でも、大事なものだとよく言われますが、やはりブラムス先生クラスの超天才ともなると、それ自体が、やましんのはるかな、はるかな、見えない頭の上にあるものですから、どっちにしても、全然見えない位に、頂は高いのですが、それでも、どんな高いお山にも、麓というものが、必ずありまして、そこは、それなりに、見えるものなのです。
一部だけ見て、全体を知ったと思うなかれ、かもしれないけれど、それでも、なにも見ないで帰るより、ちょっとだけでも知ったら、素晴らしいじゃないですか。
ええ、お薬で、すでに頭がぼんやりとしてきますので、破綻する前にやめますが、これは、非常にじゅわじゅわな、癒し効果も大変高い、傑作なのであります!
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