第67話 『ジェモー』 武満徹

 武満様の音楽は、やましんには深遠すぎる。


 中学生時代から、ずっとそう思ってきました。


 いつまでたっても、そうです。


 まあ、やましんが進歩しないからなのか、相手が宇宙の恒星のように遠すぎて、どんな望遠鏡で拡大してみても、まったく変わらないのと同じなのか。


 しかし、最近は観測技術が進化して、いろんなことが解って来る時代ですから、もうすこし見えてもよさそうなものを。(全然関係なし) 


 この作品は、1971年から15年かけて完成したという大作。


 さすがのドンカンなやましんにも、いささか気になってしまう、強烈な個性がある傑作。


 書き始められた時期と、完成の時期に大きな開きがあるためなのか、音楽の持つ性格がとても幅広くて、しろうとにも感じやすい要素があるんだろうとも、思います。


 なんとなく、旋律的なかるい香があったりもしますし、オーボエ、トロンボーンのソロが入っているので、その面白みもあります。


 管弦楽は2群を要し、指揮者も二人。


 ソロ楽器は、それぞれひとつづつ。


 このあたりは、やましんの再生装置では、音だけで判別するのはちょっと無理があります。


 本来は、目で見る要素も大きいんでしょうけれど、お外にはあまり出たくないやましんには、ちょっと、もう、無理かも。


 一番最後は、調性音楽的な協和音で締めくくりますが、ここには、メシアンさまの『トゥーランガリラ交響曲』とか、音自体は違うけど、シベ先生の『タピオラ』の終結部を思い出させるところがあります。


 つまり、この世を、あまねく見渡す光のような感じ。

 

 この音だけで、癒されてしまう気がします。


 

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