第29話 『交響曲第2番』 ステンハンマル
スウェーデンの大作曲家、ステンハンマル先生の最高傑作と目される作品であります。
第1番も、実は大変すばらしい傑作なのですが、シベリウスさんの第2交響曲を聞いたステン先生が、これはあまりに素晴らしい、と、感じたのか、自らの第1交響曲を撤回してしまい、長い間、聞くことができなかったという、曰く因縁があります。(もちろん、現在はちゃんとCDでも聞けますので!)
そうして、やがて登場したこの『第2番』こそ、ステンハンマル先生、入魂の交響曲だったわけです。
実際、この交響曲、まったく独自の世界で、どうやら他に類例がありません。
同世代で、北欧では、圧倒的な影響力があった、シベ先生やニルセン先生の交響曲とも、まったく異なる世界です。
最初ちょっと聞くと、なんだか少しごたごたして、整理して聞くのが難しいように感じるかもしれません。(ぼくは、そうでしたが・・・)
でも、実のところ、これがまたとっても良くできております。
第1楽章の展開部なども、いったい楽譜はどうなってるの(見たことないのですが)と思うような精緻な音楽です。今手元から消えておりますが、その昔、BISレーベルから出ていた、ボックスCDに、名指揮者トール・マンさんのリハーサル風景の録音が収められておりまして、それを聞くと、なんだか、オケマンさん(たぶん、ファゴットだったっけかなあ・・・)、ちょっと出だしを間違えたんじゃないかしら、という場面があったりして、なんだか面白く(すみません)聞きましたが、いったい、どこから出たらいいのか困るような、つまり聞く方からすると、わくわくするような場面もあったりします。
ステンハンマル先生は、メロディーづくりの名人でもあったようで、この交響曲にも、名旋律がふんだんに織り込まれています。
北欧の、ほんのりと、うっとおしさが宿る第2楽章もそうですが、第3楽章も、独自の世界で素晴らしいものです。
また、ステン先生は、シベ先生とも仲良しだったようですが、指揮者としてピアニストとして、ご多忙過ぎて、作品の数自体は、少し控えめなようです。
ときに、この曲、終楽章に不思議な場面が織り込まれておりまして、大変ごきげんなフーガが展開されて、そのまま豪快に終わるのかと思いきや、なぜか終結部に至って、突然、少し世の中に対して斜めに構えたような、ちょっと悲劇的な様相に転じます。
ここは、いったい何なのだろうか、といつも思います。
ほかの作品でも、そうした場面があったような気もしますが、いつも真っすぐで、常に、まっとうなステンハンマル先生の音楽の在り方のなかで、なにやら解決できない謎、のような感じがいたします。
もしも、天国でインタビュー出来たら、聞いて見たいなあとも思いますが、日本語では、通じないかな。
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