紋、戦場、妖精(2222字 or 360字)

「あ、彼女からラインだ」


 俺がため息をついていると、こいつはそんなことを言いやがった。


「って、彼女がいるのに紹介しろって言ったのか!?」


 そう言うと、反論をしてきて、それに反論すると、そこから先はまさに戦場だった。お酒の力も入っていて、お互いが言いたいことをただひたすらに言い合うだけの。

 そして、しばらく言い争うとお互い落ち着いてきた。そして、


「先輩も見ます?妖精みたいに可愛いんですよ」


 そう言ってこいつは俺にスマホを見せてきた。

 そこに写っていたのは知っている人物だった。彼女が好きだと言っていた百合の紋章。それを存分にモチーフに使用しているスカーフを巻いていた。それは、俺がプレゼントしたもので、まだ使っていてくれることが嬉しかった。

 でも、何故?当時はそんなことを言っていなかったはず……。それとも、他人の空似の偶然……?

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