三題噺マラソン用(一つのストーリー)

雪、花畑、寝起き(朝禁止)

 会社を出ると、雪が降り始めていた。

 寒さに震えながら駅まで歩いていると、不意に昔のことを思い出した。あの日も確か、こんな雪の降る日だった。

 名前は忘れたけれども、花で有名な観光地。確か、行こうと思っていた場所へのバスに乗り遅れて、季節外れだけれどそこへ行ったんだっけ。俺の隣で彼女は幸せそうに微笑みながら、

「また、春になったらここに来ようね。ここの花畑が満開の時に」

 なんて言ってたっけ。でも、結局、行くことはなかった。

 春頃からは半同棲生活を始めた。それなのに、彼女は突然出ていって戻ってくることはなかった。出ていくとき、何かを言っているような気がした。けれど、俺は寝起きでちゃんと聞いていなかった。あの日、ちゃんと話を聞いていたら俺たちの関係は違っていたのだろうか……?

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