初恋、灯台、雨
初恋は実らない、そんなことを最初に言ったのは誰なんだろう?でも、それは本当なのかもしれない。だって、十年前の今日、わたしの初恋は一つの終わりを迎えたのだから。
「ずっと前から好きでした」
「ごめん。俺、他に好きな人がいるから……」
少しでも雰囲気の良い場所で、そう思って夕暮れの灯台に呼び出して告白をした。結果は玉砕。
でも、今でもはっきりと思い出せる、彼の申し訳なさそうな顔。そんな優しい彼が今でもわたしは好き。
会うことがなくなってもわたしの想いは色褪せることはなかった。
あの日は今日と違って晴れていて、夕焼けがきれいだった。
冷たい雨が降る中、一人で昔を思い出していたら、後ろから足音が聞こえた。
振り返るとそこには偶然、彼がいた。わたしは、
「ねぇ、知ってる?わたしは今でも貴方の事が好きなのよ?」
と、妖艶に微笑みながら言ってみた。彼は少し困惑したような、驚いたような複雑な表情をしたあと、昔みたいな優しい笑みをわたしに向けて――
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