第2話 コイツの話
「この世界はね、キミがいる世界とは少し違うの」
ㅤちょっと待て。世界の話をされる前に、わからないことがたくさんある。まず、お前は何者なんだ。
「こんばんは、ヅッチーノだよ」
ㅤ心の声を聞かれているのか。聞かれているわりには、ちゃんとした説明になっていない。ヅッチーノって何なんだ。これは夢なのか。
「ヅッチーノはね、キミのお母さん」
ㅤふざけるな。いや、落ち着け。もうこうなったからには仕方ない。自由に話を続けてくれ。オレは寝る。
「寝る必要はないんだ。この世界には、欲がないんだ」
ㅤ何を言っている。バカバカしい。話を続けてくれ。
「寝てもいいけど、寝なきゃいけないことはない。食べてもいいけど、お腹が空く心配はない」
ㅤなるほど。どうりで、こんな話を聞かされても眠たくならないわけだ。
「恋だってしなくてもいいんだよ」
——信じられないな。まぁ、信じる必要もないか。これは夢だ。夢の話だ。一晩くらい、コイツのわけわからない話に付き合ってやってもいいか。
「こんばんは、ヅッチーノだよ」
……ヅッチーノの話にね。
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