第18話 戦士たち
一段と空が暗い。
最後のイーターがさらに近づいてきていた。
最初の戦闘から一日たっていた、ようやく修理されたレイヴン、だがその姿は様変わりしていた。
「小鳥・・・これは・・・?」
「うん、時雨博士が、最後に考えていた、レイヴンの強化、それをちょっと、参考に私なりに作ったの、きみに言われたとおり、足回りの強化と剣の軽量化、あとは、あんまり使わないだろうけど銃の弾速と威力の強化もしたの、防御力も飛躍的に上がっているわ、もう、突進なんかじゃあ壊れないんだから!!」
「なんか、俺の想像以上の物になってるね・・・」
「私ができる最大限、それから、空も飛べるようにしたの!!まぁ、飛ぶというよりホバーなんだけど・・・空中戦になっても戦えるようにしたの!」
「・・・・ありがとう、小鳥、すっごく助かる」
小鳥はいろんな戦場を想像して、この数日を費やした。
どの状況でも戦えるように、どんな状態になっても、操縦者が安全でいられるように、片腕がなくなっても片足がなくなって、立っていられるように、レイヴンに記憶された貴彦の戦闘データをみて、その動きにレイヴンがついて行けるように、彼女が持つ技術を終結させて作られたレイヴン
その姿は、まるで騎士のように凛としている、全体的に白くその身体を美しく見せるように黄色と赤のラインが筋を彩っている、足回りを強化したと言ったが前より細いのだ。
「前より、だいぶ細い気がするけど・・・」
「ええ、スピードを上げるためにはどうしても、空気抵抗を考えないといけない、まえは試作機でもあるから、だいぶ余計なものが多かった、それを全部取り払って必要なものと新しい物を詰め込んだ、操縦は変わってないから安心してね」
「ああ・・・」
ここまでなるとは思わなかったが、小鳥なりの優しさなんだと理解した。
戦場へ行かない、つい数分の間に二度と帰ってこない物がいたというのが一番恐ろしいのだろう、だから、彼女が考える最悪を避けるためここまでしてくれたのだ。
正直少しわがままが過ぎたような気もしていたが、その心配はいらなかったようだ。
「貴彦君、頑張ってなんて言わないから・・・華純ちゃんと一緒に、帰ってきてね・・・」
「・・・・もちろん、死んで名誉なって、戦う者にとって侮辱だ、生きて帰ってこその盟友だ!」
ハッチが開けられ、レイヴンは地上へと姿を現す。
その瞬間っ見えた光景は、すさまじい物だった、基地の目の前にはあの人型のイーター達が大量に地上へと送り込まれていた、レイヴンの後ろには、地上部隊も並んでいた。
「なによ・・・これ・・・」
「どうやら、俺たちをあいつに近づけないように、配置されたみたいだな・・・」
「くっそ・・・海上部隊も協力させて、地上で戦うつもりだったのに・・・!!」
「これでは・・・」
海上部隊も地上部隊に合流し、地上部隊の数を増やしたが、それを上回る数のイーター達がいた、だが、レイヴンは右に剣を持った。
「大丈夫です、全員切り伏せてやる!!」
「じゃあ、私達は倒れた奴らの頭を吹っ飛ばしてやるわ、小鳥が大量に弾薬くれたから!」
「お前ら!子供らに負けんようにに行くぞ!!」
「おおおおおお!!」
崖元の掛け声に応えるように声が上がる。
すると通信が入る、それは、指令からだった。
「みんな、これが最後だ、きっと、今まで経験したこともないほどの戦いになるだろう、だが、臆することはない、これまでの経験を信じ、これまでの知識を生かせ、目の前の奴らに見せつけてやれ、人間を敵に回したらどうなるか、奴らに本物の恐怖を教えてやれ、我らは戦士だ、死に事はならない、逃げてもいいから生き残れ!!」
「はい!」
「了解!」
「おうよ!」
「目標、戦艦イーターの撃破、全軍、突撃――――――――っ!!」
指令の掛け声とともにレイヴンは走り出した。
その後ろから戦車たちも全速で走り出す、人型イーターがそれに気づき、レイヴンの前に立ち塞がる。
「どけええええええええええ――――――っ!!」
遅い来る、イーター達を細く長めの剣でその手足を切り裂いていく、それでもなお動こうとする、イーターに向けて華純たちがあのバズーカで頭部を破壊していく
「起きてんじゃあ、ないわよ!!」
「いっけー!!」
「ぶっ壊れろ!!」
「やれ―――!!」
爆発音と破壊音が交互に鳴り響いてくる、人型イーター達もとうとう武器を持ち出しても、レイヴン、貴彦の技の前には何の役にも立たない。
「一槍!!」
剣を槍のように突き、人型イーターの中心をすべて破壊していく、時にはその量の腕を跳ね飛ばし、その両足を打ち払って行く、その光景は異形のように見えて、絶対なる強さだった。
「すごい・・・あれが、ホントに暗殺の原型の技なの・・・」
「マジかで見るとすさまじいな・・・」
「レイヴンこっちはもういい!、お前は本拠地に行け!!」
酒井が貴彦に行く頃には、もうほとんどの人型のイーターは倒れ伏していた。
「でも・・・」
「もう、ほとんどおまえが無力化してくれただろう、後は俺らで何とかできる、だから、行ってこい!」
「・・・・はい!」
貴彦は頷き、また、走りだした。
海岸近くまで来て、ホバーの用意をする
「アイ、あそこまで飛ぶのはどうしたらしい?」
「二十メートル以上飛ばないと、難しいです・・・」
「・・・・ホバーじゃあ、きついかな・・・・ん?」
地上から上空に浮いている巨大な戦艦、そこまで行くにはいささか無理があった。
ふとお横を見たとき、人型イーターが倒れていた、彼の背には羽のような機械の一部があった、それをよく見ようと羽がついている箱を持ち上げる
「これ・・・使えないかな」
「え・・・ま、マスターさすがに危険では・・・」
「えー、何でも試してみる物じゃない?」
どういう物か、調べていると一か所から、ガシャンと音がした。
「わっ!」
「どうやら、サポートロボットのようです」
「お、おう・・・」
ただの付属部下と思っていたら、鳥のような顔を出した。
ギャーギャーと騒ぎレイヴンの手の中で大暴れする。
「お、おお!!ちょ・・・大人しくしてよ!!」
「ハッキングします」
「え・・・できるの・・・?」
暴れ出した鳥を抑えようとする、のを見かねたのか、アイが鳥にハッキングすると言って、データに入り込んだ、しばらくすると鳥も動きを止める、数分するとアイが帰ってきた
「あ、お帰り」
「はい、ハッキング完了です、彼らは付属飛行サポートユニットのようです、使えるように調整もしておきました。」
「へぇー・・・え!つかえるの!?まじか!!」
クエーと一声鳴くと飛びあがり、レイヴンの背に取りつく、すると、画面に付属のユニットのデータが表示される。
「わーお、・・・・よし!」
貴彦は、海岸から離れて、少し離れた、丘を目指した
そこは、あの夕日のような老人と出会った場所だった。
爆発と破壊音が鳴り響く戦場、その光景をただ一人、見つめるのは小鳥だった。
「・・・みんな、無事に・・・・!」
胸の前に手を組み、祈るようにつぶやく、神でもなんでもいい、どうか彼らが無事でいるようにと、小鳥は祈り続けた。
バズーカを放ち、頭部を破壊する、
レイヴンのいた方に振り返る、そこには空を飛んでいる、レイヴンがいた。
「・・・・・飛んでる・・・」
その姿はまるでおとぎ話に出てくる、天使のように見えた。
丘の端にたどり着き、一気に走って、丘の頂上で思いっきり踏み込んで飛んだ。
クエーっと言って鳥は羽を広げ、レイヴンを空へと導く。
「うひょおお――――っ!!すげぇ!!」
「これなら、あそこまで行けます!!」
空から見る、地上は意外と小さいんだなと思った。
「レイヴン、いくよ!」
風を切り、雲を超える。
すると、戦艦のハッチから人型イーター達がこちらに向けて飛んでくる。
攻撃の剣を振り払いながら、両腕を両足を、胴体を破壊して、吹き飛ばして行く
数は多いが苦ではない、自分に敵意を持って現れたものたちをすべて、薙ぎ払っていく
入り口はどこだかわからない、ならと思い、襲ってきたイーターの腹に剣を刺し、そのまま盾にするようにして、イーター達が現れたハッチへと突撃した。
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