第8話 世界を喰らう者
留まると言ったものの、敵が現れなければ出番はない
どう過そうかと悩んでいた時、突然、華純が現れ、部隊の訓練所に連れて行かれた。
「ぐはっ・・・・もう、無理・・・・」
「意外と体力ないのね、ほら、立ちなさい、まだまだ、これからよ」
「こ、殺す気か・・・この野郎・・・・」
「なによ、根性なし」
普段使わない筋肉を使ったためか、運動の激しさゆえか、貴彦の体力は限界を迎えて床に倒れたのだった。
「あんな、敵を一撃でやれる技持ってるのになぁ、兄ちゃん」
「あれは・・・・猫だましみたいなもので、そこまで筋肉を必要としていないんですよ・・・」
「そうなのかい」
興味がありそうに、酒井、崖元が問いかけてくる
「ええ、まぁ、じいちゃんにはまだまだって言われますけど・・・」
「誰でもできるの?」
「うーん、慣れるまで、つらいと思うよ」
「ほう、面白そうだな、ちょいと教えてくれよ」
「えー・・・」
興味津々のようで押し切られた、簡単なものを数個教えたのだが、
「な、ナニコレ・・・予想外に・・・・きつい・・・」
「う、腕が・・・攣りそう・・・・」
「う、動けぬ・・・・」
三人とも動けなくなった。
「だから言ったのに、少し休めば、治りますからごゆっくり」
「ちょ・・・待ちなさい!!」
好都合と訓練所から出て行った。
適当に、基地内を見渡していた時だった。
「あ!」
「ほえ?」
声に反応して振り返ると小鳥がいた
「ちょうどよかった!」
「・・・・・え?」
嫌な予感がしたが逃げ切れず、彼女の買い物に付き合わされることになった隣にある街に行って、何店舗か、回って買い物袋が増えたが持てない量ではなかった。
「悪いねー、つき合わせちゃって」
「いえ・・・別に」
「そういえばさ、銃は使わないの?」
「はい?」
「レイヴンの」
急に聞かれたことに反応できずに聞き返し、帰ってきた物に納得した。
「ああ・・・ああいった物はちょっと・・・苦手で・・・・」
「ふーん、まぁいいけど、他に必要な武器とかあったら言ってね」
「え・・・ああ・・・うん、大丈夫だよ」
「・・・・そう言って、頼ってくれないんだから・・・」
満足のいく返答ではなかったようで小鳥は拗ねてしまった。
次の店に小鳥が入っていくのを見届けて、店の前で休憩することにした。
「はぁー・・・・」
少しうとうとしてしまったせいで瞼を一回閉じて、次に開いた時だった。
「・・・・は?」
夕日がさす、どこかの教室、壁や黒板には、惑星系や星座の表が張られている場所だった、だが、貴彦には見覚えのない場所だった。
「・・・どこだ、ここ・・・?」
「やぁ、ヒーロー、ようやく呼べたよ」
驚き、振り返ると、オレンジに染まる金の色の髪のサングラスをした男が机に座っていた。
「だれだ・・・あんた・・」
「時雨の息子か・・・ふむ・・・世界とはほんとにままならぬものだ」
「・・・・母さんを知っているのか!」
「ああ、知っているよ、よーくね、そして、君が殺した化け物の事も・・・」
「・・・なんだと・・・・」
男はニヤつきながら話す、貴彦は飲まれないために冷静に務めた。
「あの化け物たちは、world eater《ワールド イーター》 と言うだよ、世界を喰らう者、滅びをもたらすもの達さ」
「ワールド・・・・イーター・・・・それがあいつらの名前なのか・・・」
「ああ、彼らは世界に阻まれる、この世界の中では姿を保てないのさ」
「なら、なんで・・・アイツラは、動いている!」
「私が、姿を作ってやったのさ」
「・・・・え」
「運命に従え、英雄、この世界は滅びの怪物に選ばれた、この世界は、滅びねばならない・・・わかるか?」
貴彦は男が怖くなった。
恐ろしいことを言っているのに、なんでもないように、何も感じないように言う男が心底恐ろしい物に見えた。
「・・・・・」
「人も動物たちも世界に従う奴隷だ、彼らはそれらすべてを消してくれる、だというのに、時雨もあの竜も、それに抵抗しようとしているのだから・・・フヒヒヒ、おかしいな」
「なんで・・・あんたは、何がしたいんだ!!なんで、こんな!!」
笑う男にそう問う、男は何でもないように言った。
「だって、面白いじゃねぇーか、世界が滅ぶ瞬間が見れるかもしれないんだぜ、なぁ、
「貴様っ!!」
男に飛び掛かろうとした、が、そこはもう、街の中だった。
「え・・・」
「起きた!大変なの、敵が現れて!華純ちゃんが!!」
目が覚めた目の前には小鳥がいて、すごく慌てていた。
敵が現れたらしく、市民の避難誘導中に華純が、ワールド・イーターに捕まったとのことだった。
逃げて行く人ごみをことりと一緒にかき分けながら、戦場へと行った。
たどり着いて、観たものは二つの球体が細いひものような物でつながった、敵だった。
「おお!!貴彦君!!こっちだ!!」
「崖元さん!!」
「早くしろ、兄ちゃん!このまま奴に華純が殺されたら、その存在自体が消える!!」
「・・・・・っ!」
消えたらどうなるのかと聞いた事はなかった、だが、どうやら奴らに殺されたらその人がいたという事実が消えてしまうらしいこれを侵食とも呼んでいるらしい、それを聞いた、貴彦はレイヴンに飛び乗った。
「マスター!!」
「人命優先だ!、敵の始末はそのあとだ!」
「了解しました」
アイにそう言って、走り出した。
触手に巻かれた彼女をどう助けるかとか、考える前に体が動いていた。
「華純っ!!」
「う・・・・レイ・・・・ヴン・・・・・?」
失いそうな意識を何とか叩きお越し、目を開ける、左で剣を持って何も持っていない方の右手を自分に向けて伸ばしていた。
「・・・・にげて・・・」
レイヴンは距離を知事め、右手で優しく華純を手に包んだ、そして、彼女を縛り付けている触手を切り裂いた、それと同時に何かがぶつかるような衝撃が襲った。
「ぐっ・・・・!!なんだっ!!」
「左腹部を損傷、マスター!あれ!!」
「・・・っ!!なん・・・だと・・・」
ただの球体二つだったのに、目玉、もう一つには口のような形が現れていた。
口の方が攻撃してきたようだった。
連続して、遅い来る球体の攻撃を剣で防ぎながら、後ろに下がり距離を取った。
「レイヴン、一時撤退だ!!どうにもおかしい」
「もう少しだけ・・・待ってください!!」
コアを探していた、彼らのコアは外に出ているが体中を動き回っているようで、何度か狙って剣で切りつけたものの壊れなかった。
「こいつら・・・・まさか・・・・」
一つを確かに壊すほどの攻撃を与えた、だが、壊れない、その理由がなんとなく、分かったような気がした。
「レイヴン!!」
「・・・・撤退します」
レイヴンが十分に距離を取った後、海上から、大きな網がイーターたちを包んだ。
基地に戻ってすぐ、華純は医務室に運ばれていった。
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