第4話 初陣

ガシャンと言う音と同時に視界が上下に揺れた、ゆっくり顔を上げると、そこには今にも海から陸に入ろうとする、球体の化け物の場所だった。


「・・・・は?」


「さぁ!少年、そいつを使って、奴を撃ち滅ぼすんだ!!」


さっきまでテレビのように映っていた場所が壁一面に写る、ワイプのように繁が言う。


「う、打ち滅ぼせって・・・言われても・・・動かし方すら知らないのに・・・」


「ダイジョウブです」


「え?」


小さなが目の方にいる、あの生き物が言った。


「大丈夫です、まず、両側にあるレバーをお掴みください、レバーについているスイッチは力加減で手にある指がそれぞれ動きます、下にあるペダルは足を動かすための物です、こちらも思いっきり踏めば走るようになっております。機体の安定、バランス、その他の細かい物はすべて、私にお任せください。」


AIユニットの言うように、レバーを掴み、ペダルに足を乗せる、レバーを動かして指の確認を取る、スイッチの押す力加減できちんと握れたり、緩くしたり出来るようだ。


「右に剣、左に銃を装備しております、お好きな方をお使いください。」


「・・・・・お、おう・・」


右の剣に手を伸ばす、確かに腰あたりになにか四角い箱に棒が刺さっている、棒を握るとで箱ごと獲れる、四角い箱は形を変え剣の形になった。


「すげぇ、変形した」


「あとはお好きに動きください、私はそれに合わせて、機体のバランスを取ります」


「うん・・・あ!ちょっと待って・・・あの球体はどうやって壊すの?」


「あの者たちには必ずコアが存在します、そのコアを破壊すれば、彼らは息絶えるでしょう」


「・・・・・わ、わかった」


ゆっくり、右のペダルを踏むとゆっくり右足を出した。

確かに歩いた、置物の機械が地面に立ち、動いたのだ

その歓喜は俺が想像するよりも大きかったようで、通信先で大きな声が上がった。


「うるせぇ・・・」


「切っておきますね」


「お前は、いいのか?あの人たちに会わなくて」


「はい、わたしは、時雨様が内密に作られたのです」


「その丸い姿は、母がデザインしたの?」


「いえ、機能は全部で来たのですが、フォルムを作っている途中で亡くなられたので・・・」


「・・・そう、だったのか」


とりあえず、持っている武器の射程範囲内に来ると、球体は機械のようだが生き物のように肉が脈打っている


「なにあれ・・・気持ち悪い・・・」


「敵、こちらを認識、来ます!!」


「え!!」


その異様な姿を見て、一瞬反応が遅れた、球体がどこかから数本の触手を伸ばした、一本の触手に打ち払われる

両腕で防御したもののその衝撃が操縦室に伝わり大きく揺られる


「ぐっ・・・・!」


「敵、もう一撃きます!!」


「・・・・・っ!!」


こちらが立て直す前にもう一本の触手で攻撃をしてこようとしていた。

だが、それは叶わなかった、貴彦が左手に持っていた、剣で触手を切ったからだ、さすがの球体も怯んだように少し後ろに下がった。

防衛本能なのか、至る所から触手を伸ばし、ロボットの行く手を阻もうとする、だが、ロボットは止まらない、振り下ろされる触手を避け、当たりそうな物は切り裂いていく


「マ、スター・・・・?」


「・・・・・・・・・」


AIユニットがそう呼びかけても、彼は答えなかった。

化け物には得体の知らない物が無表情にしかも歩いて近づいてくるのだ

それはどれほどの恐怖だっただろう、だが、その恐怖も機械人形が二メートル近くに来たとき、終わりを迎えた。


「闇に沈め、暗忌一閃あんきいっせん!!」


一瞬だった、左に持っていた剣を、球体に刺した、そのあと、右手で横に真っ二つに切り裂いた、化け物は悲鳴も上げずに、崩れ落ちて行った、球体の身体は灰のようになり、この世界に一片も残らず消え去ったのだった。


「・・・・・なに?何が起こったの?」


「あの・・・・技は・・・」


モニターで機械人形の戦いを見ていたものたちは困惑と驚愕に包まれた後、数人を残して歓喜に沸いた。


「敵消滅を確認、やりました、マスター!!」


「・・・・・・」


「マスター?」


AIユニットが伝えるが彼は息を荒く吸っていた後、肩の力が向けるように意識を失いながら、操縦室の背もたれに倒れた。


「マスター・・・いえ、貴彦様、お疲れ様です」


貴彦が次に目を覚ました時は、最初に入ったように薄暗い操縦室の中だった。


「・・・・・ここは・・・」


外から数人の声が聞こえた、元の場所に戻ってきたことがなんとなくわかった。


「少年!今すぐ、出てくるんだ!!」


「・・・・繁・・・さん?なんで・・・銃なんか持ってんだよ・・・」


「彼らはマスターを危険人物と認識しています。」


「そんな・・・・」


やれと言ったのは彼ら名のに、自分に敵意を向けてきている。

理解できるようで理解できない、自分は怒られ様なことをしていないのに、どうして、敵意を向けられる、また、膝を抱えて閉じこもる


「マスター・・・・」


「人間なんて、信用するものじゃないな・・・いつもそうだ、都合のいい時に人を巻き込んで、悪くなるとトカゲみたいに切り捨てる、どこでも一緒だな・・・・」


「マスターは・・・・」


「さて、あの人たちは出ててほしい、俺は出て帰りたい、あっちは銃を持っていてこっちは何もなし、あの人たちがほしいのはこれだろう、なら、取引してやる・・・」


「え」


「通信を開いてくれ」


AIユニットは命令に従った。


「崖元さん」


「っ!!少年!!」


「武器を降ろしてください」


「それはできん、君は、早くそこから出てきなさい」


「交渉しませんか?こいつの操縦方法を教える代わりに、俺をここから帰してください」


「君が言ったことが本当なら、家に帰そう」


「・・・・・それもそうですね、では、武器をしまって来てください、出る代わりに紙に操縦方法を書いておきます、きっと誰でも出来ますよ」


「・・・・・いいだろう」


貴彦は、ポケットに入れていたメモ帳を取出し、さっき教えてもらったことを書き留めた

そして、コックピットの扉を開くと、繁が立っていた、ほかの者はいないようだったので、普通に外に出た。


「これを読めば動かせると思います」


「そうか・・・・すまないな、少年」


「え・・・・っ!!」


紙を渡して、去ろうとしたが頭に衝撃が襲い、意識を失った。

ほら、やっぱり信用できない。


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