第55話 5層②

「空太、大丈夫?」


「マスター、大丈夫ですか?」


 少し離れた場所から2人が声をかける。


「大丈夫。もう少しで土煙が晴れるから気を付けて」


 空太は壁の窪みからゴーレムの方へと視線を変えつつ2人の問いかけに答える。ゴーレムの方を見ると先ほどの攻撃による衝撃によって発生したゴーレムを包んでいた土煙が晴れつつあり、ゴーレムの行動に注意を向ける。


「「「っ⁉」」」


 土煙が晴れた時3人が見たのは追撃を仕掛けようとしたゴーレムの姿……ではなく振り下ろした両手が地面と一体化した身動きの取れないゴーレムの姿だった。


「マスター、あれって……」


「埋まってるな」


 土煙が晴れ一生懸命に埋まった両手を抜こうとするゴーレムの姿に3人の視線が集まる。3人からの視線に気が付いたゴーレムは焦ったように3人の顔をきょろきょろと見渡す。


「良い的」


 ルナが小さく呟きながらスキルで氷弾を次々と作っては放ちを繰り返す。次々と迫ってくる氷弾を見たゴーレムはわずかに動く顔を止めてと言わんばかりに横に振りせめてもの抵抗を見せるが氷弾は次々とゴーレムに当たっていく。十数発程氷弾がゴーレムに直撃するとゴーレムは魔石を残し消滅した。


「満足」


 思う存分スキルを発動したルナは満面の笑みを浮かべまた小さく呟いた。


「空太、フォーチュン。行こ?」


「う、うん」


 ルナはゴーレムの魔石を拾うと空太に渡し6層への階段を指さしつつ固まったままの2人に声をかける。ご機嫌な様子のルナに連れられ3人は5層を後にした。





 

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