第43話 自由行動③

「ただいま。良かった、まだ消えてなかった」


 塔から宿に戻ってきた空太は部屋の中に変わらず血縁の守護鎧がいることに安堵の表情を浮かべる。


「出来たら普通に自由行動させたかったけどそろそろ召喚して1日が経つから」


 空太が血縁の守護鎧に話しかけると血縁の守護鎧は静かに頭を横に振る。それを見た空太が「ありがとう」と言葉をかけると血縁の守護鎧は膝をつきそれを受け取る。しばらくすると血縁の守護鎧は光の粒子となり消えていった。






「歩きながら考える……とは言ったもののどうしましょう」


 宿から出たフォーチュンは電気うさぎをなでながら当てもなく歩いていく。しばらく歩いていくと見覚えのある露店が目に入る。


「あっ、ここって。そういえば朝ご飯まだでした。ご飯じゃないけどここで食べましょうか」


 フォーチュンは副都に来た時に空太とカーミルと一緒に来た露店を見つけ店先へと移動し注文する。大銅貨2枚と引き換えにお菓子を一つ受け取ったフォーチュンは周りを少し見て空いているベンチを見つけ腰を掛けてお菓子を口にした。


「ん、やっぱりおいしい。うさぎさんもどうぞ」


 フォーチュンがお菓子を千切ると電気うさぎの口元へ持っていくと、電気うさぎは少しずつ食べていく。

 お菓子を食べ終わったフォーチュンはベンチに座ったまま電気うさぎの頭をなでていたがしばらくすると立ち上がり再び歩き始める。



「この道はまだ通ったことがありませんね。行くところもありませんし……」


 そのままフォーチュンが歩いていくと少し前に人の集団が目に入る。近づくにつれて笑い声や挑発するような声が大きくなる。


「すみません、これって何の集まりですか?」


「ん?今日もあいつがやってるんだよ。全く弱いのに何でこう突っかかっていくかね」


 フォーチュンは一番外側にいる男に何が行われているのか尋ねると男はあきれながらそれにこたえる。それを聞いたフォーチュンは人の少ないところを見つけると、人垣の中で行われている光景を目にした。

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