第42話 自由行動②

「久しぶりにここに来たな。確かこのあたりに……、あったあった」


 宿を出て空太が向かった先は塔の中にあるリブラルについて調べた本の置いてある部屋だった。

 空太は本棚の方へ歩いていき目的の本を探し始める。本棚を調べていると1冊の本――迷宮の歩き方:リブラル編を手に取りパラパラとめくっていく。


「えっと、次は……、アレント?」


 ページをめくる手が途中で止まり空太が小さく呟く。そこにはリブラルとは異なる大迷宮についての情報が簡単に書かれてあった。


「光を持つ者アレントへの道が開かれる?光ってリブラルが教えてくれた羽のことだよな?」


 空太はアレントのページについて昨日戦ったリブラルの話を思い出しながら読み進める。そのまま読み進めていくが、書いてあるのは迷宮のある場所くらいだった。


「エルテム火山?にあるのか。地図とかも載ってないし……。買いに行くか」


 空太は次に行く場所を決めると本棚に本を戻し部屋を後にする。そして1本の柱の前で「3層」と唱え階を移動し目的地へと向かった。





「いらっしゃいませ……相田さん、お久しぶりです。もう来てくれないのかなと思いました」


 空太が店のドアを開き中へ入ると店の人が駆け寄ってくる。


「久しぶり、カーミルさん。時々来てたんだけどお使いに行ってたみたいだから」


「いらっしゃい。今日は何をお求めで」


 カーミルとやり取りをしていると店の奥からカーミルの父が現れる。


「すみません、エルテム火山へ行きたいんですけど地図とかっておいてありますか?」


 空太の言葉にカーミルが反応しすごい勢いで店の中にある棚へと移動しまた戻ってくる。


「持ってきました。どうぞ」


 少し息を切らしたカーミルが空太に数回折られた紙を渡す。空太が紙を広げるとそこには両手を広げるよりも少しだけ小さい世界地図が描かれていた。


「ありがとう」


「ふぇ!?」


 空太は地図を閉じてカーミルに礼を言うと、フォーチュンにしているようにカーミルの頭をなでる。カーミルはいきなりのことに驚きながらも頬を赤らめて頭を預ける。


「あ、ごめん」


 カーミルの驚いた声で空太は意識を取り戻し頭から手を放す。その手をカーミルは少し名残惜しそうに見ていた。


「すみません、これっていくらになりますか?」


「銀貨8枚だな」


「それじゃあこれでHPポーションとMPポーションを買えるだけお願いします」


 そう言って空太は金貨を1枚差し出す。数分後、複数のポーションと地図の入った紙袋が手渡される。空太はそれを受け取るとマジックバックへと収納し礼を言うとドアの方へと歩いていく。


「ありがとうございました。また来てくださいね」


 カーミルは空太の後姿を見ながら大きく手を振っていた。

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