第22話 癒術士と道化師

「おーい、フォーチュン?……駄目だ、完全に気を失っている。うーん、とりあえずあそこに運ぶか」


 空太は笑う道化師を見て気を失ったフォーチュンを揺らしてみるが、フォーチュンは気を失ったまま動かない。辺りを見渡して横にできそうな場所を見つけると、フォーチュンを抱えて移動を始める。


「よいしょっと。とりあえず目を覚ますまでステータスの確認とかをしておこうか」


 フォーチュンが目を覚ますまでに自分のステータスと笑う道化師のステータス御確認する。



Lv.10

HP:51/51

MP:15/35

攻撃力:27

防御力:22

素早さ:26

魔法:カード召喚Lv.3



笑う道化師

コスト:10

Lv.1

HP:105/105

攻撃力:55

スキル:①幻惑Lv.1



「幻惑スキル……、ゲームでもほとんど使ったことなかったな。成功率低かったし……。それに魔法のレベルはまだ上がってないか。MPが少し回復してるから1回ドローしておくか」


 空太がドローを唱えると新しいカードが現れる。それと同時に視界に映っていたカード召喚のレベルが2から3に変化する。


「あれ?このカード……。それに今のドローでちょうどレベルが上がったのか。何が追加されたんだろう。『解析』」


魔法:カード召喚Lv.3

 ・使用コスト…22/60

  コスト内のカードを召喚することができる。

 ・ドロー:消費MP……10

  MPを消費してカードを引くことができる。

 ・召喚:消費MP……20

  MPを消費してドローしたカードを召喚する。

  召喚したカードは固有の耐久値が0になるか一日経過することで消滅する。

 ・永久召喚:消費MP……30

  コストを使用し続けることで耐久値が0になるまで召喚しておくことができる。

  召喚したカードが消滅するとコストは回復する。

 ・カード詠唱:消費MP……0

  カード固有の残り回数を消費することで所持している魔法陣カードを使用することができる。

  使用できる回数はカードにより異なる。



「さっきドローしたカードって魔法陣カードだよな。MPは消費しないけど回数制限があるのか」


 空太は手元にある新しいカードを見る。



火球

残り使用回数:5/5

敵1体に40のダメージを与える。



「モンスターカードより種類が圧倒的に少ないけど、魔法陣カードを引けたら俺も魔法で攻撃できるようになるのか。なんかまたマジックタクティクスでできることが増えたな。でもこれで5回しかできないけど遠距離からの攻撃方法も出来たし、戦いやすくなったかな」


 空太がこれからの戦い方を考えていると隣で気を失っていたフォーチュンが目を覚ます。


「お、目が覚めたか」


「んう、ここは?」


 フォーチュンがあたりを見渡すとすぐ隣に空太が、少し離れたところに顔を手で隠しているピエロの姿があった。


「あ、私道化師さんを見て気を失ったんだ」


 気を失う前のことを思い出したフォーチュンは笑う道化師のところへ歩いていき謝る。


「すみません、道化師さん。いきなり気を失ってしまって。その、手を除けてもう一度顔を見せてくれませんか」


 フォーチュンがそういうと笑う道化師は恐る恐る手を除ける。そこには少し元気のなさそうなピエロの顔があった。


「ありがとうございます。その、すみませんでした。もう驚きません」


 フォーチュンは笑う道化師の顔を見てもう一度謝るが、笑う道化師はピクリとも動かない。しばらくするとフォーチュンはこの沈黙に耐え切れなくなり少しうつむく。すると笑う道化師は『パチン』とフォーチュンの顔の少し前で鳴らす。いきなりのことでフォーチュンはビクッと身をすくませ目をつむる。恐る恐る目を開けると、笑う道化師の手から1輪の花が握られていた。


「えっと、くれるんですか」


 フォーチュンが聞いてみると、笑う道化師は首を縦に数回振る。フォーチュンが「ありがとう」と受け取ると、笑う道化師はまたボールを取り出しジャグリングを始めた。


「よし、フォーチュンも目を覚ましたし、迷宮に向かうか」


 一部始終を見届けた空太は2人に声をかける。しばらくすると3人はもう一度迷宮へと歩いていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る