第19話 本
『持ち出し禁止』の張り紙の貼られたドアを開け空太達はギルド職員に言われた部屋へと入る。部屋の中には本棚、机、椅子が置かれていた。
「なんか小さい図書館みたいだな。目当ての本はっと……。とりあえずこれにするか」
空太は本棚から『迷宮の歩き方:リブラル編』と書かれた本を取り出す。フォーチュンと椅子に隣り合わせに座るとページをめくり目次を眺める。
「えーと。迷宮について、リブラルについて、リブラルに出現する魔物……。気になる所はこのあたりか」
空太は目次から気になる項目をチェックし本を読み始める。
「なるほど、とりあえずこういうことか」
迷宮についてと、リブラルについて書かれてある項目を読み終えると一旦書いてあることをまとめる。
・迷宮は世界各地に存在し複数の階層から構成される。
・浅い階層から構成されるものから深い階層から構成されるものがある。その中でもリブラルをはじめとする神の創った迷宮は特に深い階層、高難易度を誇る。
・迷宮の中では様々な魔物が生息している。出現する魔物の種類は階層が深くなるほど強くなる。
・各迷宮の最終層には一際強いボスとなる魔物が存在する。また5階層を超える迷宮には5階層ごとにボスとなる魔物が存在する。
・特定の人だけが使える『解析』は迷宮の中では使用することができない。しかし、自分のステータスは見ることはできる。
「解析が使えなかったのは迷宮の仕様か。なんか違う書き方の文があるな。えーと、最後に神の創った大迷宮には順番があり、リブラルは最初の試練です。リブラルを攻略することで次の試練への道が開かれるでしょう……。とりあえずスタート地点ってことかな。あとはリブラルに出現する魔物だな。しばらくの目標は5階層を攻略することを目標にするか」
そう言いながら5階層までに出現する魔物の種類を見ていく。今日戦ったいも虫型の魔物やゴブリンの倒し方が簡単なイラストと共に書かれてあるページをめくっていくと、一際大きなイラストで描かれてるページを見つける。
「でっかいイラストだな、他のページは2、3体一緒に描かれているのに。5紀層、ボス……。ってこれがボスか」
そこには各部分が丸印で囲まれたドラゴンのイラストがあった。
「ドラゴンかー。ファンタジーにはつきものだよな。イラストだとそうでもないけど、実際戦うってなったら大丈夫かな……」
「大丈夫です、私がどんな怪我でも癒してみせますから」
空太の手を握りながらフォーチュンがつぶやく。
「ありがとう、明日から5階層目指して頑張ろう。あとはこの翠玉だな……。とりあえず武器屋に持っていくか」
そう思った空太は本を元の場所に戻すとギルド職員に武器屋の場所を聞きに行く。武器屋の場所を聞いた空太達は言われた階層へと昇り武器屋へとたどり着く。
「いらっしゃいませ。今日は何をお求めですか?」
「すみません、これを使って武器を作ってもらいたいのですが」
空太は翠玉を取り出し説明する。
「翠玉ですか……。回復魔法の効果を上げる装飾品ですが後ろのお嬢さんが持つのですか」
店員は空太の後ろで杖を抱えるフォーチュンを見ながら話す。
「すみません、ちょっと話をしてきますね」
そう言い空太は少し離れてフォーチュンと小さい声で話を始める。
「フォーチュンって違う装備って持てるの?」
「すみません、わからないです。ずっとこの杖しか使ってこなかったので……」
「うーん、とりあえず作って試してみるか」
「すみません、武器の製作ってどれくらいの費用が掛かりますか?」
話し合いを終えた空太はもう一度店員に話しかける。
「素材が何もない状態からだと、1金貨くらいかかりますが、今回要の装飾品を持ち込みですので4銀貨程になります」
「それじゃあお願いします」
空太は銀貨と翠玉を渡す。
「ありがとうございます。2日後には完成していると思いますのでもう一度お越しください」
「わかりました。よろしくお願いします」
そう言い空太達は店を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます