第18話 宝箱
いも虫型の魔物を倒した2人は再び迷宮の奥へ足を進める。途中で魔物と遭遇するが難なく撃破していく。しばらく歩いていくと空太達の目の前に分かれ道が現れた。
「分かれ道か……。どっちに進む?」
「うーん、どちらにしましょう」
進む道を相談していると、フォーチュンの腕から電気うさぎが飛び出し、耳を動かして音を拾う。
「何か聞こえるのか?」
そう言いながら空太は耳を澄ませる。すると、片方の道から足音や話し声が聞こえてくる。
「こっちの方から聞こえるな。どうしよう、今回は人のいない方へ進んでみるか」
そう言いながら音の聞こえない道に進んでいく。しばらく歩くと1つの部屋にたどり着く。
「宝箱?それ以外には何もない部屋だな」
その部屋は真ん中に宝箱がポツンと置かれているだけの部屋だった。
「フォーチュン、一応構えておいて」
空太は宝箱を開ける前に罠があるかもしれないと考え、フォーチュンに指示を出す。
「ゲームだと宝箱が魔物ってよくあるもんな」
空太は元いた世界のゲームを思い出しながら宝箱のふたを開ける。すると中には緑色の水晶玉が入っていた。
「なんだこれ?きれいな玉だけど見たことないな」
そう言いながら緑色の玉をマジックバックに入れる。
「フォーチュン、ありがとう。もういいよ」
「はい。それにしても何もないですね」
「そうだな。魔物もいないみたいだし、ここで昼ご飯をとるか」
「そうですね、何回か戦闘があっておなかがすきました」
2人は周りに魔物がいないことを確認するとその場に腰を下ろす。空太はマジックバックから紙袋を取り出し、中からパンを出す。
「どっちから食べる?俺はジャムからにしようかな」
「クリームパンにします。この子ってパン食べれますか?」
「ほい、クリームパン。どうなんだろう、うさぎだしな……」
そう言いながら空太はジャムパンを少しちぎって電気うさぎの前に出す。するとしばらく観察した後ぱくりと食べる。
「おおー、食べたな。普通のうさぎとは違うのかな?召喚したものだし」
電気うさぎはパンを少し食べると体を丸めて休む。
「可愛い。あ、寝ちゃった。私もあげたかったな」
「ごめん、夜ご飯の時はお願いするよ」
「とりあえず今日はここまでにするか。もう少し休憩したら街に戻ろう」
昼ご飯を食べ終えた空太はこの後の予定を話す。
「わかりました」
数分後、空太達は入り口を目指して歩き始める。戻るまでの間、何回か魔物と遭遇し戦闘になるが倒して魔石を回収する。
街に戻った空太達は人でにぎわうメインストリートを歩いていきギルドへと向かう。
「すみません、依頼の報告をしたいんですけど」
「はい、冒険者証を提出してください」
ギルドに戻った空太達は依頼の報告をするため、冒険者証を提出する。
「魔石の回収ですね。この箱の中に入れてください」
言われた通りにマジックバックから魔石を取り出し箱へと入れる。回収した魔石を全部入れ終えるとギルド職員は数を数え始める。
「ありがとうございます。冒険者証を更新してきますのでお待ちください」
そう言うとギルド職員は奥の部屋へと歩いていく。しばらくすると空太のところへ帰ってきて冒険者証と依頼の報酬を渡す。
「魔石20個で2銀貨になります。おめでとうございます、相田様。今回の依頼達成でFランクからEランクへ昇格しました」
「ありがとうございます。あと、これなんですけど宝箱から見つかったんですけど」
空太は宝箱から見つかった緑色の玉を取り出し見せる。
「これは翠玉ですね、装備を作るときの素材になります。いきなり宝箱が見つかるなんて運がいいですね。同じ場所でもあるときとない時があるので」
「ありがとうございます。あと、迷宮のついて書いてある本とかってありますか?」
「向こうの部屋の中に置いてあります」
空太達はギルド職員に言われた部屋へと歩いていった。
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