第14話 露店

「魔石の回収……ランク関係なしか。フォーチュン、これでもいい?」


「はい、マスターの思うままに選んでください」


「わかった。今日は時間も遅いし明日受けよう。とりあえず今日泊まる宿どうしよう。今回もギルドの人に聞こうかな」


 依頼の貼られている壁の前でこれからの予定を決めた空太とフォーチュンは、王都の時と同じようにギルド職員に宿の場所を聞くために再びカウンターへと向かった。


「すみません、ちょっといいですか?」


「はい、なんでしょう」


「このあたりに宿屋ってありますか?」


「はい、ギルドを出てすぐのところにありますよ」


「ありがとうございます」


 空太達はギルド職員に礼を言うとギルドを出る。


「ほんとにあった。とりあえず泊まれるか聞くか」


 宿屋の中に入りカウンターへと向かう。


「すみません、今日泊まりたいんですけど部屋って空いてますか?」


「いらっしゃいませ。はい、空いていますよ。1人部屋と2人部屋があるのですがどうしますか?値段は1人部屋2室の方が若干高くなりますが……」


(うーん、同じ部屋っていうのはやめといたほうがいいかな。召喚したカードとはいえ一応女の子だし)


「1人部屋を」


「2人部屋でお願いします!」


 空太が1人部屋予約しようと声を出した瞬間横からフォーチュンが2人部屋の予約を入れる。空太がフォーチュンの方を見ると、そこには顔を少し赤らめてうつむいている姿が映った。


「2人部屋でいいの?分けといたほうがいいと思ったんだけど」


「はい、2人部屋がいいです」


「うーん、すみません、2人部屋でお願いします」


「かしこまりました。何泊いたしますか?」


「とりあえず3泊お願いします。あとここって食事ってついていますか?」


「3泊ですね。2銀貨と4大銅貨になります。あとすみません、食事はついていません」


「わかりました」


 空太はお金を渡すと部屋の鍵を受け取り部屋へと向かう。


「本当に同じ部屋でよかったの?」


「はい、マスターと同じ部屋が良かったです。それに召喚されたばかりなので1人は心細いです」


「そうか、ごめんな」


 フォーチュンは杖を抱きしめながら空太に答える。それを聞いた空太は小さい声で謝り、フォーチュンの頭の上にポンッと手を置く。そんなやり取りをしているうちに借りた部屋へと到着した。


「部屋の場所もわかったし、とりあえずご飯でも買いに行くか。フォーチュンはどうする?一緒に行く?」


「はい、ついていきま……」


 部屋の場所を確認した空太は、夜ご飯を買いに出かけようとフォーチュンに声をかける。すると返事が途中で途切れる。


「寝ちゃったか、歩きっぱなしだったもんな」


 ベットに腰を掛けたフォーチュンを寝かせて布団をかけると空太はゆっくりと部屋を出る。




「なんかないかなー。できたらお米が食べたいけど今まで見たことないもんな。」


 空太が独り言をつぶやきながら歩いているとパンを売る露店が見える。


「パンか……。今日はとりあえずこれでいいかな」


  露店の前まで行くと、おいてあるパンの種類が見える。


「白パン、クリームパン、ジャムパン……。大体元いたところと同じようなものか。すみません、白パン2つとジャムパンとクリームパンを1つずつください」


「いらっしゃい。白パンとジャムパンとクリームパンね。4つで3大銅貨になります」


 言われた金額を渡すと、店員からパンの入った紙袋とともに『毎度あり』と大きな声で言われる。礼を言いながら受け取った空太は、紙袋を腰のバックに入れ宿屋へと戻る。




「ただいまーっと。買ってきたはいいけど一人だとなあ。明日の朝ごはんにするか。あとはMP消費して寝よう。『ドロー』」


 空太が魔法を唱えると手元に3枚のカードが現れる。


「人型のカードが1枚と魔物型のカードが2枚か。明日迷宮に入ってから召喚するか」

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