第15話 クリームパン
(なんか抱き心地の良い抱き枕だな。こんな抱き枕なんてうちにあったっけ?)
空太は朝起きて不鮮明な意識の中、手に伝わる感触を楽しむ。
(いや、こんな抱き枕うちにはなかったはずだ。買った覚えもないし……)
「うわあ、なんでフォーチュンが」
意識が鮮明となっていき空太が目を開けると目の前にはフォーチュンの姿が。そして空太の手はがっちりとフォーチュンを抱き込んでいた。
「あれ?俺寝たベット間違えてないよな。確かにフォーチュンの寝ていなかった方のベットに入ったはずなんだけど」
「んう。おはようございます、ますたー。なんで私のベットにいるんですか?」
空太がフォーチュンから手を放し昨晩のことを考えていると、フォーチュンが目を覚ます。
「おはよう、フォーチュン。君のベットはあっちだよ」
空太が杖の立てかけられたもう一つのベットを指さす。
「あわわ、すみません。いつの間にかこっちのベットにきてたみたいです」
「まあいいや。それより朝ご飯を食べよう。昨日買ってきたパンだけどさ。フォーチュンはジャムとクリームどっちがいい?」
「ジャム?クリーム?よくわからないんですけど、クリームでお願いします」
「はい、こっちが普通のパンで、こっちがクリームパン」
空太が2つのパンを渡すと、フォーチュンはそれを交互に見ていた。何回か見た後白パンを手に取り食べ始める。
「このパンやわらかいですね。あとはこのクリームパン……。初めて聞いたなあ」
フォーチュンが恐る恐るクリームパンを手に取り口へと運んでいく。
「何か入ってる、甘い。これがクリーム?」
フォーチュンはクリームに首をかしげつつ食べ進め。、あっという間に食べ終わる。
「マスター、すっごくおいしかったです。ありがとうございます」
フォーチュンは満面の笑みで空太に礼を言う。
「可愛い……、なんでもない。食べ終わったし、カーミルさんのところへ行くか」
朝ご飯をとり終わった2人は宿屋を出てカーミルの店へと向かう。
「おはようございます。朝早くですみませんが、迷宮にも行きたいので早めに来させてもらいました」
「おお、相田君か、おはよう。こちらとしては全然大丈夫だ。さっそくだが昨日話してたお礼についてなんだが、少ないかもしれないがこれを受け取ってくれ。
カーミルの父はパンパンに詰まった紙袋を空太に差し出す。中には青や緑の液体の入った瓶が詰められていた。
「ありがとうございます。これって何ですか?」
受け取った空太は中の液体が分からないためカーミルの父に質問する。
「これはポーションっていうものだ。薬草等を煮込んで作った回復アイテムで、薬草単体で使うより遥かに効果がある。かわりに値段もそこそこするがな。HPを回復するポーションが緑で、MPを回復するのが青、紫は状態異常の回復用だ」
「なるほど、ありがとうございます。大切に使わせてもらいます」
「娘を救ってもらい感謝する」
ポーションをマジックバックにしまい、店を後にする。
「次は昨日見た魔石の回収の依頼を受けに行くか」
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