第3話 サラリーマン兼ルミエラ初日
そして後日、会社に午後休をとった俺は、岸と待ち合わせをした公園に10分遅れで到着した。
すると岸は当然も当然。不機嫌そうに俺を一瞥すると、顎であの車に乗れと合図された。うわぁ高級外車じゃねぇか!?と内心びっくりしたし、岸が運転免許を持てる年齢だったことにもびっくりした。何しろまだ、高校生くらいだと思っていたからな。そうして車の中で一言も喋らず、ルミエラ本部へとやってきた。
「隊長!表打 茂?を連れてきました!!」
(なんで疑問系なんだ…)
「改めまして、ルミエラへようこそ表打さん。」
「科野隊長!よろしくお願いします!」
この前のあの怒りの笑みを見た後だからとても恐ろしいと思ってしまい、思わず敬語になってしまった。
「ははっ。そんなに緊張しなくてもいいですよ!表打さん。さて今日来ていただいたのは、あなたがどんな超能力を持っているのかをテストさせていただくためなんです。早速ですが、こちらに来てください。」
そう言われ、連れて来られたのは独房のような空間で、周りにはなにもない。
「あなたにはここで1日を過ごしていただきます。」
科野隊長の発言の意味が分からない。
「えっと…ここで過ごすんですか?1日を?明日会社出勤するつもりなんですけど…?」
「会社については、すみませんがお休みしてください。」
「えっ」
「もう有給ないんですか?」
「いや、ありますけど…。」
「じゃあ、申し訳ありませんが休んでください。」
「かしこまりました。」
(あ、でも、こんな時じゃないと休めないからまぁラッキーなことはラッキーなのか)
「それじゃあ、よかったじゃないですか」
この人、隙らば心を読んでくるから怖い。
そんなこんなで、テストが始まった。
『では、表打さん。今からそちらに岸を向かわせます。そして岸がなにを思っているのか当ててみてください。』
最初はテレパシーについてのテストか。
目の前に岸が立つ。表情を見ればわかるが、思いっきり不機嫌だ。
俺は目を閉じてみるが、てんで分からない。
その後10分くらい粘ったが、読み取れなかったので両手を挙げた。
『ご苦労様でした。岸ありがとう。戻っていいよ。』
岸はやっぱり不機嫌そうに戻っていった。
それから色々な超能力テストを受けたが、なにも結果が出ず、半日が終わった。
(サイコキネシスももちろんダメだったし、もしかしたら何かの間違いだったんじゃねぇのか?)
そう思いながら眠りについた。
一方その頃科野は…
[科野君、今回君が新たな超能力者候補として連れてきたサラリーマンだが、1日目でなにも結果が出ていないそうじゃないか。普通ならすぐ結果が出るというのに。]
[ただの思い違いだったのでは?あの時たまたま見えただけではないだろうね?]
[もし、なにもない一般人だったらルミエラの情報が漏れたことになるぞ!その時はどうするんだ!]
「いいえ、ご安心ください。あの男、必ず超能力を持っています。『果報は寝て待て』というでしょう。今しばらくお待ちください。」
科野は笑みを浮かべ、3人の幹部に会釈をして去っていった。
そして2日目。
俺は、朝5時に起こされた。
『表打さんおはようございます。今日も一日頑張っていきましょう!』
「科野隊長おはようございます。」
『さて、今日は外に出ましょうか。』
そう言われ、俺は外へと出た。俺と同じようなどんよりとした空模様だ。
「今日は屋外でのテストです。よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
「では早速ですが、この木に向かって燃えろと念じてみてください。」
(燃えろ…燃えろ……)
やっぱりなにも起きない。
その後も様々なテストを受けたが、なにも起こる気がしない。
そしてとうとう最後まで来てしまった。
ああ、やべぇ。どうしよう。ここで結果残せなかったらお払い箱だ。
(あの隊長の言葉は嘘だったのか?だとしたらとんだぬか喜びだな。笑えるぜ…。)
そう思っていた時、
「科野隊長!ディアブローラが現れました!」
それはディアブローラとの開戦の合図だった。
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