第五話「〇〇県〇〇市連続児童行方不明事件」

『――警察は事件と事故の両面で調べると共に、本日も早朝から捜索を――』


最近妙に物騒な事件を見る気がする。

今日は俺がテーブルに向かいながら漫画を開いていて、ウツロはベッドに寝そべりながらスマホを弄っている。

消していると妙に静かになるからBGMにテレビを付けている。


「気を付けろよ。変な奴は結構そこらへんにいるぞ」


お互い目線は合わせない。

特に大真面目に集中しているわけじゃなく、それくらいの会話が目を合わせなくてもできる仲にはなった。


「僕は結構変な奴?」

「まあ、変わってるって言ったら変わってるけど・・・」

「前にね、そこらへんにいる人捕まえて、食べた」












「・・・どうだった?」

「パックのお寿司の方が美味しい」

「そうだよなあ、たとえスーパーの半額でも寿司は寿司だもんなあ」


ベッドに寄りかかるように、さらに体を反らせて、天地真逆の視線でウツロを見つめる。

俺もウツロも風呂を済ませていて、下ろした髪の隙間から、ウツロの綺麗な瞳が少しだけ見える。


「どうしたの?」


不思議そうな声で問いかける。


「・・・ウツロって、男なのに綺麗だよな」


しばらく沈黙の後、髪を耳に掛けて顔を見せながら、笑顔でウツロが答えた。


「ありがとう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

HUTSULOT @hutsulot

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ