第二話「スマホゲーム」

ウツロは俺がスマホを弄っている時に、ちょっかい出すのが好きだ。


「それってどんなゲーム?」

「庭作り系」

「この前のパズルのは?」

「つまんなくなったから消した」


テーブルの対岸から、身を乗り出して俺が握るスマホの画面を覗く。


「何をすればいいの?」

「自分好みに庭を作る」

「お金かけるの?」

「これにはかけない」


何度も言っているが漫画を開いたまま伏せてページをキープするのは“クセ”が付くからやめろ、と言いかけて結局飲み込んだ。

所詮は古本屋で一冊108円税込みだった奴だ。

ウツロにスマホを貸すことがあるが、どちらかと言えば漫画が好みだ。

昨日も二人でスーパーの帰り道に寄った。


「これは着せ替えある系?」

「着せ替えない系」


ウツロの上半身は、俺のお下がりのTシャツ。

加えて俺とウツロでは体格がだいぶ違う、かなりダボダボ。


「ウツロは新しい服まだいい系?」

「まだ大丈夫系」

「そうか」


その昔、とあるゲームに入れ込み過ぎて、生きる為に最低限必要な出費以外全て課金につぎ込んだ事がある。

その時は俺もウツロも随分ひもじい思いをした。


「僕、今日はセックスしたい系」


ウツロから言い出すとは珍しい、今読んでる漫画はあまり面白くないようだ。

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