HUTSULOT
@hutsulot
第一話「パック寿司」
「ただいまー。寿司買ってきたぞー」
玄関で俺を出迎えたウツロにスーパーのビニール袋ごと、半額シールが貼られたパック寿司を手渡した。
今日の仕事はとても疲れた、とてもじゃないけど帰ってきてから飯なんて作りたくなかった。
「シースー!」
革靴を玄関に敷き詰められたタイルへ脱ぎ捨てながら横目で、ビニール袋越しにパックを両手で持ちながらピョンピョン飛び跳ねるウツロを眺める。
ウツロはパック寿司が好きだ。
俺が自炊意識に目覚める前、夕飯をひたすらパック寿司で済ませていた頃から好きになった。
「僕がイカ食べていい?」
そんなキラキラした瞳で見つめられたら、断れないじゃないか。
「じゃあ、俺サーモンとマグロは貰うぞ」
「あ、タマゴも僕食べたい!」
そんな会話を繰り広げながら、キッチンを通り抜け居間に辿り着く。
ハンガーへスーツを掛けていると、ウツロがテーブルに箸を並べ始めた。
「昨日のサラダも冷蔵庫から出すよ!」
「おう」
「チンする?」
「チンしない」
ワイシャツを脱ぎ捨てて肌着だけの姿になる。
飯の後は風呂、見ているのはウツロだけだ。
「今日はセックスする?」
「ああ、するか」
俺がテーブルの前に座ると、ウツロは既にイカを頬張っていた。
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