水嶋麗那の想い**ねぇ、お兄ちゃん……?

 ねぇ、お兄ちゃん?


 あのときは、何も知らなかったわたしのために、声を上げてくれたんだね。

 今さらだけど、とっても嬉しかったよ。


 ありがとう、お兄ちゃん。


 何で今さらかって?


 だって、もうお兄ちゃんは、この世界には存在しない、魂という概念になってしまったから。


 お兄ちゃんという、かけがえのない存在を失って、やっと気づけたバカなわたし。

 生徒会長とかやっていて、学校の成績は優秀なのかも知れないけど、わたしは人として愚かだよね。



 本当にごめんなさい。




 ねぇ、お兄ちゃん?


 今、お兄ちゃんはどこにいるのかな?


 やっぱり天国かな? 優しいお兄ちゃんのことなら、地獄に逝くことは考えられないからさ。どうか幸せに笑っていてくれるといいなぁ。


 それか……もしかしたら、まだわたしたちの世界でさまよっているのかな?


 だとしたら、



 わたしはお兄ちゃんに会いたい。



 身勝手だってことは百も承知だし、ワガママだって言われても仕方ないよね。変に我が強いところがわたしの幼稚な一面。お兄ちゃんなら、知ってるよね。



――でも、それでも会って、お兄ちゃんに伝えたいことがあるんだ。



 わたしは霊感とか持っていないから、幽霊なお兄ちゃんの姿は全く視ることができない。だけど、わたしの気持ちだけでも伝えられるなら、今すぐにでも会いたいの。



――だってお兄ちゃんは、わたしの夢を叶えてくれた、命の恩人なのだから。

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