第4話
その小屋にはまだかすかに血の匂いが香っていた。一つは獣の、一つは人間のものだった。未だ殺伐とした空気の中、今は別の住人がテーブルを囲んでいる。
彼らが悲鳴を聞いてここにやって来た時に住民は狼に襲われていた。狼を撃ち殺したはいいものの、頸動脈を食いちぎられた住民が息を吹き返すことは無く、都合がいいのか悪いのか銃弾一発でその小屋は彼らの物になった。きりたった崖の真下にあるその小屋に今は小さく明かりが灯っている。小屋の中でテーブルを囲んでいた人影はドアが開かれると一斉にそちらへ目をやった。
「ノックはどうしたノックは」
「したこともねぇしこれからする気もねぇよおっさん」
立っていたのは小柄な人間と頬を赤く染めた青年だった。青年の唇の端は切れ、かすかに血の流れた跡が残っている。
「遅かったじゃねぇかアレン。まさか大事な作戦会議を忘れてカードにいそしんでたわけじゃねぇだろうな?」
「分かってるじゃねぇかおっさん。そりゃこの顔見れば誰だって分かるか」
「当然の、仕打ちだ」
「これに懲りたなら仕事の時間くらいは頭に入れてカードするべきねアレン」
こうして今日初めて『暁』のメンバーが顔を合わせる。姿の見えざる賞金首、元賞金稼ぎ、ギャンブラー、キリングバイツと呼ばれる少女、それから椅子に座ってテーブルの中央を呆然と見つめている赤い髪の青年。
「わーったわーったって。みんなして傷を負った俺をいじめたがる。ハイエナ根性もいいとこだぜ。それで、お前もなんか言う事あるか、ヒイロ」
赤い髪の少年は名前を呼ばれると特に驚いた様子もなくアレンの方へ向くと小さく「無いよ」とつぶやいた。淡い電球の光に照らされた彼は町娘のほとんどが彼にほれ込んでしまってもおかしくないほどの美形であったが、彼の表情はいつも暗い雲がかかったように哀愁を帯びていた。
「それで早速なんだけど、次は誰からどうやって何を盗っちゃうの?」
「あぁ、実に分かりやすい質問を投げかけてくれて助かったよアーニャ」
フランクは棚の上に用意してあった地図と資料を広げる。
「アーニャの質問に丁寧に答えるとするなら、ハモンドの一味から、列車強盗で、武器を奪う。これが今回の仕事内容だ」
「・・・ハモンドってまさか砂塵のハモンドの事じゃないだろうな」
アレンは顎に手を置いて顔をしかめた。ツキの分かる彼からすれば情報の一つ一つが杖の先の石ころのようなものだ。石を避けなくては無事に歩ききることなど到底あり得ない。
「ああ・・そうだが、なんだアレン、ビビってんのか?」
「えー!アレン情けなーい!あんなケツアゴにビビってんの!?」
「そんなんで、よく『暁』に、入れたな」
「死にかけすぎて頭のネジ緩んでるおっさんと、金に目が眩みすぎて手前の命の価値すら見えなくなったあばずれと、世間知らずのクソガキからしたらハモンドすら小物に見えるだろうよ!!」
「死にたいのか、アレン?私の牙だと、楽には、死ねない」
「うるっせぇ!どっちみち俺は死ぬんだ!!・・・おい、ヒイロ。お前には奴がどれほどの相手か分かってるんだろ?」
ヒイロはまた顔をあげてアレンの方を向くと小さな声で言う。
「・・彼の噂は前によく聞いたよ。でも俺たちは『暁』のメンバーだろ?怖がる必要はないよ」
「・・・・・・・そうかい。そうかい。・・分かったよ。それで?なんだってハモンドから奪う必要が?女二人はともかく、ハモンドを狙う事の意味くらいおっさんには分かってんだろう?」
「当然だ。だがこれもまたうちのボスからの命令だ。リスクだの始末だの、その辺はボスもよく分かってて言っている。おめえが気にすることじゃねぇよアレン」
ボスからの命令。そう聞いてアレンはしぶしぶ頷いて開きっぱなしの口を閉じた。
「ハモンドは列車でシディアの町からケサン山脈に一番近いドルムドまで武器を輸送するつもりだ。シディアから出る列車の中に客車とは別に不審な車両が用意されているのを確認している」
「・・随分辺鄙なところまで運ぶのねぇ」
「武器の輸送ってだけなら列車じゃなくても良かったはずだ。察するに大量の武器、機関銃なんかが積まれててもおかしくはないだろう。それから十数匹、馬も乗っかってるとみていい」
「奴さん、戦争でもおっぱじめる気かね」
「・・戦争ならまだいくらかマシだったろうよ。奴は本土で起こったことを繰り返すつもりだ。ケサン山脈は未だ呪いの地として人の手があまり入っていない未開地だ。つまりはそれだけ先住民のいる可能性だってある。奴が先住民たちをすでに見つけているのだとしたら、列車が届いて数時間後には山脈が赤く染まる。貴重な呪いの品だって全部奴らのモンだ。そうはさせたくねぇよな?」
「そうなる前に私たちが武器を奪っちゃってあのケツアゴが大きい顔しないようにすればいいんでしょ?」
「そういうこった。ま、奴のアゴを叩き割るのはそんな簡単な話じゃないだろうけどな。とりあえずは奴のケサン山脈への侵攻を止められればいい。ボスもそこまでしか言ってない」
「うちのボスに限ってそっから先はノープランってこともないだろうけど、事が終わったら早いとこ手を打つべきだと思うぜ?」
「・・ボスを信頼してない、アレン、お前、本当に『暁』にいる資格、無い」
「お前らと違って感覚が一般人並みってだけだ!最終的に手前の命守るのは手前しかいねぇんだからな!」
「おいおい、俺はガキの子守りじゃねぇんだ。さっさと本題に入りたい・・入りたいんだが・・」
フランクは両手で髪を梳きながら熊のようにうろうろとその場で回りだした。
「なーに、どうしちゃったのフランク」
「・・・実はこの前厄介な人間にあっちまった」
保安官にとって賄賂は珍しいものではない。銃を腰に下げている人間の三割は自分に金を支払ってくる。盗品の密売、フローディア大陸原産のヤクの使用及び販売・・。殺し以外の犯罪は金を払い自分の目の届かない場所でやれば取り締まることはしなかった。
取り締まれば取り締まるほど自分の命が危険に曝される。ここはそういう土地だ。
フランク・レッドフォードも自分に金を払ってくる男の一人だった。ただし彼が姿を見せることはほとんどない。最後に彼の姿を見たのは彼がまだバウンティハンターとして名をあげていた頃の話。今では毎月親への仕送りのように決まって二百ドルが包みに入れられて保安官事務所に届けられる。
封筒には彼の名前しか書かれていない。それが賄賂であるかどうかもウォレスには分からなかった。
ウォレスは今イエローダッヂの宿屋にいる。サンタモレラよりももっと粗悪で安っぽい町だ。数か月前に野盗に荒らされ、火を放たれた住宅がそのまま残っている。町の外には棺桶に入らずにハゲタカに啄まれた遺体が投げ出されている。
それでも移住できない住民たちは掘っ立て小屋のような家屋の中で肩を寄せ合って生活していた。
ウォレスの泊まっている宿屋も似たようなものだ。客が泊まるのでそこそこ小奇麗にはしているが粗悪という言葉が拭われることは無い。代わりに宿泊料は平均の半分以下だった。
服の裾を掴むという事さえ容易いことではなかった。ウォレスはベッドに腰掛け深く息をついて心からそう思った。
フランク・レッドフォード。彼の名前はそこかしこに浸透しているのに誰一人居場所を知らない。
「フランク?懐かしい名前だね。彼の居場所までは知らないけど」
「奴ぁ死んだんじゃないのか?稼業をやめてから音沙汰すらないぞ」
そんな彼がここまでやってこれたのはイエローダッヂからラバに乗って逃れてきた老人の言葉あってのものだ。
「野盗どもを倒してくれたのはフランクだったよ。見間違いじゃない。たまたま通りがかったのか勢いよく馬を走らせて一人でやってきた。あいつが何人かの心臓や頭に銃弾をぶち込んだら野盗どもは逃げて行ったよ。野盗は少なく見積もっても十人以上は残ってたのに。それから町の様子を見回して遅くなってすまないとだけ言って去ったよ。あいつがまだ近くにいる保証はできないがね」
野盗どもの気持ちは分からないでもない。そこかしこで火が上がり銃弾が手前の頬を掠めようがフランクは冷静さを失わない。常にゆっくりと照準を合わせ引き金を引く。弾はその場にいる誰かに当たり、たいていの場合そいつは撃たれどころがよく絶命の声をあげることもなく地に落ちる。そんな当たり前がフランクを前にしたものにとっては恐怖でしかないのだ。こちらは焦燥に駆られ半ば命なんて投げ出した状態で戦っているのにフランクは怯えもせずどっしりと構えまっすぐこちらを殺そうと向かってくる。
何回かフランクの戦い方を見たことがあるウォレスからは小さく笑いが零れた。
伝説になれるかもしれないバウンティーハンターはとうとう伝説になったのか。そしてその伝説の裏で奴は今、地に落ちている。
「何やってんだ、まったく」
てめえが賞金掛けられてどうすんだ。
更け始めた夜が明けるのを待ってウォレスは町の外へと赴いた。
イエローダッヂから少し離れたところに教会がある。教会には神父が一人、町が被害に遭ったこともあり神父はシスターたちを一時的に避難させ野盗が去ったあとで町へと送った。今は閑古鳥が鳴いているがそれも致し方ないことだろう。
ウォレスは教会の椅子に身をもたげて祈るでもなく磔にされたイエスを見上げている男に声をかける。
「何か懺悔することでもあるのか」
「・・・・・・人間懺悔することだらけだろう。あんただって同じだからこんなところまでやって来たんじゃないか?」
「違いないな。もっとも懺悔する気は起こらないが」
椅子に座っていたのは前よりも皺の増えたフランクだった。
「まさかあんたの顔をもう一度拝むことになるとはなウォレス」
「俺だってまさかここまでお前を追いに来ることになるとは思ってもいなかったよ」
二人は握手を交わすことも無くコートのポケットに手を突っ込んだまま少し距離を置いて話し始める。
「・・俺を追ってんのか?せっかく昔話に花咲かせようと思ったのに穏やかじゃねぇな」
「いい歳した大人が今更何を話そうってんだ。別に捕まえに来たわけでも無い。俺がお前を追っている理由は分かるだろう」
「いろいろ思い浮かぶさ」
フランクは頭に考えを巡らせる素振りもなく答える。
「それなりに歳も重ねて若いころに人を殺しまくった人間には相当の噂が付いてまわる。あんたはなんの噂を聞いてやってきたんだ?」
「『暁』だよ」
ウォレスは切り込むように『暁』の名前を出す。それによってフランクから何かしらの反応がくると心のどこかでは思っていた。
「アカツキ?聞いたこともねぇ。それはなんだ?楽団の名前か?」
「しらばっくれなくてもいい。だが一つだけ言わせてくれ。フランク、お前が本当に『暁』に関わっていてもいなくても今から俺は情報をお前に流す。これは昔のよしみで言うんだ。俺ができる最後の警告だ」
「・・・・それで?」
フランクは椅子に座りなおす。駆け引きなしで情報を流すというのであれば耳くらいは貸すだろう。ウォレスの狙い通りにフランクは興味を示した様子だった。もちろんこの反応は証拠にはなりえない。
「『暁』を狙っている組織が俺のところへやって来た。何者なのかは全く知らないが、賞金稼ぎや保安官に声をかけ多額の賞金を積んでいるらしい。『暁』は何の恨みを買っているのか、やつらはとにかく『暁』を全力で潰す気だ」
「勝手にやらせときゃいいだろうがそんなもん。その『暁』ってのは盗賊かなんかなんだろう?潰し合わせてれば済む。なにより俺とお前になんの関係がある?」
「連中はお前に賞金を積んでいる。そして、俺とお前の過去のつながりがあったせいか俺まで目を付けられている。毎月お前が送ってくる謎の賄賂の事が知られている可能性だって高い。悪いことは言わねぇ。関わっているなら今すぐ足を洗って『暁』の連中を差し出せ。そうでないならこそこそするのをやめて自分は潔白だと堂々と出てくるんだ」
「・・・なに、待て、賄賂だと?」
「毎月お前が送ってくるだろう。あれはなんだ。何に目をつぶれと言っている?」
「あぁ・・」
フランクは後ろめたいことでもあるのか頭を抱えたまま数秒固まっていた。
「いや、なんでもねぇ。口止め料じゃないってのは確かだ。んで、金はどうしてる?」
「悪いがそれなりの大金だ。全部ニューヨークの家族に仕送らせてもらってる」
「ああそうか。それならなんでもいい。お前がいいって言うまで送ってやるよ。息子は勉強で忙しい時期だろう」
「ああ。確かにそうだが金を送る前に白黒はっきりつけてくれ。そうでないと俺がお前を捕らえることになる」
「仲間を差し出せと?」
「そうだ、お前がもし『暁』に関わっているのならな」
「そうかい」フランクは白い歯を見せて悪びれることも無く笑う。「仮にあんたが罪を犯して追われてたとしても、俺はどこの誰とも分からん相手には絶対にあんたを売らねぇよ。話は終わりだ。こっから先はあんたの好きにしな」
フランクは席を立ちあがるとウォレスの目を見てから教会の扉へと向かっていく。若さに満ちていたあの頃の瞳と明らかに何かが変わっている。それがなんなのかはウォレスには分からなかった。
「フランク」
「なんだ」
「昔のよしみもここまでだぞ」
「勝手にしろ」
フランクは光の中へ消えていく。久々に見たその背中に何かがたくさん覆いかぶさっているようで彼の足取りはどことなく重いようにウォレスの瞳に映った。
サンタモレラに戻って来たウォレスは『暁』の次なる標的を絞っていた。銀行か、駅馬車かはたまた列車か。この先数日間、様々な交通手段で大金の輸送が行われはしないか貨物リストを丁寧にチェックしていく。もちろんデイヴとフリオも目を凝らしながらリストの文字を眺めている。
本命であったフローディアの中心、シディアの町の銀行に金の動きはない。他の銀行も多少動きはあれど少なくとも強盗団と呼ばれるような集団が狙うような額ではない。チンピラでさえリスクを冒してまで強盗をするような額ではないだろう。銀行は違う。
「お前たちはどうだ?」
「いえ、目ぼしいものは何も・・」デイヴは首を振る。
「保安官の方はどうだったんですか?その、フランク・レッドフォードでしたっけ」
「さぁな・・。『暁』に関わっているともいないともいえない。どのみち次の標的が見つかれば奴はそこにいるだろう。その時には・・奴を捕まえる」
「けど、話を聞いてるとフランクが前線にいるとは思えないんですよね。大物だし、顔だって知れ渡ってる。それに、もう歳なんでしょう?」
「フリオ」ウォレスはまるで威圧するようにフリオの名前を呼んだ。眼差しからは怒りさえ感じられた。
「お前は奴を知らねぇからそんなことが言えるんだ。俺だって孫がいてもおかしくない歳だが今でも若いころと同じように四十五口径を腰に下げて悪党どもと戦っているんだ。俺にできて奴にできないわけはない。・・・それに、奴を前線に出さないようじゃ『暁』の程度も知れるってもんだ」
二人は返す言葉が無かった。追っている犯罪者に対するウォレスの評価はまさに畏敬そのものだ。視線を落として再び『暁』の次なる目星をつける。
「奴らは話題の強盗団だ。獲物はデカくて当然だろう。シディアの町から出る列車はどうだ?」
「いえ・・・積み荷のほとんどが奴らにとっちゃ無価値なものばかりです。これなんて中身空っぽですよ」
デイヴはそういって積み荷のリストをウォレスに手渡す。三日後、午後三時。シディア発ドルムド行き。客車に続き、二両空の車両が手配されている。積み荷のリストは無く、客車でもない。
寄せた眉間の皺の下で狭められた鋭い目には空の車両に積まれた大量の金塊が映っている。
「保安官・・どうしたんです?何か気になる事でも」
「・・・・・・静かにしてくれデイヴ」
翌日ウォレスはあの男のもとへと電報を打つことになる。
砂塵のハモンド。彼がそう呼ばれる理由はただ一つ。ハモンドが通った後はただそこに砂塵が残るだけだからだ。手練れのガンマン、幅を利かせる悪党。そんな彼らでさえもハモンドの通った後には砂塵の中、跡形もなく消えていく。
彼が消した町は両手では数えられない、徹底的で容赦のない男。それがサイモン・ハモンド。その男だ。
「テキーラをお持ちいたしました」
彼が手に入れたドルムドの町の酒場、彼専用に用意された虎の毛皮のソファの下へとやってきたボーイがテキーラのボトルを開ける。
「グラスに注げ。一滴でもこぼしてみろ。お前の血液が何リットルも床にぶちまけられるぞ」
白いテンガロンハットの下、まぶたから頬にかけて伸びた傷の奥で黄緑色の獣のような瞳がボーイの顔を睨んでいる。彼の威圧感は瞳だけからもたらされるものではない。熊の毛皮のコート、左手の指にはめられたトパーズとアメジストの大きな指輪。上質な葉巻、逞しい胸板とそれを覆う胸毛。首元には金でできたネックレスが下げられている。威圧的で悪趣味。それがハモンドという男だった。
幸いにもボーイの手が震えることは無かった。グラスを一点だけ見つめて静かにテキーラを注ぐ。ボーイはボトルを抱えてハモンドに一礼をするとカウンターの奥へと消えていった。
「ボス、列車と武器の準備が完了しました」
ハモンドはボーイと入れ替わるように報告に来た部下を睨みつけたまま何も言わずにグラスを傾ける。ハモンドに対して彼はあまりにもらしくなかった。それこそハモンドの一味の一人だとは思えないほどに。短く整えた髪、髭も傷も汚れもない白い肌。薄いあずき色のシャツの下のズボンはサスペンダーでつりさげられている。
「・・それで?」
「・・は。二日後の午後三時、時刻は予定通りドルムドへと出発します」
「・・・・・・それで?」
「・・それで、と言いますと」
ハモンドはテキーラをあおったあとで小さく手招きをする。部下が小さく歩幅を刻んでハモンドの下へ赴いた時、彼の額でグラスが当たり破片が弾け飛んだ。
痛みと衝撃に部下は叫び声もあげずにただ悶絶する。痛みに抑えた右手には生暖かい血がべっとりと付着し、破片がまぶたに突き刺さったのが左目の視界が無くなったことで分かった。
「リック、リック、リックよぉ・・俺がいつそんなこと聞きたいって抜かした?お前じゃなくても全員知ってることだろうが!!!ドルムドに列車が着いてケサンにいる鱗顔を全員ぶち殺した後、ここで酒浴びることまでお前以外の全員が知ってることなんだよ!!まさか知らねぇなんて抜かすつもりはないだろうな!!あぁ!?」
「で、ですが・・・・!急にもう一両、馬を十頭ほど乗せた車両をつなげてほしいとシディアの駅から要請があって」
「だからどうした!!もともと武器の輸送だとバレねぇように客車も一緒に運ぶ予定だったろうが!!」
「ですが、些細な変更も見落としがあってはいけないと思って」
「リック」ハモンドは胸元から出したハンカチでリックの切れたまぶたを拭う。「いい心構えだ。だが俺たちのやり方を忘れたわけじゃねぇだろ?」
無精ひげの生えた口元が歪み、犬歯を露わにしてハモンドは笑う。
「何か問題が起こった時点で乗客も乗員も全員ぶっ殺すんだよ。武器が手元にくりゃあとはなんだっていい」
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