8#風船角のキョン群団
角に風船を付けたキョンの群れは、宛どなく走った。
雄キョンは鼻の孔をパンパンにはらませて、周囲の変化や危険を感じとり、
雌キョン達は、産まれた後継ぎ子キョンのピナを庇いながら、
その群れは、まるでカラフルな風船が地を這うように。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
風船角の群れは探した。
本当の居場所を。
キョン達が何も迫害も無く、悠々緩々に暮らせる新天地を。
しかし、この国にはそういうものは無かった。
何故なら、キョンは『外来種』だからだ。
それでも、風船角の群れは探した。
風船角の群れは駆けた。
風船角の群れは駆け巡った。
この地、島中を。
やがて、
他の番にも後継ぎは次々と産まれ、
やがて、
風船角の群れは、他のキョンの群れまで呑み込んで大軍団と化した。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
しかし、この群れにも決して逃れることの出来ない過酷な試練が待ち受けることが今、起ころうとは知るよしも無かった・・・
ダーーーーーーン!!
ダーーーーーーン!!
ダーーーーーーン!!
ダーーーーーーン!!
「きゃーーーーーーん!!」
「ハイヤァァァァァァァァァ!!」
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