4#雌キョンへの募る思い
「また逢いたい・・・また逢いたい・・・」
雄キョンのカイムは、角に結びつけた雌キョンのドゥスと一緒に膨らませた風船が、お日様の光にキラキラ輝いているのを見つめながら、雌キョンのドゥスの笑顔をいとおしく思い浮かべた。
「逢いたい・・・逢いたい・・・」
カイムの角の風船は2匹が膨らませてから日にちが経ち、木に引っ掛かっていた時の直径15センチ位に萎んでいった。
それでもカイムは、自らその角の風船をほどいて口で息を吹き込んで再び大きくしようと考えても、やはり、
「ドゥスさんと一緒に膨らませたい・・・!!」
という思いが、日に日に風船が膨らむように大きくなっていた為にあれから手付かずだった。
幸い、あれから角の風船は1個もパンクすること無かった。
・・・ドゥスちゃん、俺の風船と君のお腹。どっちが先にパンクするんだろうね・・・?
「逢いたい・・・逢いたい・・・逢いたい・・・逢いたい・・・逢いたい・・・ 逢いたい・・・逢いたい・・・」
雄キョンのカイムは、独り言のように呟きながら雌キョンのドゥスの行方を探し回った。
「逢いたい・・・逢いたい・・・逢いたい・・・逢いたい・・・逢いたい・・・逢いたい・・・逢いた・・・」
ドカッ!!
「ぶっ?!」
どさーっ!!
「痛たたた・・・誰だよ?!」
ドカッ!!
「ぶっ?!」
どさーっ!!
「だから何だよ・・・」
突然、通りすがった何者かに蹴り飛ばされた雄キョンのカイムはムックリと立ち上がって振り向くと、図体の大きな1匹のニホンジカが仁王立ちしていた。
「そこ・・・俺達のテリトリーなんだけどさあ・・・!!」
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