第12話 噂(2)

 特別マップに移動したところで、パーティに新しいメンバーが加わった。

『よろしくー』

「よろしくお願いします」

『お前ら初めてだっけ?』

『初めてだねー』

「初めてですね」

『そっかそっか、そこの魔導師が前言ってたアイチップのモニターで、こっちのアサシンが乗っ取りに遭ったアカウントがあるって言ってたやつ』

「どうも。支援・遠距離系魔導師やってます。よろしくお願いします」

『こちらこそ、よろしく。嫌がらせ系スキル特化のアサシンやってます。って、サキどういう紹介だよそれー』

『レン、ついこの間話してたじゃん。なんか、知り合いが届いたリンク面白半分でクリックしたら乗っ取られたって』

『ああ! そのことか。確かに言った!』

「今日、たまたまそのリンクの話を耳に挟んで、サキと話してたんですよ」

『なるほど。そういうことか。突然、特別マップ行くけどどうする?とか聞かれたから、何事かと』

『ああ、いやどうせそのスキル構成じゃクエスト終わってないんだろうと思って、ついでに』

「そうなんですか?」

『まあ、終わってないってか、単機じゃちょっと厳しいんだよね。戦争特化のスキル構成だから、ボス戦とかでは使えるんだけど、雑魚狩る系だとなかなかおわんなくて支援職いたら別だけど……』

「なるほど」

レンさんはその場でくるくると宙返りをしながらそう言った。

「目回りません?」

『慣れれば大丈夫だよ』

「そうなんですか……俺、どうも振り回される感じがダメで魔導師やってるんですよね……」

『酔いやすい人?』

「はい」

『それだと、確かに前衛は大変だな。だから後衛職を?』

「その通りです。アイチップでの操作が楽そうだったってのもあるんですけどね」

『アイチップ使ってるのか』

驚きを伴った声色でそう尋ねられた。アイチップでのVR操作はまだまだ一般的ではない。もちろん動作での操作も可能なのだが、戦闘の要素があるゲームを遊ぶには、それなりの空間が必要となり、まだまだコントローラーの需要は大きい。

「今のアイチップに変えてからは、ずっとこれですねー。前まではコントローラーと半々ぐらいでしたけど」

『例の新型か』

「です。結構便利なんですよ」

『ということは、センサーの感度がいいのか?』

「ですね。そんな感じです……もしかして、専門家の方だったり?」

『いや、前職がメーカーだったものだからつい気になってね』

「なるほど」

それから、休憩を挟みつつしばらくゲームを続けた。レンさんはどうやら、VR対応型のアイチップを使用しているらしく、補助的にコントローラーを使用しているのだという。アカウントの乗っ取りにあったアカウントは、彼のゲーム仲間の中でもよく一緒に遊んでいた人らしく、新しいキャラクターの育成を手伝ったりしているらしい。

『そういや、俺のところにもリンク送られてきたんだよな……』

「そうなんですか?」

『ああ。見覚えのないIDだったから、おそらくランダムに送ってるんだとは思うんだが、お前らも気ぃつけろよ』

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