美奈子ママとバブバブ

「ねぇ、和樹くん。コレ、どういうことなの?」


 ベッドに横たわる俺を見下ろすような形で美奈子さんは問い詰めた。

 雛姫とイチャイチャしている現場を現行犯で見られているのだ。俺は真っ青になりながら、口をパクパクとさせることしかできない。


「い、いや。これは……」


 俺はしどろもどろに言い訳の言葉を探した。

 だが、現状を打開する素晴らしい言葉など持ち合わせてはいない。

 どんな詐欺師だって現場を押さえられたら何もできはしないのだ。


「ねぇ、和樹くん。私が何に対して怒っているか分かるかしら?」


 美奈子さんは圧のかかった優しい口調でそう言った。

 あまり怒ることのない美人の女教師が本気で怒っている時のような怖さがある。

 滅多に怒らない人の怒りにはだいたい正当性があるため言い逃れが難しいのだ。


「そ、それは。娘である雛姫に俺が手をだしたから…… ですか?」


「違うわ」


 違っていた。

 俺が雛姫の赤ちゃんになって盛大に甘えていたことには怒っていないらしい。

 実は、そんな予感はしていたのだ。

 そうでなければ今もニコニコしている雛姫の態度に説明が付かないからだ。


「え、ち、違うんですか。じゃ、じゃあ何が?」


「雛姫のことはママって呼ぶのに、どうして母親である私のことは美奈子さんなの?」


「え、今、なんて?」


「だって、おかしいでしょ~。娘のことはママって呼ぶのに、義理とはいえ母親である私が美奈子さんって、普通は逆なんじゃないの!」


「ええ~、そこですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 美奈子さんがプリプリと怒っていた理由は、どうやら俺が母親である美奈子さんを差し置いて雛姫のことをママと呼んでいたことらしい。


 言いたいことは分からなくもない。

 確かに義理の妹をママと呼んでいるのに義理の母をママやお義母さんと呼ばずに名前で呼んでいるのは、美奈子さんとしては面白くないだろう。


 ヤクザだったら、組長をさしおいて若頭あたりを組長と呼ぶようなものだ。確かに、筋が通ってない。美奈子さんが極道の妻だったら俺は今から簀巻きにされて東京湾に沈められるところだろう。


「な、なぁ雛姫、これってどういうこと?」


「知らないのお兄ちゃん。これが既成事実ってヤツだよ~」


 雛姫はまるでスズメを知らない人に、あれはスズメだよ、と当たり前のことを教えるみたいに言った。既成事実…… 言葉の意味は知っていたが、その言葉の重みを俺は今初めて知った。


「そうね~、雛ちゃんにこんなことさせて付き合ってないは通らないわね~」


「ねー」「ね~」


 雛姫と美奈子さんは仲の良い親友みたいに声を合わせてそう言った。

 どうやら状況を冷静に分析してみると、告白を受けたまま返事を四年間も保留している俺に対して雛姫が強硬手段にでたということらしかった。


 流石に母親の目の前で娘にあんな真似をさせておいて、付き合っていませんというのは通らないだろう。それを初めから計算に入れたうえで、美奈子さんがスーパーへ行ったなどと嘘をついて押入れの中で隠れてもらっていたのだ。


 俺は判断を迫られていた。


「あ、あの美奈子さんはそれでいいんですか?」


「雛ちゃんが良いなら構わないわよー」


 マジか。良いのか。

 妹の膝枕でバブバブを見られているのに親公認とか正気じゃないぞ。

 美奈子さんは自分の娘の彼氏が赤ちゃんプレイ大好きの変態でいいというのか。


 将来もし俺に娘ができたとして、連れてきた彼氏が娘の膝の上でバブバブ言っているのを目の当たりにしたら自分のことを棚に上げてでも星の彼方までぶっ飛ばすところだぞ……


「だってさ、お兄ちゃん。良かったね。これで気兼ねなく付き合えるよ」


「ま、まぁ。俺も雛姫のことは好きだから。いいんだけどさ」


 俺はさすがに状況を受け入れた。

 この期に及んで、雛姫とは付き合えない、なんて言えるわけがなかった。


 なし崩し的に話を進められたものの少々安心していたのも事実だ。雛姫と付き合うことになるとすれば、美奈子さんにどう伝えるかは最初から重要案件だったからだ。その手間が省けたと思えば、決して悪くない状況だった。


「やったぁ~。ふふ、ママもありがとね。協力してくれて」


「どういたしまして~。じゃあ、約束の報酬を頂こうかしら~」


「うん。でも、お兄ちゃんにあまり変なことしちゃ駄目だからね」


「大丈夫よ~。和樹くんをとったりはしないわ~」


 俺を置き去りにしたまま、雛姫と美奈子さんが二人で不穏な会話をしていた。

 そして雛姫がベッドから立ち上がると、入れ替わるようにして美奈子さんが俺の隣に座った。


「お兄ちゃんを貸してあげるのは三十分だけだからね。それ以上は駄目だからね」


 雛姫はそう言い残して俺と美奈子さんを置いたまま部屋から出ていってしまった。ドアがバタンと締まり雛姫が一階へと降りていく足音が聞こえた。


 先ほどの二人の会話から俺は嫌な予感しかしなかった。


「え、えっと貸してあげるというのは?」


 美奈子さんは義妹ママモードの雛姫よりずっと妖艶な気配を漂わせながら俺の傍へとにじり寄った。そして無言のままニコッと笑った美奈子さんは優しく俺の頭に手を伸ばすとグッっと膝枕へ誘導した。


 な、な、な、なんじゃ~こりゃ。

 俺は全身が火照って来るのを感じた。母さんに似た美奈子さんの膝枕は俺にとってあまりにも強烈だった。こっ恥かしいなんてもんじゃない。もはや新手の羞恥プレーだ。


「ほら~、和樹くん。ママですよ~」


「み、美奈子さん。ちょ、しょ、正気ですか?」


「正気って、雛ちゃんをママって呼んでいた和樹くんがそれを言うかな~」


 ごもっともな意見だった。

 しかも美奈子さんにはそれどころか雛姫に耳まで舐められて悶える姿まで見られているのだ。正気を疑われるのはむしろ俺の方だろう。


「えっと、俺が美奈子さんをママと呼ぶことで美奈子さんが得られるメリットって何ですか?」


「じゃあ、逆に和樹くんが雛姫をママと呼ぶメリットを聞いてもいい?」


「か、勘弁してください。それは性癖を告白するのと同じです」


「でしょ。私も可愛い和樹くんにママって呼ばれてみたかったのよね~。実際に息子な訳だし美奈子さんじゃちょっと寂しいもの」


「やっぱり、気にしてました?」


「うーん、気にしているってほどではないけどね~。嫌われているとは思っていないけど壁は感じてたかな~。だからこうして一度、可愛がってみたかったのよ~」


「ごめんなさい、別に美奈子さんが悪いわけじゃないんです」


「ママですよ~」


「ああ、はい。ママが悪いわけじゃないんですよ」


 美奈子さんをママと呼びなおした俺はカァっと頬に火照りを覚えた。

 な、なんだこれ。雛姫をママと呼ぶのよりずっと恥ずかしいんだけれど。

 実際にママっぽい分だけシャレにならないものがあるんですけれど!


「まぁ嬉しい。初めて和樹くんにママって呼ばれちゃったぁ~」


 美奈子さんは両手を頬に当てながらまるで好きな人から初めて下の名前で呼ばれた少女みたいに喜んでみせた。その仕草に俺ははからずも心がキュンとしてしまった。もしこの人のことを好きになってしまったら俺はやっぱりマザコンってことになるのだろうか?


 いや、よくよく考えれば雛姫のことを好きになっている時点で俺はマザコンなのだろう。雛姫だって十分に母さんに似ているのだから。


「はい、和樹くん。もう一度ママって言ってみようか~」


「ま、ママ~」と俺は躊躇いがちに口にした。


「はい和樹くん。ママですよ~」


 美奈子さんは一層嬉しそうな笑顔になった。

 美奈子さんにとって呼ばれたい言葉がママで良かったと俺は心底安堵していた。もしも美奈子さんに母さんと呼んでと言われていたら、実の母親を母さんと呼んでいた俺にとっハードルが高過ぎる。


「実はね、和樹くん。私は雛姫の次は男の子が欲しかったのよ~。こうして和樹くんに甘えてもらうとなんだか本当に私が産んだみたいな気持ちになるわね~」


 そう言って美奈子さんは俺の頭を優しく撫でた。

 俺はされるがままになっていた。

 雛姫に血の繋がった弟がいたかもしれない未来は過去に置き去りにされたままだ。その過去を美奈子さんは俺という代用品で取り戻しているのだ。


「和樹くんは本当に孝行息子ね、あのね和樹くん。赤ちゃんは甘えてくれるだけで、それが親孝行なのね~。元気に泣いて元気に笑ってぐっすり寝てくれたら、それがママにとっての幸せなの~。だからこうして私の我が儘に付き合ってくれて、頭を撫でさせてくれる赤ちゃん和樹くんは優しいよね~」


 美奈子さんの眼差しはちゃんとした母の眼差しだった。

 雛姫や明石涼子のソレよりもずっと深い、子供を産んで育てた経験のある母親の眼差しだった。美奈子さんに撫でられると母さんにしてもらっているような気分になった。俺はあまりにも心地よくてこのままずっとこうしていたいと思った。


「ねぇ、そういえば一つ聞きたかったんだけどね~」


「ええ、何でしょう?」


「雛ちゃんとはもうエッチした?」


 強烈な一撃をぶっこんできた。

 大抵の質問には答えるつもりだったが、あまりにも予想外の質問に俺は焦った。


「し、し、し、してません。ひ、雛姫は妹なんですよ?」


「え~。今さら和樹くんがそれを言うかな~。でも、雛姫と同じ反応するということは本当にしていないのね~。てっきり私はもう済ませているとばかり思っていたわ」


「彼女はまだ高校生ですよ。まだ早いですって」


 高校生の時には既に童貞を卒業していた自分を棚にあげて、俺はそう言った。

さんざん美奈子さんの目の前で雛姫相手に悶えていたのを自覚しているので、我ながら自分の言葉なのにうすら寒く響いて聞こえた。


「そうかしら? 私が高校生の頃は女の子を待つ彼氏の運転する車が学校の前で出待ちしていたものよ。私の友達も高校生のうちに四割くらいは済ませていたわね~」


「自由な時代ですね」


「もう少し上でバブルの真っただ中の世代だと、女子高の前にナンパ待ちのスポーツカーがずらりと並んでいたそうよ。きっと今なら警察に通報されるでしょうね」


 美奈子さんはそう言ってクスクスと笑った。


「和樹くんが雛ちゃんを大切にしてくれるなら、私はなにも言わないわよ~」


 その言葉を聞いて俺は納得した。美奈子さんがそういうスタンスだから雛姫があんなにも積極的だったわけだ。そりゃ、そうだよな。今にして思えば完全に誘っていたもの。


「さてと。本当はしばらく和樹くんを撫でながらゆっくりお話をしていたいけれども、雛ちゃんに三十分だけって言われているからそろそろ本題に入りましょうか」


「何か重要な話でもあるんですか?」


「まあそうね~。和樹くんには雛姫をお願いしたいのよ~。父親の誠司さんが交通事故で亡くなってからあの子の時間は止まったままだからね~」」


「時間が止まったまま、ですか?」


 物理的な意味ではないだろう。我々の世界では川の流れのように時間は常に移ろいでいる。不可逆的で我々人間はその流れに逆らうことは出来ない。漫画やアニメの登場人物みたいに特殊能力を持っているわけじゃない。過去に行くことも出来なければ、時間を止めることだって出来はしない。


「交通事故ってね。ちょっと特殊なのね。だって病気とは違って予兆なんてないでしょ~。愛する人がいつもと同じように家から出ていって、いつもと同じように帰ってくる。そんな日常が続いている状態でしょ。でね、そんな平和な日常に交通事故は突然やってくるの。愛した人が突然、帰ってこなくなるの。その突然さに取り残された人達は心がついていかないのよ。覚悟も予感もないまま『愛する人がいた世界』から『愛する人のいない世界』へといきなりシフトするの。まるで、自分だけが愛する人の生きている元の平和な世界から追放されたみたいに」


「でも、本当に追放されたのは事故に遭った本人だけ、ですよね」


「そう。でも、取り残された人達はそれがなかなか実感出来ないの。人の心にはね、愛する人のためのスペースがあるの。愛する人のために空けてある心のスペースが。そのスペースには思い出や愛や優しさや時には嫉妬とかね、その人のために色々置けるそういうスペースが存在している」


「つまり雛姫のその心のスペース、心の時間が止まってしまった。ということですか?」


「だいたい正解かな。正確にはその心のスペースを中心にして他のスペースを侵食する形で心の時間が止まってしまった、というのが正しいかも」


「なるほど」


 俺は自分に当てはめてそれを考えてみた。

 確かに俺の心の中には母さんのためのスペースがある。母さんのためのスペースは今でも止まったままだ。しかし、そのスペースを中心に侵食が行われている実感はない。多分、俺の心の中で何かしらの整理がついているのだろう。


「でね、和樹くんには雛ちゃんの時間を動かして欲しいの。侵食されて一緒に止まってしまった雛ちゃんの心の時間をね」


「雛姫にそんな部分がありますか? 俺はもう雛姫は立ち直っているように見えますが」


「そう見えるだけよ~。あの子は強い子だから、上手く隠している。でも私も当事者だし、あの子のママだから分かっちゃうのよね~。あの子の心の奥底には未だに破壊的に傷ついたままの場所が、そのまま残っているのよ」


「俺にできますか? 雛姫の心の時間を取り戻すなんて」


「それは和樹くんにしかできないの。交通事故で亡くなった誠司さんによく似た和樹くんにしかできないことよ」


「俺、誠司さんに似てますかね? 写真ではそれほど似てないと思いましたが」


「話し方とか雰囲気とか、何より優しいところとか。あと口元は似てるよ~。竜司さんも誠司さんに似ているけれど、やっぱり息子なのね。和樹くんもよく似ているわ」


 美奈子さんと雛姫は俺の母に似ていて、俺と親父は誠司さんに似ている。

 似ていること自体は偶然だったのかもしれないが、美奈子さんと親父が惹かれ合ったのは必然だったのだろう。お互いの境遇があまりにも似すぎている。


「何だか複雑ですよね、俺たち家族は」


「そうね、でも良いものでしょう。いざとなった時に頼れる家族がいるというのは」


「そうですね。俺は美奈子さんや雛姫と家族になれて良かったと思っています。天国の母さんはもしかしたら嫉妬しているかもしれないけれど」


「そうね、私も良かったと思っているわ~。誠司さんだって嫉妬しているかもしれない。和樹くんは軽蔑する?  愛した人がいたのに竜司さんと再婚した私を」


「まさか。軽蔑なんてしませんし、俺は美奈子さんが好きですよ」


「あらあら、あらあらあらあら~。私もしかして口説かれているのかしら」


「ははは、違いますよ。俺だって雛姫と親父を敵にまわすほど愚かじゃありません。でも、美奈子さんは親父と再婚したことを気にしているんですか?」


「そりゃそうよ。自分が浮気性の悪い女みたいな気分になるわ」


「気にすることはないですよ、死者にはどうすることも出来ないですから」


「ええ、そこなのよね~。生きている者たちでなんとかするしかないもの」


 生きている者たちでなんとかするしかない。

 その言葉には重みと実感がこもっていた。俺も母さんを失っているからよく分かる。現実世界のことは、生きている者たちだけで上手く回していくしかないのだ。


「美奈子さんは大丈夫何ですか? 大丈夫とは時間のことです。美奈子さんの時間は止まっていませんか?」


「私の時間も止まっていたわね。でも、竜司さんに出会ってまた動き出した。あの人となら、やり直せるような気がしたのね。ねぇ和樹くん。やっぱり人生には動きが必要よ。心も身体もちゃんと動かさないと充実した人生は送れないわ。だから雛ちゃんには止まった時間を動かして生きて欲しいの。和樹くんに雛姫をお願いするわ」


「美奈子さんがそう言うのなら善処してみます」


 俺の言葉に美奈子さんはニッコリと笑みを浮かべ俺の頬を撫でた。

 美奈子さんの太ももは雛姫よりも柔らかい。暖かな太ももに頬を埋めた俺はこのまま微睡んでいたい、と思った。


 最近は女性に甘えてばかりだ。最近だけでも雛姫、明石涼子、美奈子さん三人の膝枕で寝ている。結局、バブバブの芽は三本に増えてしまった。バブバブの芽では惑星は崩壊しないが、俺の常識は崩壊した。人によっては赤ちゃんプレイが必要な時だってあるのだ。


 しばらく俺は美奈子さんに膝枕されながら母さんの思い出に浸っていた。昔、母さんにこうして膝枕をして子守唄を歌ってもらった記憶をなぞっていた。俺は今、母さんから受け取りそびれた愛情を今こうして別の人から別の形で受けとっていた。


 それは心理学用語で代償と呼ばれる行為に当たるのだろう。

 本当に欲しいものが手に入らない時に他のもので代用する行為のことだ。


 代償であってもそれは十分に慰めになった。

 俺の心の穴は削った歯の穴を差し歯で埋めたみたいに綺麗に埋められ正常に機能していた。元通りではないけれども不自由はない。美奈子さんや雛姫と出会う前はもっと大きかったはずの心の穴は、今では美奈子さんと雛姫のおかげでちゃんと埋められていた。




 しばらく俺は夢見心地で美奈子さんの膝枕を堪能していたが、部屋のドアがトントンとノックされる音が響いたことで終わりを告げた。


「ママー、時間だよ。そろそろお兄ちゃんを返してー」


 少々、焦りと苛立ちのこもった口調で雛姫は言った。


 俺と美奈子さんがのっぴきならない行為に及んでいるのか心配しているのだろう。自分が雛姫に大切にされているのは嬉しいが、そこまで信用がないのだろうか?

 俺は美奈子さんの太ももに頬擦りしながらとても残念に思う。スリスリ。誠に遺憾だ。


 ガチャっと扉が開くと雛姫が部屋へと入ってきた。そして心地よく美奈子さんの膝枕を味わっていた俺の耳を摘まむと軽く引っ張った。


「駄目でしょー、お兄ちゃん! 私以外の膝枕でそんな気持ち良さそうにしちゃー」


 俺は耳を引っ張られながら顔がにやけてしまった。

 あからさまな雛姫の嫉妬が可愛くて仕方がないのだ。


「あらあら~、ママでも駄目なのかしら~」


「ママだから駄目なんです。お兄ちゃん、絶対マザコンなんだもん」


 雛姫はそう断言した。

 少し前までならば全力で否定していたところだが、今は自覚があるので何も言えない。

 うん、まぁ美奈子さんの膝枕は控えめにいって最高だったからね。


「まあまあ~。名残惜しいけれど、ここまでね~。それじゃ~雛ちゃん。後はよろしくね~」


 美奈子さんはベッドから立ち上がるとそのまま部屋から出ていった。

 そして入れ替わるように雛姫が寝ている俺の隣に座って膝枕をした。



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