七星団
塔の開門の後すぐさまギルドへ向かった。
周りの視線が一斉に俺ら二人に集まる。
待ちゆく人、露店を構えてる人、怪我をして運ばれてる人も時が止まったかのように動かず二人を見て唖然している。
そんなかメリアはニコニコ手を振っている。
この空気に耐えられなかった俺はメリアを担ぎギルドへ急いだ。メリアか離せと喚いていたがとりあえず無視した。
ギルドは街の郊外にあるが規模も規模のため人の出入りが多い。
だが主にエントランスで品々の交渉やギルドへの依頼をするだけだ。行きたい本命は二階以降の団長たち専用の部屋だ。メリアは物珍しそうにキョロキョロして目を輝かせていた。
二階はもちろんギルド員以外は入れない魔罠トラップがある。しかも門番もいる。
やはり突如として知らない女の子を連れてきたら、いくら団長だからって入れるわけ…
「え?その子も入れるんすか?はい、大丈夫っすよ。じゃあ呪罠アンチトラップ掛けますね」
入れてしまった。えぇ…自分のギルドだが緩すぎる気がする。
とりあえずみんな集めて事の説明するか、とか思いつつ共同部屋という名のミーティングルームに入るとすでに七人の団長たちが座って待っていた。
あ…こりゃあまためんどくさくなりそうだ。
団長はそれぞれ七つの星(団)に分かれている。このギルドとは別に団を従えているのだ。
このギルド設立はかつて、これらの団(一部除く)が暴れまわっていたのを俺とララで潰しに回ってボコボコにした。したのは良いが野放しにできないんでまとめることにしたのが発端。
実にくだらない理由だ。もうちょと感動的に会えなかったものか。
だが今はララの矯正によって嘘みたいに温和になった。
何をされたかは聞いても誰も教えてくれない。
話を戻そう。
「で、君たちはなんですでに集まってるんですかね」
冗談交じりに聞いた。が、誰も反応してくれない。
「はいはい、わかりましたよ」
事の発端、メリアの素性を話した。
「なるほど、で、これから何が始まるんだいお嬢さん」
黒い軍服に身を包んだ30代くらいの男が聞いた。
七星のうちの7星にあたる男だ。
名をカーレイという。
普段何をしてるかわからずルルララに言われた仕事をこなす独り身調査稼業を務めている。
昔は暗殺者だったらしい。
「お嬢さんでは無い!我の名はメルトメリアじゃ。よく覚えておけ」
ひどくご立腹の様子だ。お嬢さんと言われたのが気に食わなかったらしい。
「失礼おじょ…メリアさん」
「うむ、よかろう教えて進ぜよう。今からおぬし等には特異と仮想と戦ってもらう」
「…はあ。」
「あれ、驚きはせんのか」
「いやもう現在進行形で戦ってますから」
メリアの挙動が止まった。一瞬何を言われたのか、わからなくなったような顔をした。
「え、、ええええええ?!じゃあ特異には会ったのか?」素っ頓狂な声が出た。
「ええ、会いましたよ」
「じゃあもしかして特異の呪夢ディストピアに憑かれたか?」
「呪夢?あの周期的にくる悪夢のことですか?それなら何回か」
メリアがまずいと言いたげな顔をしている。
「今すぐ憑かれた者で呪夢の中に行くぞ!」
全員が事の状況を理解できてない。みんな頭の上にハテナが出ている。俺もわからない。
第一、あの悪夢はこちらから行ったことがない。過去四回はすべてあちらから来たものだ。
「何をぼさっとしておるのじゃ!だったら我が連れて行…」
突然部屋の電気が点灯し始め、ガコッガガガとひどい音を立てて天井や壁が開けていく。
開けた先は赤黒い空間が広がっている。
そう、このタイミングで悪夢が始まったのだ。先ほでいた部屋の原型はもうない。
「メリア、お前が言ってた悪夢が始まってしまいましたがどうしますか」
メリアはぐぬぬ…と顔をしかめていた。ええぃままよ、と我々に指示を出してきた。
「おぬし等、死にたくなかったら戦闘態勢に入っておけ、これから呪いを解くために会いに行くぞ」
全員無言で武器を構えた。会いに行くとは大体わかる。
過去四回とも会っているが四回とも殺されているのだから。
バカでかくとても固いあいつに。
七星団全員でかかっても勝てないもの。
だから我々はこの夢を悪夢と呼ぶ。
メルトメリアの終末論。 遥音の杜 @harune_no_mori
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