集結しつつ収束しつつ
「おい!団の偵察船が帰ってきたってよ!」
「今回もまたひでぇらしいぞ。ほぼ落ちてるらしい…」
街の人たちが話しているのを聞き俺も港に行くことにした。
着いて見てみれは船には魔弾の跡が無数にあり爆発寸前だ。多くの乗員が荷物を急いで運び出している。
「こりゃひでぇ…どうせまた特異の奴らか―」
「おっすぅ!」
「―!」
びっくりして振り返るとそこには色つやが良い黒髪で目を金色に光らせた褐色の女がいた。
「なんだよヴィルアか。驚かすな」
「えへへ~すみません。団長がこんな所にいるのが珍しくてつい」
満面の笑みを浮かべながらさも満足げに言った。
「あの…私もいます…」
その後ろで白髪で全身を白と薄ピンクのローブを身にまとった少女が言った。
「おう!ティティアもいたのか」
「はい…あと、ティアでいいです…」
そんな彼女の訴えは届かないまま話の本題に入っていった。
「で、なぜお前ら“リーダー”二人してここにいるんだ?」
「それはお互い様でしょー。団長こそなんでこんなところにいるんですか?」
「俺は船が落ちたと聞いて見に来たんだ」
「ふーん。それだけっすかぁ。つまーんない。あ、ちなみに私たちはその船の護衛を
頼まれてましてそれに乗ってました」
鼻をふんふん鳴らしながら言っているがどう考えてもそんなやわな状況ではない。
そもそも、大陸一の体術を基本とした団、【六技獅子団】リーダーのヴィルアと同じく大陸一の魔撃を基本とした団、【一術閑散団】リーダーのティアの二人がいてこんなに船がボロボロになるはずがない。
「何があった。特異の奴らじゃねぇな」
俺は耳打ちをするように聞いた。
「わかりません。ただ、“黒い何か”でした。」
「あれは呪素でした!」
ティアがやっと話に入れたというような顔で意気揚々と言った。
「呪素?」
「はい…」
大きな声を出したのが恥ずかしかったのかいつもの小声に戻ってしまった。
「通常、魔素で打つはずの技を呪素で打つと魔呪素の暴走がおきて倍以上の威力になるんです…反対も同様です…ただ、魔呪脈が壊れる危険があるから普通は使わないんですけど…」
「わかった、ともあれ二人とも無事でよかった。この事はギルド内で内密にしとけ、何か嫌な予感がする。俺はこれから行かなければならないところがあるから、あとはよろしく頼んだぞ」
「「はい!」」
二人はそのまま落ちた船のほうに行った。
こうもできる仲間がいることはうれしいことだ。
暗くなる前に塔に行かなくては。もう、辺りは夕暮れに染まっていた。
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