終わりと始まりは表裏一体

 ―小さな女の子が泣いている。

 ―暗い暗い暗い暗い暗い。

 ―怖い怖い怖い怖い怖い。

 ―もう、一人はやだよぅ。

 ―おいで。大丈夫、怖がらないで。少年は女の子をあやすように抱き寄せた。

 ―私を守って。と、少女はお願いする。

 ―いいよ。と、少年は受け入れる。

 ―夢の中、無意識のうちに少年は約束をする。

 ―塔においで私は待ってる。そう言うと少女は消え、少年は夢から醒めた。



 ふぁあ。そんな気の抜けた声をしながら少年は起きた。なんか変な夢を見た気がするが思い出せない。 

「おーい!早く起きろー!朝ごはんがさめちゃうよー!」

 下の階からカワイイ女の子の怒ったような声が聞こえてきた。

 バタバタと下に降り、テーブルを見ると真っ赤に染まった謎のスープがパンとともにおいてあった。

 はぁ。ため息交じりにスープを飲む。これがうまい。

「なんでもっと、うまそうな色になんねぇんだよ」

「し、知らないわよ!かってにそうなるんだもん!文句言わず食べなさい」

 そんな怒りも桃色髪のカワイイ少女の顔では無力だ。

「ルルくんは今日どこかに行くの?」

「ああ、二番の塔に行く」

「なんで?」

 無垢な声でララは聞いた。

「なんでって,,,」

 そういえばなんで行こうと思ったのだろう。誰かと約束したか?いやしていない。なぜ行こうと思ったのか皆目見当がつかない。

「えっと、大人の事情だ」

 目をそらしながら答えた。

「ふぅ~ん」

 ララはジト目で睨んできたがそれ以上追及してこなかった。

 いってきます。俺は急いでパンを口に頬張りそそくさと家を出た。

 無事でありますように。そんなララの声が後ろで聞こえた気がしたが気にせず走った。

 今日はやけに空が蒼い。


 この世界は大きく三つの世界があり“地世界”“人世界”“天空界”と呼ばれている。

 俺らが住んでるのは天空界で人世界とは四つの塔でつながれている。それぞれ一番から順に【特異論】【終末論】【仮想論】【多世論】と呼ばれている(らしい)。ちなみに地界は等の昔に滅んでいる。


 町はずれにある家を飛び出し、もくもくと歩き続けてやっとこの島の中心部らしきところについた。普段から冷静さを保つよう心掛けていても心が躍った。それほどに魅力的な街なのだ。

 広い大通りではたくさんの屋台が並びとてもにぎわっている。だが、ちらほら怒号も聞こえる。


 街のシンボルの時計台が昼の鐘が“七色の曲”鳴らしている。だが、その後ろにある更にでかい塔のおかげでその大きいはずの塔は小さく見えてしまっている。


 ―みつけた。


 後ろから声をかけられた気がした。振り返ってみてもそこには誰もいない。人ゴミであふれかえってるだけだった。

 まあいっか。俺は足早に塔を目指した。

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