性欲


さっきからまとわりつくのはカノジョの香水の匂い


「あッ、はるッ!そこ、ダメぇ!」


ギシギシとベッドが唸る音とカノジョの喘ぎ声が重なる。

「ユイ、ここ好きだよねぇ」


「んッ!」


カノジョの豊満な胸が弾む


荒い呼吸音は欲情を誘ってくる。


───やっぱり、楽しくない


カノジョの要望に答えて突いてあげるだけのこの行為

人が何故この行為をしたがるのか俺には分からない


「ぁあっ!いくっ!」


汗を撒き散らしながら果てたカノジョは荒い息をしながら動かなくなった





「ユイ、可愛いね」


行為が終わり、俺の腕の中で眠るカノジョに付け足したようにそう言った。


カノジョは照れた仕草をしながら、

「もうっ、恥ずかしいじゃん♡」

と答える。


自分が可愛いと自覚しているのを隠し、薄っぺらい謙虚さで男に媚びている女達──


アホくさ……。


自然にため息が出る。


そしてふと、想像してみた。


彼女だったら、


彼女だったら、なんと言うだろう。


冴羽霞だったら、なんと言うだろう。


彼女のことだから、ドヤ顔で


「当然でしょ?」


というのだろう。


だからこそ


俺は彼女を好きなのだから


好きでも無い女を抱きながら俺はまた、


彼女のことを思い出す

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