第28話 機械創造。
戦いを終えたハカイオーが、月へ帰還しようとしていた。
「これから着地する」
「了解、デッキ出します」
オペレーターからの返事を聞きながら機体の向きを変え、指定されている着地ポイントに足を向けた姿勢で降下していく。
その動きと連動するように着地ポイント付近の隔壁が開いて、ハカイオーを格納庫へ運搬する為の専用デッキが姿を見せる。
ハカイオーは、デッキの一キロほど手前で着地し、二足歩行で近づいていく間に翼を粒子状に分解して本体に吸引する形で戻し、漆黒だった機体の色を灰色にすることで、足元から出ていた余熱による煙も消えていった。
灰色の無害な状態になったハカイオーをデッキの台座に乗せると、足元に設置されているアンカーが作動して両足に嵌っていく。
両足が固定されるとデッキが動き始め、地下通路を通って格納庫まで運んでいき、所定の位置で停止すると、天井に設置されているアームがハカイオーの両肩を掴んで固定した。
モニター越しにハカイオーの固定作業が完了したことを確認した健は、動力を切って、ブレインポッドを機体から出して足元に着陸させた。
戦闘を終えたハカイオーが、整備状態に入るまでの一連の流れは、一行程を除いては帰還する前と変わっていない。
キャノピーを開けて、ブレインポッドの外に出ると待機していた整備班が、いつものように駆け寄ってくる。
「お疲れ様です。中尉」
「おつかれ」
「中尉、ご苦労様です」
「ああ」
「おつかれさん、中尉」
「後は頼んだよ。班長」
整備班と軽い言葉のやり取りをした後、最後にやって来た班長に信頼の言葉を言った。
「おう、任せておけ。しかし、こいつがすぐに整備できるようになってほんと大助かりだぜ。なんせ、前は冷え切るまで近付くこともできなかったからな~」
整備班が取り付き始めているハカイオーを仰ぎ見ながら言った。
「俺もその点に付いては班長達に迷惑掛けなくなって良かったと思っているよ」
健は、気遣いのある返事をした。
「へへっ。おめえもいい感じになってきたじゃねえか。地球に落ちる前は挨拶の一つも無かったってのによ」
班長は、健の肩を軽く叩いた後、ハカイオーの元に向かい、整備班に細かな指示を出していった。
格納庫から出た健は、自室に戻り、パイロットスーツと下着をクリーニングBOXに入れた後、シャワールームに入って体を洗った。
汗でベタ付いた体に熱いシャワーは、とても心地良く感じられた。
シャワーを浴び終え、制服に着替えた後、備え付けのドリンクサーバーで淹れたコーヒーをソファーに座って飲みながら一休みした。
戦いを終えた後のコーヒーだけに味も格別だった。
飲み終わり、体が落ち着いたところで部屋を出て、本部にあるメディカルセンターへ行って身体検査を受けた。
特別な機体に乗っていることから、戦闘終了後のメディカルチェックが義務付けられているのだ。
「身体的にはどこにも異常は無いわ」
担当の女医が、検査結果を伝えてくる。
「それは良かった」
気軽な感じで返事をした。ドクター・オオマツと違い、まともな感性を持った女性なので、気兼ねする必要がないからだ。
「異常には入らないけど、体重はけっこうなスピードで落ちているわね。その分、体付きがしっかりしてきているからいいけど、何か特別なダイエットでもしているの?」
ちょっと興味深そうに尋ねてくる。彼女は、少しばかりぽっちゃりしているのだ。
「超厳しい訓練に加えて食事制限もあるから先生じゃすぐに根を上げちゃうよ」
再開した時に宣言した贅肉を落とすという目標に燃える珠樹が組んだ食事制限を含む゛極上の訓練メニュー゛を毎日こなしてきた成果だったのだ。
健自身、制服やパイロットスーツがキツいのは嫌だったし、何よりたるんだ自分を鍛え直したいという思いがあったからだ。
「そういうことなら無理ね。行っていいわよ」
女医は、諦めの言葉を口にした。食事制限という言葉を聞いて、自分には無理だと悟ったのだろう。
「どうも」
健は、礼を言って、メディカルームから出て言った。
「かなりの戦果だな」
「この分なら我々の出る幕は無いんじゃないか」
「ハカイオーが、本来の機能を取り戻してくれて本当に良かった」
「前は不安定でことあるごとに壊れていたし、地球を滅ぼすくらいに暴走したこともあったからな」
月面防衛隊本部で開かれている防衛会議にて、帰還してからのハカイオーの戦闘記録映像を見ている将校達の会話だった。
「これならヴィーゼルも必要無かったんじゃ無いかな?」
地球所属の将校の一人が、会議に同席している京介に向かって、嫌味ったらしい言葉を掛けてくる。
「それは言い過ぎだぞ。南雲博士の研究チームが開発したヴィーゼルがあったお陰で、アルテミスシティへ潜入した鋼鉄兵団の一体を撃破できたのだからな」
ウィリアムが、嫌味を口にした将校を咎めた。
「済まなかったな南雲博士、それで君はどう思っているんだ?」
「ハカイオーに関しましては、戦闘中に破損しないようになったことから機能に関しては問題無いと思っています。わたしが気になっているのは鋼鉄兵団の動きです」
「何か気になることでもあるのかね?」
「以前、連合代表に報告していました上位種が来ないことです。数は増えていますが、これまで現れた種類と同一のものばかりですし」
「上位種ということは、今現れている鋼鉄兵団以上の能力を持っているということか?」
「その可能性があるとみていいでしょう」
「どんな能力があるのか予測はできているのかね?」
「研究チームの間では、増殖能力があるのではという意見が多く、わたしもその意見に同意しています」
「増殖ということは一機だけで数を増やせるということかな?」
「鋼鉄兵団は、生命体に近い能力を有していますからなんらかのやり方で数を増やさなければ、ここまでの大規模な集団には成りえないでしょう」
「カタツムリやアメーバみたいに増殖すると考えればいいのかね」
「そういうことになります。もちろん、我々の知らない技術で増殖している可能性も十分考えられますけど」
「その仮説が正しかったとしてもハカイオーが全部倒せばいいだけの話なのだから心配は要らないのではないか」
将校の言葉を聞いて、会議室内に賛同の笑いが起こる。
「それでも油断は禁物だ。ヴィーゼルの増産とパイロットの育成を急げ。南雲博士は引き続き、改良にあたってくれ」
「分かりました」
京介は、一部の将校を除いて、事態をきちんと把握できていないのではないかと別な意味で不安を抱えながら返事をした。
「明海、待ったか?」
市街地に来ている明海は、近付いてきたオールバックの金髪男に声を掛けられた。
「ふ~ん」
明海は、返事をしない代わりに男の顔をじろじろと眺めていった。
「そんなにじろじろ見ないでくれよ」
金髪男は、少し気まずそうに視線を反らした。
「見た目は全然違うけど、声は健のままだと思って」
「そりゃあ、防衛隊御用達の疑似フェイスを被っているんだから見た目が違うのは当然だろ。それと声まで変えたら誰だか分からなくなるじゃないか。明海だって知らない男に声を掛けられても困るだろ」
「そう言われれば、そうだね」
「それにしてもここは人が多いな」
二人が居る場所は、歩くだけでも大変なくらいに大勢の月市民で溢れているのだ。
「この区画は被害が少なくて都市機能が生きているからどうしても人が集まっちゃうんだよ。他の区画は復興作業か放置されているから」
少し悲し気に事情を話した。
「そういうことか。とりあえず、どこかに入ろう」
「うん」
二人は、運良く二席分空いていた無人喫茶に入った。
「ご注文は何になさいますか?」
二人が席に着くタイミングで、ドラム缶型のドロイドがやってきて、注文を聞いてきた。
「俺はコーヒー」
「わたしは紅茶」
「銘柄はいかがなさいますか?」
「お任せで」
「かしこまりました。少々お待ちください」
注文を承ったドロイドが、腹の中で抽出して、カップに注いだ飲み物を脇から出したアームで取り出して、テーブルに置いていく。
無人喫茶のドロイドは、腹の内部に数百種類の飲み物を合成できるドリンクサーバーを搭載しているのだ。
「料金をお支払いください」
「はいよ」
健は、ドロイドの支払い用のパネルに自分のMTを軽く押し付けた。
「どうぞ。ごゆっくり」
決まり文句を言ったドロイドは、足底に搭載されているローラーを転がして、新しく入ってきた客の元へ走っていった。
「幾らだったの?」
「金の心配ならするなよ。いい給料もらっているから」
「それじゃあ、お言葉に甘えて。けど、わたしと会っていてもいいの? 鋼鉄兵団っていつ来るか分からないんでしょ」
「緊急出撃が無い時はある程度自由だからいいのさ。話もしたかったし」
「話って、なに?」
「そういえばボランティアの方はどうなんだ?」
「毎日大変だけど、やり甲斐はあるよ。友達もできたし」
「その調子だと、やっぱり地球に戻る気は無いよな」
コーヒーを一口飲んだ健が、改まった口調で尋ねた。
「もしかして、お父様に何か言われた?」
質問を聞いた途端、明海の表情から笑顔が消え、声も少しばかり低くなった。
「おじさんは関係無いよ。俺が個人的に聞いているだけだ。それにおじさんとの話はもう済んでいるんだろ?」
「うん、わたしの力を使わないことと、いつでも脱出できるように空港の側に住むことを条件に出された。力の方はなんともいえないけど、住む場所に関しは仕方ないと思って飲んだわ」
苛立たしげに月に居る為の条件を話す明海を見て、相当な言い合いが繰り広げられたことが伺える。
「それでもおじさんとしては相当譲歩したと思うぜ」
「自分の娘が最前線に居るんだから気持ちは分からなくもないけど」
「そう言ってもらえる相手が居るのっていいよな。俺には居ないからなんだか羨ましいよ」
健は、視線を下に向け、薄笑いを浮かべながら言った。
「もし、家族の誰かに止められたら、ハカイオーに乗るのを止められる?」
少し戸惑ったような質問だった。悪いことを聞いているという気持ちもあるのだろう。
「迷うくらいはしたかもな。明海は迷ったりしなかったのか?」
「わたしも迷ったけど、それを踏まえた上で出した答えだから」
「どう言っても地球には帰えりそうにないな」
念を押すように言った。
「そんなにわたしを地球に戻したいの?」
怒気が含まれているのが、はっきりと聞き取れるくらいに低い声だった。
「本音を言えば戻って欲しいよ。月よりはまだ安全だからな」
「本当にそう思っている? 地球にだって鋼鉄兵団は現れたじゃない」
「あれは破片の集合体だけど、月に来るのは本体だし、数が違うよ。最近増えているからその内もっと強力な奴が来る気がしてならないんだよ」
健は、自分が最近感じている危機感を交えながら話した。
「健の言いたいことも分かるけど、それだったらわたしだってじっとしては居られないよ。わたしが与えられた力は人を助ける為のものなんだから」
明海の声はとても力強く、自分の意思を決して曲げない覚悟を感じさせるものだった。
「分かった。もうこの話しはしない。ただし、危なくなったらすぐに逃げてくれよ。母さんとかミルバみたいに知っている人間が死ぬはもう嫌だからな」
「分かった」
明海は、仕方なしといった感じで返事をしてくれた。
「どうした。それで終わりか、十六夜?」
「まだまだやれますよ!」
嫌でも耳に入ってくるトロワからの挑発な言葉に対して、息を切らしながら言い返す。
「その息だ。ほら、かかって来い」
トロワの乗っている赤いヴィーゼルが、左手を上下させて挑発の動作を見せ付けてくる。
珠樹は、よくあんな器用な動作ができるものだと悔しい気持ちを爆発させながら、自身の機体である青いヴィーゼルに新しく搭載された宇宙用バーニアを噴射させ、加速を付けながら向かっていった。
重力下での運用が可能なことが証明されたので、次の段階として宇宙戦にも対応できるように宇宙用バーニアのテストとパイロットの慣熟訓練を平行して行っているのだ。
訓練を行っているのは、珠樹達を含めて、二十機から成る大部隊だった。
偵察員による工場襲撃の後も選抜テストが続けられた結果、パイロットを二十人にまで増やすことができ、珠樹と同じく慣熟訓練を行っていた。
月面上空を舞台に行われる鋼の巨人同士の模擬戦は、大掛かりな人形劇のようでもあった。
その中には、以前シミュレータールームで珠樹をからかい選抜テスト当日に激しく嘔吐して、落選した隊員も混ざっていた。
近付いてくるトロワ機に向かって、訓練用のゴムナックルを付けた右パンチを繰り出す。
「遅いな」
トロワは、パンチを回避しつつ、珠樹機の背後に回り込んで、右キックを背中に当てて蹴り飛ばした。
珠樹は、フットペダルをおもいっきり踏んで全バーニアを最大噴射させることで、機体を制御しつつ、操縦棹を動かして向きを変えた。
しかし、その時にはトロワ機が間近に迫っていて、右パンチを打つ体勢を取っていた。
珠樹は、回避行動を取らず、左手を前に出して右拳を受け止めた。
その際に左の操縦棹から伝わってくる小さな振動を感じた。
「今のはいい動きだったぞ。十六夜」
「お褒めいただき光栄です。大佐」
「だが、脇が甘い!」
トロワ機が打ってきた右キックの直撃をまともに受けながら、コックピット全体が僅かに震動する程度で済んだ。
最新の吸収材によって、コックピットへの衝撃を八割弱緩和できる仕様になっているのだ。
「次はどうする?」
「もちろん反撃させてもらいます。ん?」
「どうした? 十六夜」
「レーダーに小さな機影が」
コックピット内にHS《ホログラムスクリーン》で標示させたレーダーを見ながら報告する。
「しかし、どこにもそれらしいものは見当たらないぞ」
トロワも機体を停止させて、周囲を見回したが、何も見付けられなかった。
「前にアルテミスシティを襲撃した鋼鉄兵団の残骸が浮遊しているのでしょうか?」
「その可能性は十分あるな。全機、一旦基地へ帰投して戦闘準備に入るんだ。鋼鉄兵団が来るかもしれないからな」
トロワが、帰投命令を出した直後、ヴィーゼル部隊の背後で強烈な発光現象が起こった。
「あれは、いったいなに?」
後部カメラから送られてくる発光現象の映像を見ながら言った。
「分からないが、今は帰投を優先しろ」
その光の中心から四体の人影が姿を現した。
四人は仮面の騎士、禿頭の巨漢、とんがり帽子を被った魔術師、長い黒髪の巫女といったそれぞれ異なる姿をしていた。
「宇宙に居ても平気ということは」
「間違いなく鋼鉄兵団だ。こんな非武装時に現れるなんて」
殿を務めているトロワが、悔しそうに言った。
「本部、鋼鉄兵団が出現した至急ハカイオーに出撃させてくれ」
トロワは、本部にハカイオーの出撃を要請した。
「鋼鉄兵団が、月の近くに現れた。行ってくる」
MT《マルチタテゥー》を通して聞いた情報を伝えた。
それに合わせるように非常警報が聞こえてくる。
これまでと異なり、月の近くに出現したことで、政府が市民達を避難させることにしたのだろう。
「気をつけて」
「ハカイオーなら大丈夫さ」
席を立って、喫茶店の外に出た健が、MTを操作するとビルの合間からブレインポッドが飛んできて、店先の道路に着陸したのだった。
「ブレインポッドって遠隔操作できたの?」
喫茶店から出てきた明海が、驚きの声を上げる。
「街へ行く時でも緊急出動できるようにって、おじさんが遠隔操作用の装置を取り付けてくれんだよ」
健は、擬装を解いて素顔を見せながらブレインポッドに乗って、喫茶店から飛び立って行った。
「こちらは上風健だ。シティの搬入口を通って月面に出るからハカイオーを格納庫から出しておいてくれ」
「了解しました」
オペレーターの返事を聞いた後、一番近い搬入口の担当者に通信を送って通過する許可をもらい、通路を通って月面に出て、指示通りに格納庫から出されいたハカイオーにブレインポッドを搭載させた。
「トロワ大佐、状況はどいうなっているんだ?」
ハカイオーを完全に起動させたところで、トロワに通信を送って状況を尋ねる。
「敵は全部で四体、突然現れたんだ」
「攻撃はしてきていないのか?」
「攻撃してくる様子はなくて、出現した場所に留まったままだ」
「今からそっちへ急行するからハカイオーの進路上から退避しておいてくれ。翼にかすっても無事な保証はできないからな」
「分かった」
トロワの返事を聞いた健は、デッキから飛び上がらせたハカイオーを漆黒に染め上げ、放出した破壊粒子で翼を形成し、超高速で鋼鉄兵団が出現した場所へ急行した。
その途中、遠くに基地へ帰投するヴィーゼル部隊が見え、トロワがうまく誘導してくれたのだと思った。
「あれだな」
目の前に四体の鋼鉄兵団が見えてきた。
「ロレッド達みたいに人間態を見せる鋼鉄兵団なんて久し振りだぜ」
健が、懐かしいと感じた瞬間、四体はまるで膨れ上がるように巨大化して、四機の巨大ロボットになっていった。
騎士は巨大な剣と盾を持った騎士、禿頭は頭と両足が無い代わりに太い両腕と胴体をした巨漢、魔術師は大型の鎌を持った死神、巫女は光輪を浮かべた女性の顔を付けた壺といったそれぞれ異なる形をしていた。
「巨大ロボットになる辺りはやっぱり鋼鉄兵団だな」
健が、警戒する中、騎士が真っ先に突っ込んできて、右手に持っている巨大な剣を降り下ろしてきた。
健は、ハカイオーに左腕を上げさせて受け止め刃に、破壊粒子を送り込んで溶かそうとした。
「なんで、溶けないんだ?」
これまでの鋼鉄兵団ならすぐに溶けているところなのに剣は溶けているどころか、煙さえ上げなかったのだ。
そこへ右側から迫ってきた巨漢の右パンチをまともに喰らい、殴り飛ばされてしまう。
「くっそ~!」
ペダルを踏んで減速させるも、すでに背後には大鎌を振る直前の体勢を取っている死神が迫っていた
「ええいっ!」
素早く両手を前に出して、鎌の柄を掴んで動きを止めた直後、左側から迫ってきた騎士が振る剣を柄から離した左手で受け止める。
両手が塞がっているところへ正面からは巨漢が、後方からは壺が迫ってきた。
「まとめて吹っ飛べ~!」
健の気合いの籠った雄叫びと共に、ハカイオーは両手から炎、両足からは正面に向けて稲妻、背後には背中の翼を分解させて作り出した弾丸を高速で飛ばすことで、四機を吹っ飛ばしていった。
「今だ!」
四機が、体勢を崩した隙に、翼を出して超高速で飛び回りながら撒き散らした破壊粒子で、周辺を覆い尽くして動きを止めたところで、破壊粒子を数百本の漆黒の剣に変形させ、四機に向けて一斉に飛ばしていった。
四機が、全方位からの剣攻撃を回避しきれず、串刺しになったところで剣を一気に爆破した。
「どうだ。ハカイオーの力は」
剣の爆発によってできた巨大な爆球を前に、勝利を確信した声を上げた。
「確かに大した力だ。これまで我等が破壊されてきたのも頷ける」
聞き覚えのない声による通信が入ってきた。
「誰だ?」
警戒しながら前を見ると、薄れていく爆球の中から無傷の四体が姿を現した。
「やられたんじゃないのかよ?」
「あの程度で僕らを倒せるなんて甘いね~」
言い終わった直後、四体は再度巨大ロボットになった。
「いったいどうなってんだ? 材料になるような奴なんてどこにも居ないぞ」
バウンドやロレッドが、偵察員やブロックを吸収しながら巨大ロボットになる過程を思い出しながら言った。
「我らは自ら体なる部品を創造することができるのだ。集合しなければ巨体になれない下級の者達と一緒にしないでもらいたい。戦いを再開しようか」
「待て、我らが王がお呼びだ」
「王だって?」
「我らの主、機械王様だ」
壺が、言い終わるタイミングで、強烈な光りが発生して、四機はその中へと消えていった。
「今までの奴等とは本当に違う奴が来たんだ」
健は、自身の不安が的中したことを確信した。
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