第五章 ◆
男が命を賭けて戦っている最中、我慢出来る女はいなかった。修羅さえ飲み干すと、両眼を血走らせたライラがレイドの元へ向かう。その背中を、大慌てで追うのは魔女・レミィだった。
「ちょっと、待ちなさい馬鹿! あんた、動けるような身体じゃないのよ? 死にたくなかったら、大人しくしなさい!」
「私に構うな! ぐっ、なんのこれしき!! 惚れた男が命を賭けて戦っている最中に指を咥えて待っているなど、私の宗教に反する。私の命を私がどうこう使おうが、私の勝手だ!!」
一歩、地面を蹴る度に激痛が脳天を木霊する。呼吸をする度に身体中が軋む。一秒ごとに、ライラは死へと近付く。それでも、走るのを止めない。レイドが待っているのだから。理由は、命を賭ける意味は、それだけで十分だった。
彼の強さに救われた。
彼の優しさに救われた。
彼との出会いが、最高の奇跡だった。
ならば、どうする? 彼と私の出会い、そのものに〝報いる〟ためには、何をすればいい? そんなの、今更考えるまでもなかった。
「私は、レイドを助けなければならん!」
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