第四章 ◇


 なんて、狡い言葉だろうと、レミリアは軽い自己嫌悪を覚えていた。ちゃんと護れなんて。

(違うの、違うのよ。これは、はっぱをかけたの。そっちの方がやる気が出るように)

 身体が揺れる。恢の動きに合せて揺れる。御世辞にも、乗り心地が良いとは言えない。だが、彼が近い分、その温もりさえも近いのだ。こんな状況だ。喜ぶのは間違っている。なのに、どうしても感じてしまう。〝嬉しい〟と。なんて、悪い女だろうと自己嫌悪がさらに積もった。

(恢は命を賭けて戦っているのに、私は何を考えているのかしら)

 何もかも錯覚しているのだ、きっと。だから、ああ、何を想えば彼に迷惑をかけないのだろうか。心を殺し、息を顰めれば正解なのか。

(恢。ごめんね……)

 どうしても、言葉には出来なかった。


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