第22話 合い間

 教授達はフレンズ達と共にセルリアンの誘導にあたることになった。それからみんなはパークガイドの帽子も被っていた。ミライ氏が団結力を深めるためにと、全員に配ってまわったのだった。


「これがこんなに役に立つ時が来るなんて思いませんでしたね」

 エーレンベルクは大型ドローンのカメラの調子をチェックしながら言った。

「だが、バッテリーは持つのかい?」

 教授が訊いた。

「大丈夫ですよ。なんたってこれと同じものは、あと二機ありますから。ローテンションで飛ばせば十分間に合います」

 一方のミヤタケ研究員はフレンズのコヨーテとブチハイエナとともにジープに乗せる投光器の準備をしていた。

「ごめんなさいね。フレンズの貴方達にまで手伝ってもらって」

「いやいや、助けてもらったお礼だ」

「そうですよ。それに今はみんなで力を合わせないと」


 パークの空港にはでパーク職員やミライ氏、ロペス博士達の姿があった。空港は教授達のいる施設とパーク施設のほぼ真ん中にあることと通信設備が整っていることから、いわば作戦本部にしようと考えたのだった。


 避難のまだ出来ていなかった人たちが、軍用の垂直離着陸輸送機 ‘ウオタカ’ に乗り込む様子を遠目に眺めていたロペス博士は、

「どうして、このタイミングで巨大セルリアンが現れたのでしょう……」

と、不意に口にした。

「それはどういうことです?」

 ミライ氏が訊き返した。

「博士はそう言えば、サンドスターは高次元の存在だとか言っていましたね」

 イマニシ博士も会話に入ってきた。

「それでいて知的生命体でもあるのでは? とも思っています」

「でも、そんな、あまりにも突飛じゃありませんか?」

 ミライ氏が言った。

「フレンズ化現象だけでも突飛じゃありませんか。それに、私のいた研究施設はセルリアンの襲撃に遭いましたし、サンドスター拡散に関する対策を始めた途端、またセルリアン騒動が起きています。それとサンドスター濃度もここ最近上昇傾向です。何か意図されているのではと……」

 その時、「‘シシン’ を載せた輸送機があと数時間で到着するそうです」とパーク職員の一人が大声で知らせにきた。

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