第4話 夢への前進

「はぁ~いどっちらさまぁ~~??」


「あ、あの。この前の......」


「あっらやだぁ~~この前のイケメンちゃんねぇ~、んもぉ~遅いんだから~」


いや、当日に電話したんですけど!? まじ話したくねぇ~


「いや、それで少しお願いがあって.......」


編集長に直接感想を言ってもらえれば、俺でも賞をとれるはずだ、そう考えて連絡したのだ。


「なになに?? 私のできることなら何でもしちゃうわ、の前に、先に名前を聞いてもいいかしら?」


「あ、はい”神代光”です」


「かわいい名前ね~光ちゃん、うん、とても可愛いわ~~」


やっぱこの人苦手だ、ほんとにこの水野さんが編集長なのだろうか、不安になってきたな。


「は、はぁ」


「それで、お願いってなぁにぃ~?」


電話越しでも伝わってくる、この背筋に冷たいものが走る感じ......


「あ、あの、俺、実はラノベ作家を目指していて、その、斬撃文庫の編集長の方に見ていただけたらなと思って......」


「ここここ、これって奇跡よねぇ、運命よね~! だって、光ちゃんがラノベ作家を目指していて、私はその夢をかなえることができる立場にいるのよぉ~!? すごいじゃない、もしかしたら、あたしたち...... 運命の赤い糸でつながってたりしてね」


それは嫌だな、でも本当に繋がっていたらどうしようか

そう考えてしまい思わず身震いする。

それしにても、意外と軽かったな、でもこれで夢に一歩、前進だな。 


「わかりました!!ありがとうございます それでいつに?」


「ええ、いいのよ、日程ねぇん じゃあ今度の日曜日12時にお茶の葉駅前の”カップヌードル喫茶”で

待ち合わせはどぉう?」


”カップヌードル喫茶”かッ......! あそこに入るのは気が引けるな

確か、メニューはカップヌードルしか置いていなく、店内装飾はほぼカップヌードル、店員までもがカップヌードルのような顔をしているというッ......!

さすがは水野さんだ、あそこの店をチョイスするとは。


「だ、大丈夫です!」


水野さんに読んでもらうためだ、仕方ないな。


「では日曜日に」


といって電話を切る。

しかし、しっかりとアドバイスなどはくれるのだろうか、少し心配だな。

そんなことを考えていると一階から七海の声。


「兄さ~ん ご飯できたよ~」


「今行く~」


今日のご飯は何だろうか、いつの間にか19時を回っていた、長電話しすぎたな。

そしておりると


「おお!うまそうだな」


いつもながら妹の料理は輝いている


「べ、別に兄さんに褒められても、う、うれしくないしっ? おかわり......あるから」


「ほんとか!? じゃいただきま~す」


「はいど~ぞ」


楽しい、妹との食事の時間だ、すると妹はいつものように、アニメの話をしてくる。


「そいえば、兄さんが推す、今期のアニメは?」


今期のアニメか、いろいろあるよな。

そういって俺は少し考える...... やっぱあれだよな


「今期のアニメだろ? そりゃやっぱ『ゼロから始める教科書』だろ!」


「やっぱり兄さんもそう思うの? 私もあのアニメがいいと思った、でも『太陽がきれい』とかさっ、結構シンプルだけど、そこに良さがあるっていうか、純粋で私はあれも好きだな~」


そのあとも、『冴えない家族の育て方』とかいいな~などとつぶやいている、おれはこうやって妹と話している時がやっぱり一番いいな!


「確かにな、ま、どんなキャラよりも、七海が一番かわいいけどなっ!」


「す、すぐ兄さんはっ!」


そう言って七海は顔を赤くする。 なんてかわいいんだ。


「わ、私は、明日早いからもうお風呂入って寝るっ!」


「わかった、おやすみ」


すると、七海はそそくさと風呂のほうに向かっていった。

そういえば俺は明日の予定を決めてなかったな、渡すつもりの原稿の最終チェックでもするかな。

晩飯にも満足して部屋でごろごろしていると


コンコン 部屋がノックされる、この家には七海しかいないし、まさか......ッ! 

珍しく部屋に、妹が入ってきた。

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